元総合格闘家/ファイトネス創始者・大山峻護、REEBOKアンバサダー/ヨガインストラクター・京乃ともみかつて、ピーター・アーツをはじめ世界の名だたる格闘家と拳を交え、引退後は自ら考案したフィットネスプログラムを企業研修として導入を図る、ファ…
かつて、ピーター・アーツをはじめ世界の名だたる格闘家と拳を交え、引退後は自ら考案したフィットネスプログラムを企業研修として導入を図る、ファイトネスの創始者でもある大山峻護さん。そして、ヨガインストラクターとしてすでに10年以上のキャリアを持ち、企業ヨガやReebokONEアンバサダーとして活躍する京乃ともみさん。全く異なるキャリアでありながらトップアスリートとして第一線を走る二人が、お互いの生き方や価値観を紐解くなかで、どのような発見・気づき・刺激を受けたのか?忙しい毎日を送るビジネスマン・ウーマンの、持つべき視野のヒントがそこにはあった。
ウルトラマンに憧れて、格闘家へ
京乃:どうして柔道や格闘技の道に進まれたのですか?
大山:もともとすごい弱虫だったんですけど、ウルトラマンとかヒーローものの番組をみて、それで強くなりたい、と思ったのがきっかけです。
京乃:ウルトラマンの人うれしいですよね(笑)
大山:戦隊モノとかウルトラマンとか仮面ライダーとか全盛だったから、それに憧れて柔道始めたんです。ヒーロー全般ですね。こんな風になりたいなぁ、と。それがきっかけですね。
京乃:ヨガの一番有名なポーズって、ウォーリア1、2っていうものなんです。ヴィラ・ヴァドラーサナというサンスクリット名なんですけど、ヴィラってヒーローとか英雄って言うんですよ。ヨガの人ももしかしたらヒーローに憧れていたのかな、って思います(笑)
大山:憧れの力って強いですよね。ウルトラマンに憧れて、それから小学校1年生になったらプロレスに憧れてアントニオ猪木さんとかタイガーマスクになって、そのあとは柔道の古賀稔彦さんになって。対象は変わるんですけど、ずっと憧れやヒーローがあって、なんです。
勝るのは、「恐怖」より「ワクワク」
京乃:海外の有名なファイターと戦ってこられたのは、現役の間ずっとですか?
大山:柔道家からプロの格闘家に転向したのが26歳のときだったんですけど、当時プライドという格闘技の全盛だったんですよね。その団体に出られるようになって、対戦相手として本当にすさまじく強い選手をマッチメイクしてもらえたんです。
京乃:絶対怖いですよね。わたし女性だからかもしれないですけど。
大山:怖さよりワクワクの方が全然ありました。子供の頃に見たウルトラマンが怪獣に挑むじゃないけど、僕の中にそれが強烈に植え付けられてるから、そういう強い選手と戦えるっていうのはワクワクするんですよ。恐怖はありますが、それを上回ってワクワクします。
京乃:ワクワクっておっしゃっているものの、どんどん強い選手だったりとか、自分だけじゃなく周りの格闘家たちも強いもの同士で試合したりするじゃないですか。あの人があの人に勝った、とか見ることもあると思うんですけど、そういったなかで自分の中での打ち勝つやり方、やり口みたいなのってありますか?
大山:まず、仲間たちの戦いはすごく刺激になったんですけど、その刺激っていうのはジェラシーですね。とんでもなく内臓えぐられるくらいのジェラシーですね。現役のときってジェラシーとの戦いでもあったんですよね。テレビ見てて、後輩とか仲間とか活躍していると、純粋に応援なんて全くできない。心の中では負けろとか思っちゃったりして、活躍している姿を見ると、内臓ぐちゃぐちゃにされるくらい悔しかったし、逆にそれがあるから、がんばろうと思えたのもあるんですね。だからすごいマッチメイクを僕はされてきたんですけど、勝って人生を変えてやる、というモチベーションの方が全然おっきくて。
京乃:そこに背負っているものが人生を感じるんですね。これを乗り越えて自分を変えようというか、、、
大山:僕はずっともがいてきたっていうところがあるんですよ。柔道時代もなかなかうまくいかなかったし。プロになっても怪我ばっかりしてたんです。だからいつかひっくり返してやる、って思いでいたんですよ。世界的なファイターと組まれて、怖さよりも勝って人生が変わっていくんじゃないかというワクワク感の方が大きいから、頭の中では勝つことしか考えていなかったですね。
ひょんなことから始めたヨガ活動
大山:京乃さんは、ヨガを始められたきっかけはなんだったですか?
