第1弾の「シード校編」に続き、2018年箱根駅伝の”全チームの戦力分析”第2弾は、予選会を突破してきた10校を紹介。完全復活を期す名門や、異色の経歴を持った選手など、シード権獲得を目指す各大学の戦力をチェックし…

 第1弾の「シード校編」に続き、2018年箱根駅伝の”全チームの戦力分析”第2弾は、予選会を突破してきた10校を紹介。完全復活を期す名門や、異色の経歴を持った選手など、シード権獲得を目指す各大学の戦力をチェックしていこう。

※紹介は予選会の結果順




予選会で日本人トップとなった3年の畔上和弥 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

帝京大学

予選会トップ通過の実力を示して上位進出を!

 前回は11位で、今年の予選会はトップ通過。シード権に最も近い位置にいるチームだ。

全日本大学駅伝でも、チーム最高順位となる8位に入った。予選会で日本人トップ(7位)に輝いた畔上和弥(あぜがみ/3年)は、全日本5区を区間3位と好走。1万mでも大幅にベストを更新する28分41秒68をマークしており、今回は”花の2区”で勝負する。

 予選会を59分48秒で走破した佐藤諒太(4年)、全日本でアンカーを務めた小森稜太(2年)らが、主要区間を担うだろう。他にも、前回の1区を区間7位で走った竹下凱(3年)、濱川駿(3年)、横井裕仁(3年)、岩佐壱誠(2年)、平田幸四郎(2年)ら、粒も揃っている。

 前回区間18位に沈んだ山上りの5区を乗り切ることができれば、「上位進出」も夢ではない。



予選会をチームトップ(9位)でゴールした4年の林日高 photo by AFLO SPORT

大東文化大学

「山の大東」を見せつけて3年ぶりのシードを狙う

 予選会では、林日高(4年)、原法利(4年)、川澄克弥(2年)が59分台で駆け抜け、堂々の2位で通過した。

 11月25日の1万m記録挑戦競技会では、林、前田将太(4年)、新井康平(3年)が28分台の自己新をマークするなど、チームの状態は上向いている。

 上記の選手たちのなかから1区~4区を選出し、好位置につけておきたいところだ。5区は奈良修監督の長男・凌介(2年)や、1970年代に同区間で4年連続区間賞の偉業を果たした、大東文化大OBの大久保初男を父に持つ大久保陸人(3年)らが候補。

 奈良監督は5区に自信を持っており、狙い通りに「山の大東」の真価を発揮できれば、3年ぶりのシード権獲得が現実味を帯びてくる。



2年生で主将を務める舟津彰馬 photo by Matsuo/AFLO SPORT

中央大学

再スタートを切った名門が箱根路に戻ってきた!

 前回の予選会で落選し、長年にわたる連続出場が「87」でストップ。OBや駅伝ファンに衝撃が走ったが、就任2年目の藤原正和駅伝監督がチームを再建した。

 箱根で最多となる14回の優勝を誇る”超”名門は、今年の予選会を3位で通過。高校時代は無名だった中山顕(3年)が、日本人2番手の8位でフィニッシュする大活躍を見せている。

 往路は中山をはじめ、日本インカレ1500m王者の舟津彰馬(2年)、1万mでチームトップのタイム(28分34秒54)を持つ堀尾謙介(3年)、副将の竹内大地(4年)らが有力。箱根経験者は2名しかいないが、藤原監督は5区と6区にも自信を持っている。

 1区が有力の”2年生主将”舟津でスタートダッシュを決め、完全復活の狼煙(のろし)をあげたい。



監督の次男で主将を務める4年の上田健太 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

山梨学院大学

上田親子の “最終章”を上位で飾れるか

 上田誠仁監督の次男で、主将を務める上田健太が4年生となり、今回の箱根が最後の”親子鷹”となる。

 予選会は4位通過だったが、上位候補校に匹敵するだけの総合力を持つ。ハーフで今回出場する全選手中のトップタイムとなる、1時間0分50秒を持つドミニク・ニャイロ(3年)の爆発力は健在。全日本でも最長8区で3年連続の区間賞を獲得した。

 2区ニャイロを軸に、ハーフで現役の日本人学生3位の記録を持つ上田健太、1万m28分30秒59の永戸聖(3年)が入る区間で、攻撃を仕掛けるつもりだ。他にも市谷龍太郎、河村知樹、古賀裕樹ら復路経験者の4年生が控えている。

 6年連続で2けた順位と出遅れている1区で好スタートを切り、歓喜のゴールにつなげたい。



前回の箱根2区で区間2位に入った3年のワークナー・デレセ photo by AFLO SPORT

拓殖大学

1万m28分台トリオを軸に、狙うは「6位」

 予選会は5位通過だったが、ワークナー・デレセ(3年)が故障を抱えた状態での結果だった。その予選会では、戸部凌佑(3年)、西智也(4年)、赤﨑暁(2年)の3人が59分台で好走している。

 さらに、1万m記録挑戦競技会では馬場祐輔(3年)が28分43秒72、主将の西が28分45秒44をマーク。28分19秒16のデレセを含め、1万m28分台が3人になった。

 前回と同じく「2区デレセ、5区戸部」となることが濃厚で、西と馬場は1区か3区、前回アンカーだった赤﨑も主要区間での起用になるだろう。

 安定感のある選手が多いだけに、序盤で流れに乗れば4年ぶりのシード権獲得も可能性は十分。チームの目標である、過去最高順位(7位)を上回る「6位」も見えてくるだろう。



全日本1区で7位と存在感を示した2年の浦野雄平 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

國學院大學

ハーフで好タイムを持つ10人の総合力で勝負!

