2015年のワールドカップで世界を驚かせたジャパンの一員がブーツを脱ぐ。
 神戸製鋼コベルコスティーラーズが1月24日に2017年度の退部選手、退任スタッフを発表した。その中にLO伊藤鐘史の名もあった。

 伊藤は37歳。兵庫工から京産大に進学し、リコーに入社。6シーズン所属し、2009年度から神戸製鋼の一員となった(同年はリリースレター/移籍承諾書が出ず出場できず)。自分をもうワンランク上げるために決断した移籍だった。
 2015年のワールドカップメンバーに選ばれ、試合出場はスコットランド戦の1試合だけにとどまるも、チームを結束させる存在だった。
 ラストイヤーとなった2017-2018年シーズンも、トップリーグ全13戦のうち12試合に出場した。

 2012年、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチが日本代表の指揮官に就いたのをきっかけに、31歳にしてジャパン初選出(2012年4月のカザフスタン戦が初テスト)。若き頃はバックローで、全身バネの体を駆使したアタックで目立っていた男が、桜のジャージーを着てから「見えない仕事が好きになった自分がいる」と話し、いぶし銀の光を放つようになっていた。
 その頃、こんなことも言っていた。
「スタッフが、『ジャパンがアタックしているのは18分』というデータを出し、その時間を最高に集中してやろう、と言った。そういう提案でしたから、いいメンタルの持ちようになりました。短いからやれるな、と。18分を伸ばそう、80分走り続けろと言われたら大変だったけど、たった18分をハイレベルで、と言われて集中力が上がった」
 ベテランの域に達してから、さらに力を伸ばした人だった。

 日本代表キャップは36。
 ワールドカップから帰国した際の記者会見でも、人柄があふれるコメントを口にした。
「ずーっと夢に思っていた舞台に立てて素直に感動しました。34歳です。ギリギリ間にあってよかったなあ、と思えるぐらい本当にスペシャルな時間と場所でした。あっという間に過ぎ去ったけど、4年間のハードワークも含め、人生のハイライトとして一生残ると思います。みんな、ありがとう」
 今後のことは未定。
 世界での経験と、ラインアウトの知識、理論をぜひ次代に伝えていってほしい。