京乃:ほんとひょんなことがきっかけです。大学のときに友人がアメリカに留学に行ったんですよ。友達に会いにLAに行ったら、彼女がいたアメリカではすでにオーガニック食べてスムージー飲んでヨガやってというのが大ブームで。日本は5年くらい遅れてやってくるんですけど、友達がそこでヨガやっててサンタモニカのスタジオに連れて行ってもらったんです。汗かいてしっかり動いて瞑想状態に入ってというのがすごい気持ちいいなと思って。英語のインストラクションも、もっと自分と向き合って、人と比べないで、っていう風に言われて。すごいいいなと思ったんです。
大山:そこからインストラクターになったんですか?
京乃: 日本に帰ってきた時に、日本はまだリラックスとストレッチというのが主流でちょっと物足りなかったから、ハワイ島に留学に行ってヨガの資格を取りに行き、その後もインドに行ったり、サンディエゴでマーシャルアーツを取り入れた”ヨギックアーツ”というプログラムの資格を取りに行って。いますごいマーシャルアーツ流行ってるんですよね、アメリカで。
大山:マーシャルアーツ!?ヨガと組み合わさってるんですか?
京乃:私のヨガの先生はチャイニーズアメリカンなんです。彼のスタンスは、自分のルーツで彼のおじいちゃんたちがやっていた武道とヨガとタイマッサージを掛け合わせた独自のスタンスがあるんです。その勉強をしにサンディエゴに一回行って、そのあとは彼の各地のトレーニングに参加しています。常にアップデートしたり、学び続けて、それをアウトプットしていくんです。
ヨガインストラクターの原点は、被災地 大鎚町
大山:そのような資格をとってインストラクターの活動はどのように始めたんですか?
京乃:資格は取っていたんですけど、スタジオで教えたりしていなかったときに、実は被災地に行ったりとか、千葉大学と共同運営しているうつ病・知的障碍者のNPO法人があって、そこに2週間に1回ボランティアで120分のプログラムをしに行っていたんです。
大山:それはすごいなぁ。被災地はどこに行ってて、何がきっかけだんたんですか?
京乃:岩手県の大鎚町に行ったのと、福島県の郡山ですね。それが自分の人生での初めてのクラスだったんです。初めての自分のレッスンが、被災地のボランティアだったんです。そのころちょうどFリーグの仕事をしていて、JFAの岩手の方が組んでくださって、東北震災のとき仮設住宅の人たちにヨガを教えてに行ったのが人生で最初のクラスでした。レッスンが終わった後に、「先生はいつもどこで教えてるんですか?東京に来たときは遊びに行きます」って声かけてもらった時に、わたしヨガの講師になろう、って思ったんです。
ポリシーは、目的をもったヨガインストラクション
京乃:そうやって人が喜んでくれることにすごい喜びを感じるんです。いまでも福祉のヨガもやっていて、いまは墨田区の健康増進事業という、墨田区の在勤在住の人が受けられる福祉の仕事があって、それもずっと続けていて。やっぱりそれをやっていると自分がヨガが好きなんだな、って毎回思える時間なんです。
大山:想いが素敵ですよね!
ヨガのインストラクターの方ってたくさんいらっしゃいますが、その中で京乃さんがポリシーとか大切にしてることってありますか?
