フランス・パリで行われている全仏オープン(5月22日~6月5日)。 大会2日目の男子シングルス1回戦に登場した前年覇者で第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)は、ルーカシュ・ロソル(チェコ)に対して4-6 6-1 3-6 6-3 6-…

 フランス・パリで行われている全仏オープン(5月22日~6月5日)。

 大会2日目の男子シングルス1回戦に登場した前年覇者で第3シードのスタン・ワウリンカ(スイス)は、ルーカシュ・ロソル(チェコ)に対して4-6 6-1 3-6 6-3 6-4と厳しい5セットを戦い抜いた末に生き延びるという、危ういスタートを切った。

 センターコートであるフィリップ・シャトリエ・コートで四苦八苦したワウリンカ。彼はロラン・ギャロスの1回戦で負けた、初めてのディフェンディング・チャンピオンになる危険にさらされていた。

 世界59位のロソルは過去4度の対戦で一度もワウリンカを倒したことはなかったが、この試合の彼は正確なストロークを左右に打ち込み、頻繁にネットラッシュしてワウリンカを追い詰めた。

 「彼は強烈なショットを打ち込み続け、ほとんどミスをしなかった」とワウリンカ。

 降雨により2時間半以上遅れて始まった第1試合。5月には珍しく冷え込んだ気候の中、観客たちは重いコートに身を包んでいた。

 ロソルは第1セットの第5ゲームでワウリンカのサービスをブレークした。ブレークポイントを決めたのはドロップ・ショットで、雨で濡れて湿った赤土に吸い込まれていった。

 ワウリンカは第2セットで安定性を取り戻したものの、流れが彼に向いた時間は短かった。

 新しいシャツに着替えて第3セットに入ったロソルは、たちまち3-0とリードを奪った。彼は4-0とするためのブレークポイントも手にしていたが、それをものにすることはできなかった。

 第4セットのワウリンカはいくつかのブレークポイントを凌ぎ、すると試合の流れは徐々にワウリンカに傾いていった。そして第8ゲーム、ロソルのサービスをブレークしてセットを奪い返した。

 ファイナルセットに入ると、ワウリンカがバックハンドのダウン・ザ・ラインへパッシングショットを放ち、これが決まると観客は歓声を挙げて、同時にブレークポイントとなった。ワウリンカはこれを逃さず、ブレークに成功して2-1とリードを奪うと、最終的にこのセットと試合を勝ち取った。

 ワウリンカとの対戦前、対トップ10プレーヤーの戦績は3勝23敗というロソルだったが、彼はその戦績とは裏腹に周囲を驚かす器量も持っていることで知られたプレーヤーだった。2012年のウィンブルドン2回戦、当時ナンバーワンだったラファエル・ナダル(スペイン)を倒した経歴を持つのだ。

 ワウリンカは試合後、試合が進むにつれロソルがスピードを失い、自分がショットをしっかり打つための時間をもらえるようになったと、ロソルの疲れを感じたことを話している。

 「寒く、重く、遅い」とワウリンカが表現したコート・コンディションの中、輝きのないパフォーマンスに関するネガティブな面にこだわるより、自分が困難から抜け出したというポジティブな面を見るほうを好んだようだ。

 「5セットマッチからスタートするのは、決してよい形ではない」と認めながらも「いい勝利だった」と表現したワウリンカ。

 ワウリンカの次の相手は日本の世界93位、ダニエル太郎(エイブル)だ。ダニエルは1回戦でマーティン・クーリザン(スロバキア)とフルセットを戦い、3-6 4-6 7-5 6-4 3-0とリードを奪ったところでクーリザンの棄権により2回戦進出を決めている。彼にとってこの勝利は、グランドスラム初勝利だった。

 そのほか日曜日に雨で中断された試合を終えたのは、第5シードの錦織圭(日本)だ。シモーネ・ボレッリ(イタリア)を6-1 7-5 6-3のストレートで退け、2回戦へ進んだ。錦織の2回戦の相手は、アンドレイ・クズネツォフ(ロシア)だ。(C)AP