第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第24シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)に、3時間51分の苦戦を強いられた。タイブレークでシュワルツマンが制した第2セットは、80分を要した。ナダルが6-3で勝利を決めた第4セットも…

第1シードのラファエル・ナダル(スペイン)が第24シードのディエゴ・シュワルツマン(アルゼンチン)に、3時間51分の苦戦を強いられた。

タイブレークでシュワルツマンが制した第2セットは、80分を要した。ナダルが6-3で勝利を決めた第4セットも66分かかっている。中身の濃い4セットの戦いに、ナダルは「素晴らしいバトルだった。最後までファイトすることができた。4時間近い試合で持ちこたえられたのは自信になる」と胸をなで下ろした。

大会中盤にこれだけのクオリティの試合が見られるのは、グランドスラムの醍醐味だろう。そして、何よりナダルの「ファイト」を引き出したシュワルツマンの貢献が大きい。

第2セットのタイブレークでは、深いグラウンドストロークで左右に展開し、ナダルを振り回した。懸命に返球するナダルだったが、そのボールが浅くなると、シュワルツマンが素早くポジションを上げてコートの中に入り、ウィナーを放った。

第4セット、ナダルが迎えた最初のマッチポイントでも、シュワルツマンはストロークのウィナーを続けて放ち、第1シードを最後まで苦しめた。

身長170㎝と小柄だが、「テニスをするのに身長のことを考えたことはない」と言い切るシュワルツマン。素早い動きが長所だけに、コートを駆け回る、拾いまくるというイメージもあるが、それは彼の場合できて当然の部類。いかに攻めるか、仕掛けるかが勝利へのキーになる。この試合でも、ストロークのウィナーはナダルの30本を上回る41本に達した。ナダルの鉄壁の守備をかき回し、突破口を開こうとするから、ラリーはおのずとスリリングなものとなる。

「彼はすべての面で素晴らしいプレーヤーだ。今日はサーブがいいと感じた」。そのプレーを、勝者のナダルが絶賛した。熱戦にピリオドが打たれると、両者は肩を抱き合い、互いの健闘を称えた。

昨年の「楽天ジャパンオープン」での一場面を思い出した。この時は勝者の側だったシュワルツマンが、仲のいいスティーブ・ジョンソン(アメリカ)と、まるで一緒に酒杯をかわす仲間同士のように、試合終了の握手をしたのだった。

シュワルツマンの退場時、ナダルはいつもそうするように、ウェアや用具の後始末をする手を止めて立ち上がり、拍手で対戦相手を見送った。コート上でのインタビューでは、92、93年の「全豪オープン」覇者ジム・クーリエの差し出すマイクに向かい、4時間の戦いを演じた仲間にエールを送った。

「彼は仲のいい友人だ。こうして好スタートを切れたので、いいシーズンを過ごしてほしい」。賛意を示すように、ロッド・レーバーアリーナに盛大な拍手が起き、口笛や歓声が飛び交った。(秋山英宏)

※写真は「全豪オープン」4回戦で激闘を演じたシュワルツマン(左)とナダル(右)

(Photo by Recep Sakar/Anadolu Agency/Getty Images)