34歳で初のツアータイトルを獲得。そう聞くと遅すぎると感じるだろうか。ファン一人ひとりの受け止めはいずれせよ、ロジャー・フェデラー(スイス)は2017年には36歳で、「全豪オープン」と「ウィンブルドン」の2つのグランドスラムを含む7度の優勝…

34歳で初のツアータイトルを獲得。そう聞くと遅すぎると感じるだろうか。

ファン一人ひとりの受け止めはいずれせよ、ロジャー・フェデラー(スイス)は2017年には36歳で、「全豪オープン」と「ウィンブルドン」の2つのグランドスラムを含む7度の優勝を飾るなど、現在では30代半ばでもまだまだ活躍できる年齢だといってよいだろう。

■ジル・ミュラーは33歳で初タイトルを獲得

その中で、その伝説的なベテラン選手らに対抗し、30代半ばで目立った結果をようやく手にする選手も出てきている。現在34歳のジル・ミュラー(ルクセンブルク)はその内の一人だ。193センチの長身を生かした強烈なサービスを武器とする左利きプレーヤーでもある。

同選手は今年、ランキングでの自身の最高順位を記録したほか、初めてツアータイトルを獲得するなど活躍を見せたのだ。

2017年はじめの1月2日付けのランキングでは、34位だったところを、じわじわと順位を上げ、9月25日時点では、22位まであがってきていた。12月18日の時点では、25位になっているものの、好調な成績を残していけば、まだ20位以内に入りトップ10入りを狙える可能性があるといってもいい位置だろう。

さらに、ミュラーは今年、初タイトルとして「アピア国際シドニー」を優勝で飾った。ATP(男子プロテニス協会)によれば、ベテラン選手であるミュラーは、その勝利にスタンドに立つ妻と2人の幼い息子とともに泣いたといい、ツアーにおける感動的な場面を作り出した。

また、ATPはミュラーの「今夜起きた全てのことはまるで映画のようでした。ロッド・レイバーがトロフィーを持ってセンターコートに立っていて、子供たちがスタンドにいた。過去5回ファイナルを逃しており、優勝は最大の夢であり、目標でした。今回ついに夢がかないました。素晴らしい。肩の荷を下ろせました」とのコメントを紹介している。

■「ウィンブルドン」では約5時間の激戦の末、王者・ナダルに勝利

ほかにもミュラーはオランダのスヘルトーヘンボスで行われた「リコー・オープン」のタイトルも獲得しており、トーナメントでの戦績からいえばピークの年だといってもよさそうだ。

その好調さは、どうやらグランドスラムのような大きな大会での結果にも、見て取ってよさそうだ。ミュラーは、「ウィンブルドン」の4回戦を突破して、自身初となる準々決勝への進出し、ベスト8入りを果たした。

さらに、4回戦でぶつかったのは、当時すでにランキング2位にまで復帰していたラファエル・ナダル(スペイン)。試合時間は4時間48分とほぼ5時間にも及ぶ、圧倒的な有力選手との死闘を制した格好だ。

同試合はフルセットに及んだだけではなく、6-3、6-4、3-6、4-6、15-13と5セット目に合計で28ゲームを戦いぬかなければならない長期戦だったもので、見る者をも圧倒した試合だった。

フェデラーやナダルだけではなく、ミュラーの活躍を振り返っても、30代半ばでキャリア最高の結果を手にすることを、テニス選手らには期待してもいいと言ってよく、ベテラン選手らが来シーズンにも同様の好調さを維持できるか、一つのみどころになりそうだ。(テニスデイリー編集部)

※写真は「ウィンブルドン」での試合後にコートを後にするナダル(右)とミュラー(左)

(Photo by David Ramos/Getty Images)