CLグループステージで23得点を挙げたリバプールプレミアリーグ前半戦総括【後編】前編はこちら>>【CL出場5チームが…



CLグループステージで23得点を挙げたリバプール

プレミアリーグ前半戦総括【後編】
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【CL出場5チームがすべてグループステージを突破】

 2011-12シーズンにチェルシーがチャンピオンズリーグ(CL)を制してから、イングランド勢は欧州王者の座から遠ざかっている。

 昨季は、グループステージを突破したのが3チーム、ベスト8に残ったのが1チームで、その先はゼロだった。しかし今季は、昨季のヨーロッパリーグ優勝で出場権を得たマンチェスター・ユナイテッドを含め、5チームすべてが決勝トーナメントに進出している。しかも、チェルシー以外の4チームが首位通過。ここ数年の停滞期を脱して、イングランド勢が再び欧州の舞台で主役を演じるかもしれない。

 それでも、グループステージでパリ・サンジェルマン(25得点)に次ぐ23ゴールを記録した、リバプールのユルゲン・クロップ監督は、「フットボールでは何よりも継続性が問われるものだが、現時点ではイングランド勢はどこも好調に見える。ただし、それがいつまで続くかはわからない」と兜(かぶと)の緒を締めている。

 ラウンド16で、リバプールはポルト、マンチェスター・シティはバーゼル、トッテナムはユベントス、チェルシーはバルセロナ、マンチェスター・ユナイテッドはセビージャと対戦する。国内リーグで無双状態のシティを筆頭に、プレミア勢の復権に期待が高まっている。

【ロンドン3大名門クラブが抱える、それぞれの悩み】

 昨季の王者であるチェルシーは3位、トッテナムは5位、アーセナルは6位で今季の折り返し地点を迎えた。順位だけを見れば「悪くない」と言えるかもしれないが、実際にはそれぞれに問題を抱えている。

 チェルシーは、アントニオ・コンテ監督とフロントが補強方針を巡って対立していると伝えられる。また、指揮官の戦術に不満を述べたダビ・ルイスとも衝突しており、負傷が重なったこともあって、昨季の守備の主軸がピッチから離れて丸2カ月が経とうとしている。

 トッテナムはCLでレアルを破るなど昨季からの好調を維持していたが、10月下旬から突如としてスランプに陥った。ユナイテッドやアーセナルといったビッグクラブやレスターにも敗れ、ウェスト・ブロムら下位チームとも引き分けると、一部の現地メディアは「ポチェッティーノ監督が自身の本を出版してから不調がはじまった」と報じた。そこに根拠はなく、アルゼンチン人指揮官も「この職業について知ることのできる素晴らしい本だ」と反論したが、逆に「素晴らしい本」という発言だけを切り取られて揚げ足を取られる始末だ。

 アーセナルのアーセン・ベンゲル監督は、多くのサポーターから辞任を求められながらも契約を延長したが、早くもその決断を疑われることになった。メスト・エジルをはじめとする覇気のない選手や、練度の低いコンビネーションは、このフランス人監督の指導力の限界を示しているようにも思える。格下からの取りこぼしも多く、このままいけば欧州カップ戦の出場権を逃す可能性も。そうなれば、いよいよ長期政権に終止符が打たれるかもしれない。

【バーンリーとダイシ監督の長期プロジェクト】

 昨季、昇格組で唯一残留を決めたバーンリー。順位は16位で「なんとか達成した」という印象は拭えなかったが、今季はしぶとく戦って勝ち点を積み上げ、6位につけた時期もあった。

 折り返しの19試合終了時では9勝5分5敗の7位だったが、16得点(15失点)は他の上位クラブと比べて極端に少ない。しかし彼らの姿にこそ、資金に乏しい中小クラブの”生きる術”が隠されている。

 プレミアリーグで数少ないイングランド人オーナー(あるいは筆頭株主)が統率するクラブは、2012年から現場を任せるショーン・ダイシ監督に全幅の信頼を寄せている。その間に昇格と降格を経験したが、監督を代える選択には至らず、一昨季に再び昇格を果たして今季の躍進につなげているのだ。

 フロントとコーチ陣が深く理解し合うことで、新戦力の獲得にも現場の声が反映され、新たに加入した選手はダイシ監督が求めるものを早々に理解する。そして、ピッチ上では全員が献身的にハードワークし、チームは開幕戦で昨季王者チェルシーを3-2で下すなど、最少得点差の勝利を重ねていった(2点差以上の勝利は1度だけ)。

 揺るぎないアイデンティティーと着実な長期的プランを持つバーンリーは、ある意味、現在のプレミアリーグで最も幸福なクラブかもしれない。

【母国イングランド出身の若手が躍動】

 プレミアリーグにホームグロウンプレーヤー・ルール(21歳の誕生日、あるいは21歳になるシーズンの最終日までに、3度のフルシーズンもしくは通算で3年間、FAかウェールズFAが管轄するクラブに所属していた選手を一定数含まなければならない)が施行されて8年が過ぎた。

 その効果は着実に現れている。2017年はU-20とU-17のW杯、U-19欧州選手権を制し、U-17欧州選手権で準優勝と、若年層のイングランド代表が多くのタイトルを獲得。そしてプレミアリーグでもイングランド人の若手が躍動している。

 主なところでは、ラヒーム・スターリング(シティ)やマーカス・ラシュフォード(ユナイテッド)、デリ・アリ、エリック・ダイアー、ハリー・ウィンクス(3人ともトッテナム)、ジョー・ゴメス(リバプール)、トム・デイビス(エバートン)、デマレイ・グレイ(レスター)らがレギュラーとして活躍している。

 また、ルベン・ロフタス=チーク(クリスタル・パレス)やタミー・アブラハム(スウォンジー)、ナサニエル・チャロバー(ワトフォード)といったチェルシーからのローン組も、新天地で出場機会と信頼を得て、本来の輝きを放っている。さらには、シティの17歳の超新星、フィル・フォデンもCLとプレミアリーグでデビューを果たした。

 もちろん、ロシアW杯の優勝も狙っているだろうが、イングランドの”本命”は2022年のカタールW杯。そのための布石はすでに打たれている。