タックルはラグビーの命。何度も、何度も相手の足元を刈った福西隼杜が破顔した。「ずっと練習でも、低いタックルをしてきました。相手がピック(接点の後方から球を持ち出すプレー)をしてくるところ、下に入ろうと意識しました」 大阪・東大阪市花園ラグ…

 タックルはラグビーの命。何度も、何度も相手の足元を刈った福西隼杜が破顔した。

「ずっと練習でも、低いタックルをしてきました。相手がピック(接点の後方から球を持ち出すプレー)をしてくるところ、下に入ろうと意識しました」

 大阪・東大阪市花園ラグビー場でおこなわれる第97回全国高校ラグビー大会は、12月30日に2回戦を迎えた。2年連続43回目の出場となる兵庫・報徳学園高は、3つあるうちの第1グラウンドでこの日から登場の奈良・御所実高を22-17で破る。今大会唯一となるシード校撃破を成し遂げた。

 CTBの江藤良主将、FBの雲山弘貴といった高校日本代表候補が得意のランで防御網を破るなどし、前半10、13分のスコアで12-0と主導権を握る。22-7と大きくリードして迎えた後半中盤は、自陣22メートルエリアにくぎ付けとなりながらも組織防御で耐えた。球を動かす過程で塊を作りにかかる御所実高のランナーへ、鋭く刺さった。

 なかでも相手のストッキングあたりへ肩をぶち当てていたのが、17歳以下日本代表でもある2年生の福西だった。身長177センチ、体重97キロの背番号5は、抜かれた仲間のカバーにも走る。1学年上の江藤主将に「カッコよかったです」と称賛されるなか、当の本人も喜びを語る。

「相手のボールを持つ選手がわかりやすくもあったので、思い切って、(後ろの)仲間を信じて(間合いを)詰めました。最初に点がポン、ポンと入って、ディフェンスもゲインされず…。油断をしないなか、自信を持って戦えました」

 過去の最高位は4強という報徳学園高に対し、御所実高は初めてファイナリストとなった2008年度から3度の準優勝と、近年での実績に勝る。ところがこの日は最上級生の先発要員が5人と、勝った報徳学園高の11人を大きく下回った。敗れた竹田寛行監督は、攻めあぐねたシーンなどについてこう振り返っていた。

「下級生中心のチームだったので、ゲームメイクできる選手が少なかった。ずっと練習をしてきたのに、(本番では)ボールを動かさないといけないのにボールを動かせなかった。相手がちゃんと準備をされたことをやってくるなか、僕らは自分たちのラグビーができず…」

 後半28、30分に追い上げられながらも逃げきった報徳学園高は、2018年元日、5シーズン連続7度目の花園となる愛知・中部大春日丘高とぶつかる。(文:向 風見也)