京乃:自分でもそこは悩みでもあったんですが、たとえばこの呼吸法は仕事のプレゼンの前にやるといいですよとか、体をねじるような動きをするスポーツとかであればこういう風にやわらかくしてくださいねとか、ひとつひとつ“目的”があった方がお話ししやすいですね。股関節広げたい人、例えば水泳の選手で1cm届けば速さが変わるとか、仕事に活かせるとか、いろんな人に対してヨガを向けたいな、と思います。あと、ウォーキング指導師の資格をとって正しい姿勢と歩き方で町を歩くというのもやっていて、正しい姿勢と歩き方で颯爽と歩いてると仕事ができそうに見える!というようなサポートもやってます。十分コアの部分を勉強してきたという自負があるから、その上でどうやったらもうちょっと何かに活かせるかとかそういう視点で伝えていきたいな、と思っています。
大山:ヨガって学ぶことも多いんですね。
京乃:ヨガってすごい歴史も長いし、インドに行ったら行ったですごい貴重な体験だったんですけど、インドでいうと神に捧げるヨガというのがすごく強くて、それも聞かれらたら答えられる講師でありたいなと思ったので、それは勉強してすごく知れてよかったんです。でも、もうちょっと社会に活かせるように、解剖学的に勉強したいと思って、ヨガのスピリチュアルな部分も大事しつつ、解剖学的に何かのパフォーマンスをあげるとか仕事や社会に溶け合うようなヨガのスタンスでやりたいと思っています。
強烈な「ゴールイメージ」が、成功を呼ぶ
京乃:大山さんは格闘されていて勝つためにどういうことを大切にされてたんですか?
大山:アスリートはみんなやってると思うんですけど、感情の部分まで震えるくらいまで“勝つイメージ”していましたね。ほんと具体的に。イメージっていうと、みんな頭の中に映像が出て、それをこう俯瞰しているみたいなのがあると思いますが、本当のイメージというのはその世界に入るんですよね。どーんと想像世界に入って、緊張感も感じるし、声援だったりとか、技を決めたときの感触だったりとか、勝った時のやったーということとか、リアルにイメージするんです。
京乃:ゴールを強烈にイメージしている、具体的にイメージしている、ってすごいですよね。一番最初に勝てるイメージするときって、勝たないとそのイメージってできないじゃないですか?どういうところでイメージしていたのですか?
大山:好きだから試合も見るし、脳の中の積み重ねっていっぱいあるから疑似体験してるじゃないですか。だから引き出しは実は頭の中にいっぱいあって、こうなりたいっていうのはそんな難しいことじゃなかったですね。結構都合のいいとこばっかりイメージしちゃうタイプだから、それががーんとはまったときはうまくいくし、そうじゃなかったときは脆かったりしますよね(笑)
京乃:ピータアーツとの試合は30秒で勝たれたというのは衝撃でしたが、そこはイメージはどうでしたか?
大山:あれはもうイメージがほんとに確信まで落ちていて、半年前にイメージしたことが全部実現できました。あそこまで確信まで持てた試合ってあんまりないんですよね。なんであそこまで強烈に思えたのか、ちょっとわからない部分もありますよね。あのレベルと同じくらい心と体と全てイメージが確信まで満ちて試合に挑むことができれば、もっともっと高いパフォーマンスを出すことができたし、もっと勝率も上がったと思うんですけど。。。そこが僕は弱いところで、上がったり下がったり、できたりできなかったり、これが高い確率でできる選手が一流選手と言われる人たちだと思うんですよね。僕はそこが甘かったように感じますね。
京乃:すごいやっぱりイメージって大事なんですね。勉強になる(笑)でもそのいいイメージが強さの秘訣だったのかもしれないですよね。
大山:イメージとかビジョンとかそう言うと特別なものに思われがちなんですけど、結局、想像じゃないですか。想像ってみんな子供の頃からいまも当たり前にしていることで、実はそんな特別なことじゃないんですよね。好きなことになればなるほど没頭してその世界に入れるから。想像力を膨らませるってことなんだと。最近外でお話しするようになって、イメージとかっていうと特別なものとして捉えようとしちゃうから、想像だとみんな当たり前にしてることだから、想像をどれだけ膨らませていくことができるか、世界に入ることができるかが何をするにも大切なのかな、って。
京乃:ずーっとしゃべってほしいな(笑)聞いてたい(笑)
さて、前編は、これまでの活動をベースにお話いただきました。
後編は、これらの経験を踏まえてこれからの活動やチャレンジについてお話しいただきます。