WEEKLY TOUR REPORT米ツアー・トピックス『Tiger is Back!』――タイガー・ウッズが戻ってきた! そんなヘッドラインが、米ゴルフメディアを賑わせている。 自らの基金が主催するヒーロー・ワールド・チャレンジ(11…

WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

『Tiger is Back!』――タイガー・ウッズが戻ってきた!

 そんなヘッドラインが、米ゴルフメディアを賑わせている。

 自らの基金が主催するヒーロー・ワールド・チャレンジ(11月30日~12日3日/バハマ)で、およそ10カ月ぶりにツアー競技に復帰を果たしたタイガー・ウッズ(41歳/アメリカ)。非公式戦ながら、世界のトッププレーヤーが集う舞台で彼自身が大いに奮闘したのだ。4日間のラウンドで60台を3日間マークするなどして、通算8アンダーでフィニッシュ。出場18人中、9位タイという成績を残した。

「僕はまた(プロツアーで)戦える状態になった。ショットは自分が思っていた以上(の出来)。特に飛距離は、自分でも驚くほどだった。ティーショットだけでなく、ロングアイアン、フェアウェーウッドの手応えもよかった。そして何より、パッティングが冴えていた。とにかく今週は、アイアンが飛びすぎて距離感を合わせるのが大変だったけど、これからその調整をして次戦に備えるよ」

 4日間のプレーを無事に終えて、そう語ったウッズ。会見中は終始笑みを浮かべ、その表情は自信に満ち溢れていた。



復帰戦で素晴らしいプレーを見せたタイガー・ウッズ

 復帰戦として、その戦いぶりは確かに素晴らしかった。だが、今回のウッズの復活は、はたして本物なのだろうか? この成績、プレーぶりを素直に信じていいのだろうか?

 誰もが思うそんな疑問に、ウッズの元コーチたちが見解を示している。ここでは、ブッチ・ハーモン氏とハンク・ヘイニー氏の分析を紹介しよう。

 ハーモン氏は、「(ワールド・ヒーロー・チャレンジ)4日間のタイガーの戦いぶりは、いい意味ですごく驚きだった」と言い、ウッズのスイングのよかった点を例に挙げて、こう称賛した。

「(今回よかったのは)スイング全体に非常にゆとりがあること。以前にはあった、上下に動く癖がないこともよかった。スイングのスピードも戻って、腰の痛みもまったくなさそうだ。正直、今のウッズのスイングはかなりいいと思う」

 一方のヘイニー氏も、「このスイングなら(ツアーで)十分に戦うことができる」と太鼓判を押して、ウッズのスイングを称えた。

「(復帰したウッズのスイングは)インパクトに入るまでの腕のリリースが何よりもよくなっている。その結果として、腰への加重を減らし、さらにミスショットを軽減することにつながっている。

 これまでは、ボールの後方で肩や腕が遅れて出てきた。その悪癖によって、左右両方にミスショットが出ていた。また、スイングプレーンが以前はフラットだったが、今のスイングはそれらが改善されて、とてもよくなっている。体の調子もよさそうだし、クラブヘッドのスピードも出ている。ツアーに戻っても十分にやっていけると思う」

 もちろん、このふたりがスイングを絶賛したからといって、ウッズが復活してたちまち優勝するとは限らない。再び腰痛をぶり返してしまう可能性もあるだろう。

 しかし、彼らはウッズのメジャー14勝を支えたコーチたちである。ウッズのスイングのことは誰よりも知っている。しかもハーモン氏は、「タイガーは当然、再びメジャーに勝つことを目標としている。まずは来年4月のマスターズ、そこに照準を合わせてくるだろう」とも語った。ツアー復帰を果たしたウッズの活躍へ、期待は膨らむ。

 そうなると、気になるのは今後のウッズの動向だ。

 ウッズ自身、次戦ではどの試合に臨むのか明言していないし、今後の予定も発表していない。それでも、マスターズまでのスケジュールを各メディアが予想していて、それはほぼ一致している。

 まず、1月末にカリフォルニア州サンディエゴのトーリーパインズGCで行なわれるファーマーズ・インシュアランス・オープン(1月25日~28日)で、PGAツアーに復帰すると見られている。

 昨年は予選落ちに終わったが、会場となるトーリーパインズGCは、ウッズがジュニアの頃から慣れ親しんだコースで、2008年の全米オープンで最後のメジャー勝利を飾った相性のいい舞台。今季もこの地に戻って、ここから完全復帰を目指すだろう、というのが大方の予想だ。

 その後は、ジェネシス・オープン(2月15日~18日/カリフォルニア州、リビエラCC)と、ウッズの自宅がある場所で開催されるホンダ・クラシック(2月22日~25日/フロリダ州、PGAナショナル)への出場が有力視されている。

 以降、ウッズは、現時点で3月に開催される世界選手権シリーズ(WGC)のメキシコ選手権とデル・マッチプレーの出場資格を持っていないため、アーノルド・パーマー招待(3月15日~18日/フロリダ州、ベイヒルクラブ)に参戦。そこで最後の調整をして、マスターズに進むのではないかと見られている。

「試合には出たい。だけど、プレーしすぎることのないようにする」

 昨季の失敗を教訓にしてか、ウッズは復帰に際して慎重な姿勢を見せたが、その分、今季は復帰後のプレー、その活躍が楽しみになった。

 迎える2018年、ウッズ復活の1年に沸くのか。米ゴルフ界での”ウッズ狂騒”はまだまだ続いていく。