ごく最近、世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に痛恨の敗北を食らわせたアンディ・マレー(イギリス)は、クレーでの自分の調子のよさに大いに励まされ、自信を胸に全仏オープンに挑む。 マレーは昨年の全仏オープンの準決勝でジョコビ…

 ごく最近、世界ナンバーワンのノバク・ジョコビッチ(セルビア)に痛恨の敗北を食らわせたアンディ・マレー(イギリス)は、クレーでの自分の調子のよさに大いに励まされ、自信を胸に全仏オープンに挑む。

 マレーは昨年の全仏オープンの準決勝でジョコビッチに敗れたが、抵抗することなく頭を垂れたわけではない。彼は2セットダウンから挽回し、勝負をファイナルセットに持ち込むことにより、ジョコビッチを大いに苦しめた(3-6 3-6 7-5 7-5 1-6)。

 先週末、ローマの大会の決勝で、マレーに3-6 3-6で敗れたジョコビッチは、マレーのテニスの向上にスポットライトを当てるのに相応しい立場にいる。

 「セカンドサービスは、彼が力を入れて練習していたショットの一つだろう。この分野で彼はとても上達した」と、金曜日にジョコビッチは話している。「彼はセカンドサービスに、より深さとスピードを加えた。言うまでもなく、それは彼を大いに助けている」。

 マレーのグランドスラム大会のタイトルは、2013年ウィンブルドン(グラスコート)と、2012年全米オープン(ハードコート)で、さらに2012年には、ウィンブルドンと同じ会場でオリンピックの金メダルも獲得している。

 マレーがこれまでのキャリアで獲得した「36」のタイトルのうち、クレーのタイトルは3つだけとはいえ、そのすべてが、過去14ヵ月の間に獲得したものだ。昨年のマレーは、ミュンヘンとマドリッドで、2週連続でクレーのタイトルを獲得しており、マドリッド決勝では、9度にわたって全仏オープンを制した、ラファエル・ナダル(スペイン)を6-3 6-2 で下していた。

 そして今年のマレーは、モンテカルロで準決勝に進出し、今季のクレーコート・シーズンをスタートさせた。準決勝ではナダルにフルセットの戦いの末、敗れている。

 続くマドリッドでは、タイトル防衛を目指したマレーだが、準決勝でナダルを7-5 6-4で下したあとの決勝で、ジョコビッチにフルセットの戦いの末に敗れた。

 しかし、その翌週のローマでは決勝に進み、ふたたびジョコビッチと対戦して圧倒的勝利を収め、29歳の誕生日を華やかに祝ったのだった。

 ジョコビッチが2015年の初めから119勝9敗、勝率93%、獲得タイトル「16」という輝かしい結果を残していることを鑑みれば、マレーの今を偉業と呼ぶのは、少しはばかられる。同じ期間のマレーの獲得タイトルは「5」だ。そして、今年のジョコビッチのこれまでの戦績は37勝3敗、彼はすでに5つのタイトルを獲得している。一方のマレーは、22勝5敗、獲得タイトルは1つだ。

 しかし、いずれにせよ、ジョコビッチはマレーの今、プレーの激しさに驚いてはいない。

 「僕はずっと昔からアンディのことを知っている。オーストラリアン・オープンで一緒にダブルスをプレーした10年前と、僕らが世界1位と2位になった今とでは、ことはかなり違うんだ」と、この日曜日に29歳になるジョコビッチは言う。

 「僕らの練習セッションは、まるで公式戦のようだよ。僕らはごく最近、マドリッドで一緒に練習し、1セット半のマッチ練習をしたが、二人とも実際の試合をしているように感じていた」  ジョコビッチとマレーは第1シードと第2シードで、順当に勝ち上がれば、6月5日に行われる決勝で対戦することになる。  背中の故障を理由に木曜日に欠場を決めた、「17」のグランドスラム・タイトルを持つロジャー・フェデラー(スイス)が不在。ナダルが、クレーでベストのレベルに戻るのに苦労している事実。そして前年覇者のスタン・ワウリンカ(スイス)の調子が不安定であることを考慮すれば、ジョコビッチ対マレーの図式は、過去数年よりもはるかに現実味を帯びた予想であるように見える。  全仏オープンで過去3度(2011、14、15年)、準決勝に進出しているマレーは、1回戦で予選を勝ち上がったラデク・ステパネク(チェコ/129位)と対戦する。

 「これは厳しいよ。彼はすでに(予選の)3試合に勝ってるわけだからね」とマレー。

 予選を勝ち上がった選手と対戦することについて尋ねられたマレーはこう答えた。 「彼らはおそらく自分のコンディションについて、かなりいい感じを覚え、コート上でも心地よさを感じているはずだ」  マレーはごく最近、コーチだったアメリー・モレスモーと袂を分かっているが、新しいコーチ探しに関しては、そう急いではいないという。

 「そのことについて、僕はチームスタッフと少し話をしたが、まだほかの誰とも話してはいないんだ」とマレー。「現在、ことはうまくいっているから、慌てる必要はないんだよ」。(C)AP