全国高校サッカー選手権は1月3日に3回戦が行なわれ、ベスト8が出揃った。 フクダ電子アリーナで開催された2試合では…
全国高校サッカー選手権は1月3日に3回戦が行なわれ、ベスト8が出揃った。
フクダ電子アリーナで開催された2試合では、インターハイ王者の流通経済大柏(千葉)、ギラヴァンツ北九州入り内定のエースFW佐藤颯汰(さとう・そうた/3年)を擁する日章学園(宮崎)、前回覇者の青森山田(青森)、セレッソ大阪入りが内定した高校ナンバーワンストライカーFW安藤瑞季(あんどう・みずき/3年)のいる長崎総科大附(長崎)と、いずれも優勝候補に挙げられるチームが登場するとあって、大きな注目を集めた。

日章学園を下してベスト8に駒を進めた流経大柏
第1試合では、流経大柏と日章学園が激突。総合力で勝(まさ)る流経大柏が押し気味に試合を進めたが、日章学園も佐藤颯が少ないチャンスからフィニッシュに持ち込むなど、夏の王者に対して臆することなく立ち向かい、緊迫した展開が続いた。
均衡が破れたのは67分、素早いリスタートから10番を背負うMF菊地泰智(きくち・たいち/3年)が左サイドをえぐると、そこからの折り返しを途中出場のMF加藤蓮(かとう・れん/3年)が押し込み、流経大柏が先制点を奪取。この1点を守り抜き、ベスト8に名乗りを上げた。
流経大柏の特長は、なんといってもその堅守にある。優勝を果たしたインターハイでも5試合で1失点。今大会でも3回戦まで2試合無失点と、強烈なプレスと堅牢なブロックに隙は見られない。プロ注目の2年生センターバック、DF関川郁万(せきがわ・いくま)を中心とした守備力の高さは、大会ナンバーワンといっても過言ではないだろう。
「負けたくないという気持ちは例年になく強く感じますし、とにかく失点ゼロという共通理解を選手たちは持っている」
百戦錬磨の名将、本田裕一郎監督が高く評価するこの守備を武器に、夏冬連覇の偉業に挑む。
第2試合では、2年連続の優勝を目指した青森山田が長崎総科大附によもやの苦杯をなめた。相手のマンマークの対応に苦しみ、なかなかチャンスを作れないでいると、25分、安藤の個人技に屈して先制点を献上。1点を追いかける終盤は195cmの長身DF三國ケネディエブス(みくに/2年)を投入し、パワープレーに活路を見出そうとしたが、長崎総科大附の粘り強い守備を最後まで攻略できなかった。
長崎総科大附とすれば、まさに狙い通りの勝利だった。チームを率いるのは、高校サッカーでおなじみの小嶺忠敏監督。試合後、開口一番「勝負の世界は強いチームが勝つとは限らない。少々の可能性を信じてやれば、こんなまぐれもあるんですよ」と謙遜しながらも、会心の勝利に口もとを緩ませた。
「少々の可能性」とは、青森山田の攻撃力を封じたマンマークディフェンスにあった。攻撃の要を担うヴィッセル神戸入り内定のMF郷家友太(ごうけ・ゆうた/3年)に自由を与えず、モンテディオ山形入りが決まっているストライカーのMF中村駿太(なかむら・しゅんた/3年)にも楽に仕事をさせなかった。そして、自らの最大の武器である安藤の一発にかける戦い方が見事にはまった。
その戦いを可能とするのは、圧倒的な走力だ。名門・国見高を率いた時代から小嶺監督はいわゆる”走り”を選手たちに課していたが、ここ長崎総科大附でもその指導は変わらない。安藤も地獄の練習を思い出し、苦笑いを浮かべる。
「もう走れないと思うくらい、へとへとになるくらいまでやらされる。練習がきつくて嫌な3年間でしたけど(笑)、それをやってきたから相手に負けないという自負はある。ここまでやれるというメンタル面を鍛えられたと思います」
青森山田に攻め込まれる時間が長いなかでも、瀬戸際で身体を張ってゴールを守り、ボールを奪えば相手よりも先に走ってスペースを突き、活路を見出していく。あるいは球際の強さも、彼らの特長だろう。局面の争いでピッチに倒れ込むのは、多くの場合、青森山田の選手のほうだった。
ただし46分、球際で競り合った安藤が勢い余って相手の選手を倒し、警告を受ける。累積のため、流経大柏との準々決勝には出場できなくなった。
「次は安藤が出られないからね。代わりに誰にしようかを考えると、夜も眠れない」と、小嶺監督も頭を悩ます事態に陥った。
一方、流経大柏の本田監督は第2試合を前に「長崎総科大附が勝つだろうと思っている」と予言していた。「今年の九州勢は強い」という認識があったのに加え、夏のインターハイで苦戦した相手でもあったからだ。実は流経大柏がインターハイで喫した唯一の1失点は、この長崎総科大附が相手だったのだ。
もっとも、その1点を決めたのは安藤であり、夏のリベンジを果たしたい長崎総科大附はエース不在のなかでのリターンマッチとなる。長く高校サッカー界をリードしてきた「名将対決」となった準々決勝は、さまざまな因縁を備えた注目のカードとなることは間違いない。
浦和駒場スタジアムで行なわれた3回戦では、神村学園(鹿児島)に競り勝った矢板中央(栃木)と、作陽(岡山)をPK戦の末に下した日本文理(新潟)が準々決勝で激突する。
矢板中央はキャプテンを務めるMF稲見哲行(いなみ・てつゆき/3年)が2試合連続ゴール中と好調で、センターバックのDF白井陽貴(しらい・はるき/2年)を中心とした守りも安定感を備える。対する日本文理は初出場ながら、難敵を次々に撃破して勢いに乗る。注目はここまで3ゴールのMF久住玲以(くすみ・れい/3年)。切れ味鋭いドリブルと、正確なフィニッシュワークが持ち味だ。
ともに下馬評は高くはなかったが、大会を通じて急激な成長を見せるのも高校サッカーの醍醐味だろう。こちらも白熱の一戦が期待できる。
1月6日に埼玉スタジアム2002で行なわれる準決勝に進むのは、果たしてどのチームか。高校生たちの熱い冬は、ここからさらにヒートアップしていく。
試合結果など『ストライカーDX』では
「第96回全国高校サッカー選手権大会」期間中、
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