【玉田圭司インタビュー 後編】 玉田圭司といえば、2006年のドイツW杯でブラジルから奪った、豪快な先制点を思い出す…

【玉田圭司インタビュー 後編】

 玉田圭司といえば、2006年のドイツW杯でブラジルから奪った、豪快な先制点を思い出す人も多いだろう。

 インタビューの前編では所属先の名古屋グランパスとJリーグについて語ってもらったが、戻ってきたJ1の舞台で注目を集めるようになれば、再び日の丸を背負う可能性はゼロではないはずだ。

“W杯イヤー”が始まった今、玉田本人も「まだ諦めていない」というロシアW杯と日本代表について聞いた。



2006年のドイツW杯で、ブラジルから先制点を奪った玉田圭司 photo by Getty Images

――今年はロシアでワールドカップが開催されます。玉田選手は2006年ドイツと2010年南アフリカの2大会に出場し、ドイツ大会ではブラジル戦で見事な先制点を叩き込んでいます。まずはあのシュートの瞬間を振り返ってもらえますか?

「だいぶ前なんでねえ(笑)。あの後にこういう質問は何度か受けたんですけど、ほとんど覚えていないんですよ。もちろん、シュートを打つ時に見えた光景とかは頭に残っていますが、そこまでの動きなどは映像で見返して、『あ、こんなだったんだ』とわかったくらい。完璧に試合に集中していたからだと思います。本能的なものというか」

――このシュートのほか、2004年のアジアカップ決勝でもゴールを決めています。大舞台が好きなんですか? 

「そういう試合の方が燃える、というのはあります。『やってやろう』という感じで。もちろん、他の試合に気持ちが入らないわけではないんですけどね(笑)

――大一番を前に、緊張したりすることはないんでしょうか。

「試合前に、いい意味で緊張することはありますけど、ピッチに入って集中すると、そんな感覚もまったくなくなりますね」

――対処法も特にないですか?

「ルーティンとかはないですね。僕の場合は、そういうのがあると逆にいろいろ考えてしまいそうなので。いつも自然体でいることが、僕にとっては大事なのかな」

――実際に2度経験した玉田選手にとって、ワールドカップとはどんなものでしたか? 特に驚いたことがあれば、教えてください。

「4年に1度の大会で、出たくても出られない選手がいるなか、2度も出場できたことは光栄です。ただ僕は、それほど特別な感じはしなかったです」

――特別ではない?

「A代表の国際試合になると、(ワールドカップでなくても)練習場もホテルもいい環境が整っているので、そうした面で特に驚いたりはしなかったです。練習に来るメディアの数が多いとかはありましたけど、それぐらいですかね。

 帰国してから、いろいろと見たり聞いたりして、『あ、こんなに注目されていたんだ』と確認するような感じでした。大会中にはテレビも見ないし、僕はインターネットのニュースとかもあんまり読まないので、日本でどんなに盛り上がっているとか、わからなかったんですよね」


自身の経験を振り返りながら、W杯について語る玉田

 photo by Murakami Shogo

――では経験者として、半年後のロシア・ワールドカップに臨む日本代表にアドバイスを送るとしたら?

「僕もまだ諦めてないんですけどね(笑)」

――失礼しました。それは後で聞こうと思っていたのですが(笑)。

「そうですか(笑)。日本代表は、いろいろと積み重ねてきたものがあるなか、今はハリルホジッチ監督というボスのもとでひとつにまとまることが大事だと思います。団結することは、他の国よりも日本が得意としていることなので、その長所を生かすべきです」

――今回、日本代表はコロンビア、セネガル、ポーランドと同じ組に入りました。このグループHをどう見ていますか?

「はっきり言うと、3チームとも日本よりレベルは上だと思う。でも絶対にかなわない相手もいない。難しいとは思うけど、そもそもW杯に簡単な相手はいません。だから、さっき言ったように、組織力や団結力を生かすべきです。自分たちの時間は少ないかもしれないけど、我慢して一発を狙うなど、チャンスはあると思います」

――ハリルホジッチ監督の話が出ましたが、玉田選手は2008年5月の親善試合で彼が監督に就任したばかりのコートジボワールと対戦し、ゴールを決めています。

「え、あの豊スタで1-0で勝った時ですか? 相手のベンチにいたんだ……」

――そうなんです。それから、玉田選手は2009年9月にオランダで行なわれたガーナとの親善試合でもゴールを挙げています。今回、セネガルと対戦する日本にアフリカ勢の攻略法を伝えるとすれば?

「アフリカの選手はよく言われているように、身体能力が図抜けています。僕が対戦した感覚では、たぶん世界一。でも、その分スキもあって、集中が切れる時もある。逆に、日本は集中力の高さが長所のひとつなので、90分間切らさずに戦えば、相手のスキを突くことはできるんじゃないかな」

――セネガルには、サディオ・マネを筆頭に強力なアタッカーもいますが。

「リバプールのすごく速い選手ですよね。それは(吉田)麻也がよく知っているんじゃないですかね。いろいろと情報を持っているはずだから、それを生かしてチームで準備すべきです」

――では、先ほど前後してしまった質問です。50歳の三浦知良選手も「まだ代表を諦めていない」と公言していますが、玉田選手も同じ気持ちということですね?

「代表を目指している、といえば違うかもしれないですけど、僕は負けず嫌いだし、『誰にも負けていない』という気持ちを常に持っています。今年はJ1で戦えるので、そこで充実した日々を過ごして、際立った存在になりたいですね」

――今季はプロ20年目のシーズンとなりますが、トップレベルで長くプレーを続けるために気をつけていることはありますか?

「体のケアはするようになりましたね。あとは単純によく食べてよく寝て、いい私生活を送ること。あんまり眠りすぎるのはよくないと聞いたので、自分に合った普段通りの生活を続けることですかね」



photo by Murakami Shogo

――食生活で気にかけていることはありますか?

「家では妻に作ってもらって、チームには栄養士の方がいるので、基本的には頼っています。バランスよく食べるようにして、あんまり制限されると僕はストレスになってしまうので、好きなものもコントロールしながら食べています」

――お好きなものとは?

「甘いものが好きなんですよね(笑)。チョコレートとか。疲れている時なんか、体が欲するので、適度に食べています」

――若い頃と比べて、落ちたものと上がったものがあれば教えていただけますか?

「落ちたものはないと信じています。上がったものは、いろいろと経験してきて、たくさんの景色が見られるようになったことかな」

――それは視野が広がったという意味ですか?

「視野が広がったのもそうですけど、それだけではないです。言葉にするのは難しいんですが……。でも、その感覚は僕の大きな財産です」

――今回のワールドカップには、GKですが、エジプトの選手が45歳で試合に出場する可能性があるようです。

「それはすごいな。まあでも、周りはそこを気にしますけど、いいプレーをすることと年齢は関係ないですけどね。だから僕も、『あの人、あんな年齢なのにすごいな』と思われるように頑張りたいです」