ラグビーの全国大学選手権は大詰めを迎えている。前年度まで2大会連続で準優勝の東海大は、1月2日、8連覇中の帝京大と準決勝をおこなう。昨季、一昨季の決勝戦のカードがファイナリスト争いになる格好だ。 本来はWTBのアタアタ・モエアキオラは2季…

 ラグビーの全国大学選手権は大詰めを迎えている。前年度まで2大会連続で準優勝の東海大は、1月2日、8連覇中の帝京大と準決勝をおこなう。昨季、一昨季の決勝戦のカードがファイナリスト争いになる格好だ。

 本来はWTBのアタアタ・モエアキオラは2季前の大学選手権以来となるNO8に位置。当時は「NO8をやったことで接点のレベルが上がった」と話していたが、今季は最後尾のFBにも挑むなど役割の幅を広げてきた。帝京大戦での背番号が注目される。

 さらに試合を運ぶ司令塔団には、別なポジションからコンバートした2人の2年生が並ぶか。大学選手権に入ってからは、パスの起点であるSHには東京高出身の元CTB、山菅一史が、攻撃ラインの先頭に入るSOには東海大仰星高時代にFLだった眞野泰地がそれぞれ入った。いずれも本職の主力候補と定位置争いの末、青いジャージィをつかんだ。

 加盟する関東大学リーグ戦では、3年連続の王者となれず2位で終えている。唯一の黒星を喫した大東大戦で先発した身長171センチ、体重85キロの眞野は、「ここで勝ちたかった。責任を果たせなかった。すごく悔しいです」。今季の20歳以下日本代表の主将でもあるリーダー候補は、「きょうの試合をプラスに捉えて、成長していくしかない」と巻き返しを期していた。

「僕自身、キックの精度を上げる。また、中盤で攻撃が手詰まりになったところがあるので、すべてのエリアで何をするかをチームで統一したい」

 一方、身長164センチと小柄なCTBだった山菅は、可能性を広げるべく今季からSHに挑戦。「もっとパスを練習してうまくならないと。練習します」と謙虚だ。もっとも足腰の強靭さが光り、接点際でのサイドアタックや防御などでは現時点で脅威となりそうだ。

 FBの野口竜司主将は、日本代表の活動などで合流期間が限られるなかでも持ち味の安定感を示す。モエアキオラと同じ東京・目黒学院高出身のNO8、テビタ・タタフも、万全なら攻守でインパクトを残しうる。選手起用に変化をつけたシルバーコレクターは、この冬、どんな結末を迎えるだろうか。
(文:向 風見也)