レアルはやはりレアルだった。 現地時間12月16日、UAEの首都アブダビでクラブW杯の決勝が行なわれ、ヨーロッパ王…

 レアルはやはりレアルだった。

 現地時間12月16日、UAEの首都アブダビでクラブW杯の決勝が行なわれ、ヨーロッパ王者にして前回王者のレアル・マドリード(スペイン)が、南米王者のグレミオ(ブラジル)を1-0で下し、大会史上初の連覇を果たした。



クラブW杯史上初の連覇を達成したレアル・マドリード

 スコアは最少得点差。だが、両チームの間に横たわる実力差は、少々のことでは埋めようのない大きな開きがあったと言ってもいい。

 両チームが準決勝を終えた段階で言えば、”まさか”の結果も起こりうるのではないか。そんな雰囲気は少なからず漂っていた。

 グレミオが鉄壁のディフェンスでパチューカ(メキシコ)を封じ、1-0で勝利したのに対し、レアルはアルジャジーラ(UAE)に2-1で勝ったものの、先制を許すなど大苦戦。0-1からの2失点目がオフサイドで取り消される幸運がなければ、”超”のつく大波乱が起きていた可能性は高い。

 しかも、今季のレアルはUEFAチャンピオンズリーグではトッテナム(イングランド)にグループリーグの首位通過を譲り、国内リーグ(リーガ・エスパニョーラ)でも4位に低迷。宿敵・バルセロナはおろか、アトレティコ・マドリード、バレンシアにまで後れを取っている。現行の制度になってから、CL史上初の連覇を成し遂げた”白い巨人”と言えども、今季に限っては絶対的な強さを備えていないことは明らかだった。

 だからこそ、グレミオが堅守を築き、スコアレスのまま終盤までもつれるようなら……、試合前にはそんな予感が漂っていたのだ。

 ところが、試合が始まってみると、3日前のアルジャジーラ戦はいったい何だったのか、と呆れるほど、レアルは強かった。

 試合開始直後、グレミオのキャプテン、DFペドロ・ジェロメウが、レアルのエース、FWクリスティアーノ・ロナウドに後方からレッドカードまがいのタックルで削り、宣戦布告したことも、今となっては悲しいくらい何の意味もなかったということになる。

 立ち上がりこそ、互いにボールへの寄せが早く、中盤でのつぶし合いが続いたが、前半10分を過ぎたあたりから、試合は完全にレアルのものに。怒涛の攻撃でグレミオゴールに迫った。

 クリスティアーノ・ロナウドを筆頭に、FWカリム・ベンゼマ、イスコ、MFルカ・モドリッチ、トニ・クロースなどなど、とにかく豪華な顔ぶれが次々に繰り出す攻撃は、コンビネーションに多少の粗(あら)が見えたものの、迫力十分だった。

 とはいえ、この日のレアルの際立つ強さを印象づけたのは、攻撃と表裏一体の守備である。守備から攻撃への切り替えが速く、一度グレミオに攻撃を止められても、ほとんど前にボールを運ばせることなく、敵陣ですぐにボールを奪い返し、攻め続けた。

 アルジャジーラ戦では、ボールを失ったあとの守備への切り替えが明らかに緩く、簡単にボールをつながれていたことを思えば、彼らの本気度の違いがうかがえる。

 グレミオにしても、もう少し攻撃の時間が作り出せれば、ひと息入れる余裕も生まれただろう。しかし、これだけ自陣ゴール前で耐えるだけの時間が続いては、最後まで持ちこたえるのは難しかった。グレミオのレナト・ガウショ監督は「選手は消耗していた」と言い、こう語る。

「細かなところが差を生み、世界タイトルを獲るには、その差が重要だ。レアルは質の高い選手を擁するレベルの高いチーム。レアルは勝利に値するプレーをした」

 得点こそ、クリスティアーノ・ロナウドのFKによる1点のみだったが、両者の力の差を考えれば、最少得点で十分だった。

 その後のレアルはボール回しの練習よろしく、テンポよくパスをつないでボールをキープ。時計を進めながら、タイミングよくスピードアップしてチャンスを作る。1点取ったことに浮かれ、闇雲に前がかりになるようなことがないから、スキも生まれない。

 グレミオのボールポゼッション率は38%。シュート数は1本で、枠内シュートはゼロ。しかも、その1本はFKを直接狙ったものであり、流れのなかからは1本のシュートも打てていない。CKはわずか1本しかなく、オフサイドには一度もかかっていない。レアルは文字どおり、南米王者に手も足も出させず、パーフェクトな内容で1-0のまま試合を終わらせた。

 攻守両面で出色の働きを見せ、大会MVP(ゴールデンボール)を獲得したモドリッチは言う。

「レアルのロッカールームにはスゴい選手たちがそろっている。だが、彼らは全員、チームのためにプレーする。そのことが重要なんだ」

 これでヨーロッパ王者がクラブW杯5連覇。この10年に限れば、南米王者がカップを持ち帰ったのは、わずか1度だけだ。「1強6弱」の色合いが濃くなる一方の大会も、今年はもしかすると、の期待が一瞬膨らんだが、むしろ「1強」の印象を強める結果に終わった。

 レアルのジネディーヌ・ジダン監督は語る。

「このタイトルをまた獲れて、とてもうれしい。今季の残りはまだ長いが、今はこの喜びを味わいたい」

 だが、世界の頂点に立ち続ける王者に休みはない。かつて選手としても、レアルで世界一を手にした指揮官が続ける。

「まずはこの優勝を味わい、家に帰って少し休んでからクラシコに備えたい」

 レアルはクラブW杯決勝からわずか1週間後の12月23日、バルセロナとの伝統の一戦、クラシコが待っている。ジダン監督が「タイトルはどれも重要だが、リーガは特に獲りたい」と語るように、首位バルサを追うレアルにとっては、絶対に落とせない試合である。

 12月9日にリーガのセビージャ戦をこなしてアブダビへ移動し、1週間足らずの中東滞在の間にタイトルマッチ2試合をこなし、帰国直後にはクラシコが待っている。にわかに信じがたいほど、質量ともに過密な日程で試合をこなしながら、世界中のファンが望む結果を、しかも盤石の内容で残すのだから恐れ入る。

 レアルはやはりレアルだった。