『恋して競輪ハンター』木三原さくら=5 Hunting1月11日から行われた和歌山記念で、デビューして半年の南潤選手(和歌山111期)が力強い競走で勝ち上がり、決勝まで進んだことはみなさんの記憶に新しいことでしょう。S級戦2戦目で、しかも初…

『恋して競輪ハンター』木三原さくら=5 Hunting

1月11日から行われた和歌山記念で、デビューして半年の南潤選手(和歌山111期)が力強い競走で勝ち上がり、決勝まで進んだことはみなさんの記憶に新しいことでしょう。
S級戦2戦目で、しかも初のグレードレース。決勝に乗るだけでも凄いことなのに、3日目の準決勝で番手に付いた村上義弘選手(京都73期)に「先行日本一になる選手だと思う」とまで言わせたことは競輪ファン、及び全国の先行選手の記憶にきっと深く刻み込まれたに違いありません。


2017年7月にデビューした111期の現在を見てみると、S級2班に特別昇級しているのは4名、A級2班が9名、チャレンジが48名。その顔触れを見てみると、やはり、S級やA級に特別昇級した選手は1度ならず名前を見かけたことがある選手たちです。
だが、しかし!!チャレンジにいる111期選手にもまだまだ面白い選手はたくさんいます。今回は111期選手が2人乗った先日の平塚競輪のチャレンジ決勝をご紹介したいと思います。

1月16日から行われた2018年最初の平塚競輪。チャレンジ決勝戦に乗った111期は2人でした。1人は静岡の格清洋介選手。そして、もう1人は神奈川の出澤拓也選手です。格清選手はホーム回数19回、バック回数20回、逃げの決まり18回と新人選手らしく積極的に長い距離を走って勝つ競走が魅力的な選手。対する出澤選手はホーム2回、バック4回、逃げの決まり手はなく、捲りの決まり手が10回、差しも6回、デビュー戦はイン粘りと、ある意味で新人選手らしくない競走をするところがファンの心をくすぐる選手です。共に南関東地区の選手で、2人と共に勝ち上がった南関の選手は出澤選手と同じ神奈川の選手3人。出澤選手は前節、完全優勝しているのでここでも完全優勝して特別昇級を狙いたいところ。そうなるとたとえ先輩が後ろに付いても得意の捲り追い込みで走るはず。この5人でどんなラインの並びになるのかと思ったら、神奈川の選手は分かれて、格清選手の後ろに2人、出澤選手の後ろに1人という別線に。この時点で並びをおかずにご飯2杯はいけますね(笑)。

あくまでもイチ競輪ファンの妄想なので事実とは異なるかも知れませんが、3人の選手の内、格清選手の後ろに2人並んだということは格清選手の先行力への評価だと私は思いました。2人を比較してどちらが積極的な競走をするのか?どちらのラインにいた方が自分にとって利があるのか?勝つために選択するのは当然のこと。でも、それは決して出澤選手を否定しているのではなく、自分の競争スタイルを貫けと言っている先輩の愛情のようにも感じられました。逆に唯一、出澤選手の番手に付いた法月成祐選手(神奈川77期)は、出澤選手が勝つために遅い仕掛けになってもゴール争いできる自信があるのだという推測に落ち着きます。


前述しましたように南関の並びを見ただけでもとても楽しいこのレースは高橋明久選手(宮城98期)が先行して、出澤選手は中段、格清選手は先行できずに後方へ引いてホームからのカマシでレースは進んでいきました。出澤選手は何度も格清選手の方を振り返り、ホームで踏み出し、作戦か?偶然か?格清選手の番手にハマるような展開に。これでシメシメ、あとは差すだけとなるのかと思いきや、3コーナーからまさかの踏み合いに。出澤選手が格清選手に頭突きをお見舞いするも粘る格清選手。アツい、アツい、アツいぞ若者たちっ!と、見ているこちらも大興奮。そんな111期同士の壮絶な踏み合いの結末は外からギュンっと、法月選手が追い込んで優勝。格清選手は2着、出澤選手は3着となりました。世知辛いっ!勝負の世界は全くもって甘くないですね。早い展開の中で冷静に立ち回った法月選手はさすがでした。そして、勝てなかったけれども、同期2選手の激しい戦いも観ることができて、このレースをつまみにお酒が進みそうです(笑)。

対照的に見える格清選手と出澤選手ですが、それぞれ既に競走スタイルができているため、車券を買う側にとってはありがたい存在。そしてその選手「らしさ」にファンは付くのだと思います。
まだまだいる111期選手の個性をみなさんはどれだけ知っていますか?可能性を秘めた111期選手を探しに行きませんか?

【略歴】


木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に
競輪を自腹購入しながら学んでいく
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり
好きな選手のタイプは徹底先行
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている