かつて、ピーターアーツをはじめ世界の名だたる格闘家と拳を交え、引退後は自ら考案したフィットネスプログラムを企業研修として導入を図る、ファイトネスの創始者でもある大山峻護さん。そして、ヨガインストラクターとしてすでに10年以上のキャリアを持…

かつて、ピーターアーツをはじめ世界の名だたる格闘家と拳を交え、引退後は自ら考案したフィットネスプログラムを企業研修として導入を図る、ファイトネスの創始者でもある大山峻護さん。そして、ヨガインストラクターとしてすでに10年以上のキャリアを持ち、企業ヨガやReebokONEアンバサダーとして活躍する京乃ともみさん。全く異なるキャリアでありながらトップアスリートとして第一線を走る二人が、お互いの生き方や価値観を紐解くなかで、どのような発見・気づき・刺激を受けたのか?

忙しい毎日を送るビジネスマン・ウーマンの、持つべき視野のヒントがそこにはあった。

引退後すべてがなくなって…心に決めたこと。

京乃:引退した瞬間に、選手ってセカンドキャリア深刻な問題だと思うんですけど、周りの人の対応が違うな、とかあったんですか?

大山:それは当たり前にありますよね。もちろん同じ距離でいてくれる仲間たちもたくさんいるけど、一切連絡なくなる人もいるし、それは当たり前のことなんだ、というのがあって。それも、僕には強烈なエネルギーなんですよ。今に見てろよ、という。(笑)逆に感謝していて、あの時僕はすごく寂しかったし、悔しかったし、それがすさまじいエネルギーになって。「アスリート引退して終わりだと思うなよ!終わってからも絶対輝いてやる!」と。そういう思いで3年経った今もふつふつと腹の中でエネルギーになっています。そこで誰か手を差し伸べてくれていたら僕は甘えていたし、それでよかったと。

アスリートもきっとセカンドキャリアに迷っちゃう、寂しい思いする、自分の力を発揮できないままどうしたらいいかわからない人たちがいっぱいいるので、僕はアスリートのセカンドキャリアの新しい形、選択肢を作りたいと思う。企業に行って、僕の持っているものを提供して喜んでもらえれば、新しい形になるからがんばっています。

セカンドキャリア、ファイトネスという道。

京乃:どのようにしてファイトネスを始めたんですか?

大山:40歳で引退をして何も考えてなかったんですよ、そのあとの人生って。何していいかわからなくなって。いきなり無職じゃないですか。でも、まず僕いろんな人にアドバイスをもらって。お話聞いてくださいって、いろんな人に会って。そのときに社会でメンタルダウンしている人が多くなっているということを聞いて、厚労省からストレスチェック義務付けする、という話があって、そんなに病んでる人が社会にいるなら、僕のエクササイズを持っていったら喜ぶんじゃないかな、というのが最初のスタート。

京乃:選手のときとかも、アップダウンあるじゃないですか。だから気持ちが優れなかったり、ダウンするの人の気持ちもわかるんじゃないですか?すごい寄り添ってあげられそう。

大山:体動かすことで心が元気になることを体感で知っているから、それを伝えるために自分で営業するようにして。最初は友達の会社でやらしてもらったんですよ。それからその会社でやったファイトネスをSNSで見た社長さんがうちでやってくれって言ってもらい手応えを感じて、「よっしゃ営業しよう!」と思って自分で名刺交換して営業始めたんですよ。

京乃:ぜひわたしファイトネス受けてみたいです(笑)

大山:ありがとうございます。ぜひ!(笑)ファイトネスは日本中に広げていきたいというのがありますね。いいことしかないんですよ。まず元気になり、アスリートの仲間たちは自分の価値をもう一回知ることができて、元気になる人が増えれば日本全体も元気になるし、いいことしかないから、、、僕の頭の中ではいいイメージ。

京乃:いいイメージ、ハッピーな人たちが日本中にあふれている、みたいな(笑)

大山:いろんなものがいま動き始めているというか、2年半、ファイトネス始めさせてもらって60社、頭の中でそのイメージができあがってるんですね。僕、勉強してこなかったし、みんなが知ってるような一般常識も知らないけど、唯一子供の頃から培ってきたのは想像力だから、それは今でも活きてますよね。引退したあとにも僕を助けてくれていますよね。アスリートの仲間たちといままで体験したこと、乗り越えてきた経験が全部社会貢献に使えるからファイターやアスリートが持ってるストーリーを伝えて、そして運動してもらって心も体も元気になってもらう、というスタイルをどんどん広げていきたいですね。そういう使命感ですね。

お話しがあったように、お二人とも企業にもたくさん行かれてプログラムをやられていますが、自分の活動を通じて働く人たちにどうなってほしい、と思うことはありますか?

ヨガを通じた、生き方のヒントとは。

京乃:わたしすごくヨガの中で働く人にヒントがあるなと思うのは、自分と向き合うこともそうなんですけど、ヨガマットの上でヨガやってる間っていうのは自分のことを客観視してるんですよ。あんまり主観的にならなくて。逆に主観的になるとポーズでバランスがとりにくくて。いまお尻がもうちょっとあがってないなとか冷静に自分を見つめたり客観視して俯瞰できると、ヨガのポーズって洗練されていくんですよね。なので、一歩引いて自分を見るスタンスがヨガかからはすごくヒントを与えられるのかな、と思っています。

大山:確かにそうですよね。なるほど。それはヨガでそう言うことを考えているとは思いませんでした。

京乃:それって呼吸法とかもそうだったりするんですけど、一回自分で落ち着いて一歩引く、すごい自分が主観的になってちょっと落ち着かないなとか、感情がすごい渦巻いている時にこそ一歩引いて物事を見られるようになると、もっとすごくハッピーかなと思います。

企業でのヨガインストラクション

ファイトネスを通じて、受講者のみなさんの人生をプラスに動かしたい。

京乃:大山さんは何か大切にされていることはありますか?

大山:昔からその人の人生に僕が関わることで少しでもプラスの方向に背中を押すことができたらこんな幸せなことないな、と思っています。ファイトネスが人と出会うことで、ほんのちょっとでも人生がいい方向にいってもらうきっかけになれたらうれしいです。それが一番幸せだなぁ。

心と体がつながってるってすごくシンプルなんですけどね、ちょっと姿勢正すだけでも、ちょっと目線上げるだけでも、ちょっと体動かすだけでも心は元気になるし、ちょっとしたきっかけで心も変わるし、ちょっとしたきっかけで人生も変わるし。そんなことに気づいてもらって人生がちょっとでもいい方向に動いてくれたらうれしいですね。

京乃:わたしいつか子供うまれたら1週間くらい預けたいですね。(笑)すごい変わって帰って来そう。顔が違うよー、みたいな(笑)

大山:京乃さんは、次に向けて新しいチャレンジ・目標はありますか?

京乃:ずっと2年前から書籍をつくりたいと思っていて。いまでもまだそれかなっていなくて。本当は30なる前に出すって目標だったんですけど、30なっちゃったから、35まで変えちゃいました。設定を(笑)書籍にしたいって思っていて、そうしたらそれをもって学校などでのヨガ教室で説得力が増すのかな、とか。

たとえば企業の人たちがどうしてヨガをするのか、とか。100歳まで自分の足で歩くヨガ、とか。

35までに本出せたらいいな、って今思っています。(笑)

大山さんはいかがですか?

大山:チャレンジですよね、そう、僕ね、ファイトネスはずっと一生懸命営業したりしてきたんですけどね、ほかにもできることきっとあるな、って感じて来ていて、それをいま探ってますね。ファイトネスはもちろん続けていくんですけど、きっと何かもう一つやるんだろうなというのは漠然と感じてて。それがなんなのか、はまだ正直見えてないんですけど(笑)

僕がこういう風に予感したときって必ず何かいつも動き出すから、いまアンテナ張ってるところです。それが見えた時に一気に動き出そうって。元気にしていく人を増やすっていう想いをもっと広げていくやり方があるんじゃないかな、というのをすごい感じるんです。その目的を大切にするんであれば、ファイトネスだけにこだわる必要はないな、と。僕が一番やりたいことは、沢山の人に勇気と感動とか喜びを与えたいことだから。

京乃:大山さん見てると、人生ワクワクしてないといけないですよね。ときめきがなくなったりワクワクがなくなったりすると、生活って見える色が変わりそうじゃないですか。すっごいワクワクとか、人生ときめいているように感じます(笑)

大山:いろんな人にあって、いろんなお話を聞くのが楽しくて。凝り固まってきちゃったから、ずっと格闘技村で生きてきて、考え方も固くなっちゃってるし、今日もこうやって違う生き方とか発想聞いて。いま視野を広げているところです。

お二人の対談を聞いて感じることは、共通して卓越した行動力があること。そしてその行動の元には、大山さんは強烈なゴールイメージを持ちそこにひたむきに向かっていく、京乃さんは俯瞰的に物事見て自分自身を見つめる、というそれぞれ強い信念とポリシーをもって推進されています。そのようなポジティブなオーラを持つお二人は、ともに企業などでご自身のからだとことばを通じて、その信念やポリシーを伝え拡げています。これからますます生きる・働く環境が激変する中で、ビジネスマン・ウーマンにとって、お二人の生き方そのもの、そして視野の持ち方はとてもヒントになるのではないでしょうか。