25-32と7点ビハインドを背負うサンウルブズが同点とする好機を得たのは、後半25分頃だった。 中盤左のスクラムをどうにか安定させ、SOトゥシ・ピシがナイフのランを仕掛ける。右へ、右へとラックを連取。ゴール前に進むと左、左へと陣形を象り、…

 25-32と7点ビハインドを背負うサンウルブズが同点とする好機を得たのは、後半25分頃だった。

 中盤左のスクラムをどうにか安定させ、SOトゥシ・ピシがナイフのランを仕掛ける。右へ、右へとラックを連取。ゴール前に進むと左、左へと陣形を象り、攻める。

 0-10と苦しんだ前半の20分間を踏まえつつも、マーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)は確信できた。

「最初は雑なプレーが多かった。ただ、その後からは自分たちをコントロールでき始めた」

 敵陣22メートルエリア右端からは左、左とフェーズを重ねる。

 左端まで到達。球をもらったのはCTB立川理道ゲーム主将だ。2人がかりのタックルを食らいながら、着実なボール保持を目指した。

 その後ろでは、WTBパエア・ミフィポセチがその密集から球を持ち出すべく待ち構えていた。しかし、もみくちゃにされたCTB立川ゲーム主将は「それを敵だと思ってしまって…」。球を前に落とした。

 約7分後の32分、自陣ゴール前左。終始苦しめられたモールを故意に崩したとされ、SOジェイク・マッキンタイアのペナルティゴールで25-35とだめを押された。
 
 14日は準ホームのシンガポールで南アフリカ上位のストーマーズと17-17とドローも、この午後、ここまで2勝のレッズに屈した。発足後ふたつめの白星を得られなかった。  

 レッズのお家芸たるスクラムには、苦しめられた。

 体勢を低くして最前列同士の連携を密に取った試合中盤こそ、どうにか伍して渡り合えた。

 もっとも、前半2分の1本目で押しつぶされて反則を食らうなど、PR垣永真之介の頭には「強かった」と印象が残った。試合後、語る。

「研究はしていたけど、想像以上。レッズの人と話しましたが、自信を持っていました」

 ちなみにこの場面を経て敵陣に入ったレッズは、FB五郎丸歩のペナルティゴールで先制点を挙げた。

 ハメットHCの言葉通り、「雑なプレー」にも泣いた。

 サンウルブズは、「守備で前に上がる。その裏を蹴ろう」とCTB立川ゲーム主将。日本代表でともにプレー経験のあるFB五郎丸の特徴を踏まえ、陣地の取り方を練っていた。

 7-10とした前半24分頃、ハーフ線付近からSOピシがFB五郎丸の背後へキックを放つ。

 SOピシら一斉に駆け上がって網を張る。切り返しを図るFB五郎丸にパスミスをさせた。

 しかし、その直後の攻撃権をまもなく失った。

 一度スペースをえぐったWTBジョン・スチュワートは、倒された際、双方の援護役に囲まれるなかで球を乱してしまったのだ。
 手堅い陣形構築とボール継続は、前半22分、後半10分、15分のトライにつながった。終始、接戦だった。

 ゆえにCTB立川ゲーム主将は…。

「ゲインラインを(想定以上に)切れて前に出た時に…。そこでもあえて(着実に)キープすれば、取れる感覚はあった…」

 勝ち切れそうで勝ち切れなかった80分をこう悔やむのだった。(文:向 風見也)