〝絶対エース〟は不在だが、予選会では6人が上位50位以内でフィニッシュ。全日本でも順大や大東大に先着して11位に入った。

 箱根の1区、2区は、全日本1区で7位と好走した浦野雄平(2年)、1万mでチーム唯一の28分台(28分49秒36)を持つ向晃平(4年)が候補。前回も箱根を走った内田健太(4年)、熊耳智貴(くまがみ/4年)、國澤優志(4年)、土方英和(2年)らも健在だ。

 エントリー16人中、ハーフマラソンで1時間4分30秒を切っている選手が10人揃っているだけに、復路では順位アップが見込める。過去にシード権を獲得した大会(2011年、2012年)はいずれも5区を区間5位以内で走破しているが、今回も”目標達成”には山上りがポイントになりそうだ。



予選会でチームを引っ張った3年のエース・住吉秀昭 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

国士舘大学

前回”ダントツ最下位”の屈辱を晴らせるか

 前回は7区の平塚中継所で繰り上げスタートになるなど、ダントツの最下位(20位)に沈んでしまった。

 悔しさをバネに臨んだ予選会では、エース住吉秀昭(3年)が60分切りを果たすと、出走した12人全員が62分切りを達成。ケニア人留学生のポール・ギトンガ(1年)をエントリーから外すほど、日本人選手の状態がいい。

 予選会で2年連続59分台と、安定した走力を持つ住吉が1区の候補となる。前回は1区で19位と大きく出遅れただけに、今回はエースで流れをつかみたい。

 2区以降は苦戦が予想されるが、予選会でチーム上位に入った八巻雄飛(4年)、多喜端夕貴(たきばた/3年)、高田直也(3年)らで往路をしのいで、まずは最後までタスキをつなぎたい。



全日本4区で区間賞を獲得した4年の菅真大 photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

城西大学

全日本で区間賞と大ブレークした菅の”快走”に期待!

 前回は予選会で落選し、連続出場が「13」で途切れた。その無念を晴らすべく、今年の予選会では堅実なレース運びに徹して8位通過を決めた。

 3年ぶりの出場となった全日本(13位)では、4区の菅真大(かん/4年)が他校のエース級を抑えて区間賞を獲得。1万mでも28分35秒56をマークするなど、大ブレークを果たしている。箱根では2区か4区での出走が予想されていて、全日本同様の”快走”が期待される。

 他にも、1万mで28分台を持つ西嶋雄伸(2年)と中島公平(3年)、予選会チームトップの金子元気(3年)も往路の候補に挙がる。

 前々回4区を区間10位と好走した酒井雅喜(4年)も復帰。往路の出来次第ではシード権獲得が見えてくるだろう。



前回の1区で好走した4年の坂本佳太 photo by YUTAKA/AFLO SPORT

上武大学

坂本、太田黒の2枚看板で流れに乗れるか

 前回の箱根は、往路を大学史上初となるシード圏内(8位)で折り返し、シード権獲得に手をかけた。

 今季は、前回1区で10位につけた坂本佳太(4年)がエースに成長。予選会を日本人4番手の59分41秒、1万mでも28分43秒91の自己新をマークして勢いに乗っている。さらに、太田黒卓(3年)も予選会を59分台で走破した。近藤重勝駅伝監督は「1区坂本、2区太田黒」の起用を示唆しており、前回と同じく序盤で流れに乗りたいところだ。

 関東インカレ2部1500m王者の、井上弘也(4年)のスピードも魅力。前回5区を区間2位と快走した森田清貴(現・NTT西日本)が卒業したため、その穴をどう埋めるのかが課題になる。

 まずは、過去最高順位の14位以内をキープしながら、シード権争いに近づきたい。


社会人を経て

「30歳ルーキー」として箱根に挑む1年の渡邊和也 photo by Tamura Sho/AFLO SPORT

東京国際大学

30歳のルーキー&留学生で往路をかき乱せ!

 2年ぶり2回目の出場で、前々回は17位。予選会は最下位通過だったが、楽しみなメンバーが揃っている。

 まずは、30歳ルーキー・渡邊和也(1年)の走りに注目が集まる。トラックでの自己ベスト(5000mが13分23秒15、1万mが27分47秒79)は、いずれも出場選手中トップ。もともと実業団時代には世界選手権にも出場した実力者だ。今回は1区での起用が濃厚。全盛期ほどの状態ではないが、キャリアの違いを見せたいところだ。

 往路には、ケニア人留学生のシテキ・スタンレイ(4年)、1万m28分46秒74の伊藤達彦(2年)、前々回5区を区間7位と好走している濱登貴也(はまと/4年)らも入る見込み。

 序盤で上位につけることができれば、往路で旋風を巻き起こすかもしれない。