「全豪オープン」のドロー直前、ロジャー・フェデラー(スイス)はやや居心地の悪い立場に立たされている自分に気づいた。ただそこにいることが居心地が悪かったのだ。数分後、一連の手続きが終了した後で、フェデラーは6度優勝のノバク・ジョコビッチ(セル…

「全豪オープン」のドロー直前、ロジャー・フェデラー(スイス)はやや居心地の悪い立場に立たされている自分に気づいた。

ただそこにいることが居心地が悪かったのだ。

数分後、一連の手続きが終了した後で、フェデラーは6度優勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア)と同じハーフになって、タイトルを防衛するのがいかに難しいか気づかされた。

フェデラーは木曜日のドロー抽選の前に、マーガレット・コート・アリーナに集まった数百人のファンに言った。「いつもはこうじゃないんだ。緊張するから、普段はドローに行くのは好きじゃない。シートの一番下を見て、1回戦の相手を確認する以外は、対戦相手を知りたくないんだ」

36歳のフェデラーは、1回戦でアルヤズ・ベデネ(イギリス)と対戦する。フェデラーのクオーターには他に世界ランク7位のダビド・ゴファン(ベルギー)、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)、サム・クエリー(アメリカ)、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)らが顔を揃える。

準決勝では、史上初となる「全豪オープン」7度の優勝を目指すジョコビッチと対戦する可能性がある。右肘の怪我で半年間休養していたジョコビッチは、第14シードとなっている。

ジョコビッチと同じクオーターには、第4シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と第32シードのミーシャ・ズベレフ(ドイツ)、2014年の覇者スタン・ワウリンカ(スイス)、第5シードのドミニク・ティーム(オーストリア)がいる。ちなみに、ズベレフ兄弟は3回戦で対戦する可能性がある。

昨年、半年間の休養から復帰後にこの「全豪オープン」決勝でラファエル・ナダル(スペイン)を下したフェデラーは第2シードで、20回目となるグランドスラム・シングルスのタイトル獲得を目指す。

ジョコビッチの2017年はフェデラーとは対照的で、世界ランク2位で1年をスタートしながら「全豪オープン」2回戦で敗退し、「ウィンブルドン」以降はプレーしなかった。ジョコビッチがグランドスラムの決勝に1度も進出できなかったのは2009年以来のことだった。ジョコビッチの復帰は遅れていたが、今週のエキシビションに2度登場している。

世界ランク1位のナダルの初戦の相手はビクトル・エストレーリャ ブルゴス(ドミニカ共和国)で、4回戦ではジョン・イズナー(アメリカ)と、ドローのハーフでは第3シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)と対戦する可能性がある。ナダルは「全豪オープン」で決勝に進出した後、「全仏オープン」と「全米オープン」で優勝し、2017年のグランドスラムのタイトルをフェデラーと分け合った。

第1子を出産後4カ月しか経っていないセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)はタイトルを防衛しない決断を下したことから、ドローには登場していない。

ウイリアムズ姉妹の対決となった昨年の「全豪オープン」で敗北した姉のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)の初戦の相手は、先週の「ホップマンカップ」のスイスチームでフェデラーと組んで優勝したベリンダ・ベンチッチ(スイス)という難敵となった。「全米オープン」覇者のスローン・スティーブンス(アメリカ)も、ビーナスと同じクオーターとなっている。

世界ランク1位のシモナ・ハレプ(ルーマニア)はワイルドカードのデスタニー・アイアバ(オーストラリア)と1回戦で対戦し、2回戦の相手は2014年に決勝まで勝ち進んだユージェニー・ブシャール(カナダ)となる可能性があり、同じハーフには「ウィンブルドン」覇者のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)が控える。

第3シードのムグルッサは元「全豪オープン」覇者のマリア・シャラポワ(ロシア)とアンジェリック・ケルバー(ドイツ)、「全米オープン」準優勝のマディソン・キーズ(アメリカ)と同じという、厳しいクオーターに入っている。

「全豪オープン」では2008年に優勝し、3度準優勝を果たしているシャラポワは、2016年の「全豪オープン」のドーピング検査で陽性になり、15カ月の資格停止中だった昨年の大会は欠場した。

4大大会のタイトルを5度獲得しているシャラポワの2017年末の世界ランクは60位だったことから「全豪オープン」ではシードをはずれており、3回戦で2016年の覇者ケルバーと対戦する可能性がある。

「トップに返り咲くのは簡単なことではありません」とシャラポワはドロー抽選の前にマーガレット・コート・アリーナの観衆に語った。「トップへ行くには、トッププレーヤーに勝たなくてはなりませんから」

大会ディレクターのクレイグ・ティリー氏は、シャラポワの資格停止期間は終了しており、元優勝者として出席してもらったとして、30歳のロシアのシャラポワを女子ドローのために代表として招いた決断の正当性を主張した。

シャラポワは、長期間戦列を離れていたために、ツアー復帰に際しては忍耐が必要であるものの、世界ランク1位へ返り咲いて4大大会で優勝する自信はあると語った。

「意欲は今もあります。もちろん、あのポジションへ戻りたいと思っています」とシャラポワは言った。「自分にとても期待しています。私はそのポジションにいたことがありますし、その時にはちゃんと結果を出しましたから。これからもそうするつもりです」(C)AP(テニスデイリー編集部)

※写真は「全豪オープン」のドロー抽選に参加したフェデラー

(AP Photo/Mark Baker)