WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス 米PGAツアー、欧州ツアーはすでに2017-2018シーズンがスタートしているが、年内の大会は終了。再スタートとなる年明けまで、貴重なオフの時間をゆっくりと過ごしている選手も多い…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 米PGAツアー、欧州ツアーはすでに2017-2018シーズンがスタートしているが、年内の大会は終了。再スタートとなる年明けまで、貴重なオフの時間をゆっくりと過ごしている選手も多いことだろう。

 無論、来(きた)るニューイヤーに向けてトレーニングに励み、新たな戦略を立てている選手たちも少なくないはずだ。そうした状況の中、新たな年、新たなシーズンを迎える前に、主なトッププロたちが一緒に戦う相棒(キャディー)を発表している。ここで、その顔ぶれを少し紹介したい。



フィル・ミケルソン(左)のキャディーは弟のティム(右)がフルタイムで務めることになった

 まずは、ツアー42勝を誇るベテランのフィル・ミケルソン(47歳/アメリカ)は、今年6月に25年もの間バッグを担ぎ、ともに戦ってきた”ボーンズ”ことジム・マッケイと別離。以降、ミケルソンの母校であるアリゾナ州立大のゴルフコーチを務めていた実弟、ティムを仮のキャディーとして起用してきたが、そのティムが来年はフルタイムでバッグを担ぐことを発表した。

 ちなみに、ティムは大学の教え子でもあるジョン・ラーム(23歳/スペイン)のエージェントを務めていたが、今回のことでそれもやめて、本格的にキャディーに専念する。

 来年6月には48歳になるミケルソンが目指すのはもちろん、いまだ勝っていない全米オープンを制して”生涯グランドスラム”を成し遂げること。残された時間は決して多くはないが、”兄弟タッグ”で快挙達成に挑む。

 翻(ひるがえ)って、幼少の頃からの親友をキャディーに起用するのは、ロリー・マキロイ(28歳/北アイルランド)と、ジェイソン・デイ(30歳/オーストラリア)のふたりだ。

 マキロイは今年7月、ロイヤルバークデールで行なわれた全英オープン後に長らく連れ添ったキャディー、JP・フィッツジェラルドを解雇。マキロイはその理由をこう語った。

「ミスショットや間違った選択をしたときに、自分自身よりもキャディーに苛立った。本来は、自分に怒らないといけないのに……。これではダメと思ったんだ」

 こうして変革を求めたマキロイはその後、ジュニア時代からともに戦ってきた親友のハリー・ダイアモンドを相棒に指名した。そして、マキロイもミケルソンと同じように、そのダイアモンドを来年から正式なキャディーとすることを発表。親友とのタッグで、マキロイも悲願のマスターズ制覇を果たしての”生涯グランドスラム”に挑戦することになる。

 片や、デイも9月に「つらい決断」を下した。長年ともに戦ってきたキャディーでもあり、コーチでもあるコル・スワットンと、キャディーとしてのコンビを解消することとした。デイが語る。

「今年に入って、(キャディーに対して)何かわだかまりを感じていた。僕のプレーがうまくいっているときはよかったが、乱れ始めるとその気持ちを抑えることが難しくなった。でも、コルは僕がゴルフを始めた頃からの師。これからも、自らのコーチであることは変わらない」

 その後、11月に行なわれた母国のオーストラリアオープンでは、幼少の頃からの親友であるルーク・リアドンにバッグを担いでもらった。その際、「いいイメージがたくさん戻ってきた」というデイ。そのままラリアドンに、フルタイムでキャディーを務めてもらうこととなった。

 2017年当初は世界ランキング1位だったデイだが、現在は12位。新たな年を迎えてからは、親友とともに再び世界一の座を目指すことになる。

 さて、先日およそ10カ月ぶりに競技ゴルフに復帰したタイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)のキャディーは誰が務めるのか。実は、故障前もウッズのバッグを担いできたジョー・ラカバが、ウッズの帰りをじっと待っていたのだ。

 ウッズはリハビリ中、ラカバにこう伝えていたという。

「もし若い選手のバッグを担ぎたかったら、ツアーに戻っていいんだよ。でも、僕が競技に戻ったときには、僕のバッグを担いでくれたらうれしい」

 しかし、ラカバは「ノー、ノー。僕はタイガーの復帰を信じて待っている」と言って、ツアーに戻って他の選手のキャディーを務めることはなかった。ウッズの”相棒”として、彼の復帰を疑わず、これまでずっと待ち続けていた。

「ジョーがどれほどツアーに戻りたかったか、僕は知っている。それは、僕も同じだから」

 ウッズはそう語って、ラカバの忠誠心に感謝した。

 ラカバがウッズのキャディーとなったのは、2011年。それ以前は、ダスティン・ジョンソン(33歳/アメリカ)とパートナーを組んでいた。そのジョンソンが、今や世界ランキング1位。一方、ウッズは先のヒーロー・ワールド・チャレンジで4日間を戦い抜いて、世界ランキングは1199位からジャンプアップしたものの、688位である。

 それでも、ウッズのもとを離れなかったラカバ。その気持ちに応えて、強いタイガーが戻ってくるのか、注目である。

 クリスマス休暇が終わると、PGAツアーは年明け早々に再開される。選手とキャディーはそれまでに、あらゆる戦略を一緒に練っていることだろう。ニューイヤーでは、新旧ペアの戦いぶりから目が離せない。