さまざまなツアータイトルを手にしたラファエル・ナダル(スペイン)が、新たな栄光を手に入れた。スペインのスポーツ紙「as」の50周年を記念して開催されたスポーツ賞「AS」賞をナダルが受賞した。この賞は、過去50年間のスペインで最も偉大なスポー…

さまざまなツアータイトルを手にしたラファエル・ナダル(スペイン)が、新たな栄光を手に入れた。スペインのスポーツ紙「as」の50周年を記念して開催されたスポーツ賞「AS」賞をナダルが受賞した。この賞は、過去50年間のスペインで最も偉大なスポーツ選手に贈られるもので、ナダルはテニスへの貢献を認められ選出された。

ナダルは、16年のキャリアの中でグランドスラム16タイトルを含む、75個のATPタイトルを獲得している。さらに今年の「全仏オープン」で10回目の優勝を飾り、大会史上初の快挙を成し遂げた。この功績が認められたナダルは、「この賞に選ばれたことは、本当に感謝しかありません。今年は自分にとって特別な年になりました。そして、この賞は特別です。なぜなら、セレモニーには国王もいらっしゃいますし、受賞するスペイン人選手がたくさんいるのですから」と謙虚に喜びの言葉を述べた。

ナダルはマドリッドの市庁舎で、スペイン国王フェリペ6世から賞を贈呈された。

今季のナダルは67勝11敗の戦績で終え、2013年以来最高の成績を残した。さらにATP創設以来初の30代の年末ランキング1位となった。2つのグランドスラムなど計6個のツアータイトル獲得と4度のファイナリストとなり、決勝で敗れた相手は3回のロジャー・フェデラー(スイス)と、サム・クエリー(アメリカ)だけだ。

as紙のインタビューでナダルは「誰が受賞するのかわからないほど、多くのジャンルでスペイン人選手が活躍していた」と受賞に驚いた様子を見せた。

「素晴らしいことを成し遂げた選手は非常に多く、その中には歴史上初めてのことも含まれています。それは特別な価値があります。例えばセベ・バレステロスはゴルフで、ミゲル・インドゥラインは自転車のロードレースで一時代を築き、パウ・ガソルはNBAリングを2度獲得しています。さらにF1のフェルナンド・アロンソ、オートバイ界ではスペイン人が非常に活躍しています」

錚々たるスペイン人選手の中から選ばれたナダルだが、全く浮き足立つことはなく「たくさんの人からの支援がなければ、成功することはできなかった」と強調する。

「いつも側にいる人達が助けてくれました。アドバイスを求めたときには、十分な情報を与えてくれた。トップの座につくと、ただ耳障りの良い言葉だけを聞いていたいという人がいますが、僕の場合は、回りにいる人々が思い立ったことをいっていいとわかっています」

来季は、幼少期から支えてくれた叔父トニー・ナダル氏がコーチから退き、カルロス・モヤ(スペイン)と、フランシスコ・ロイグ氏に完全に任せることになる。昨今の選手たちの間では、選手人生の終盤で成績を伸ばしていく傾向が強まり、ナダルもさらに多くの記録を破ることに期待が持てる。その中には、フェデラーが持つ19個のグランドスラムタイトルの記録を塗り替えることも含まれる。ただ、ナダル自身は常に自分のベストを追い求めたいという。

「人生では、自分がしていることに満足しなければなりません。それは勝ちたくないという意味ではなく、フェデラーに追いつく必要がないということ。あくまで自分が達成できるものに挑戦し続けていたいのです」

またナダルは「ゲームを楽しんでいる限り、プレーを続ける」と、まだまだ引退を考えている様子もない。

「あまりきちんとした人間ではないので、深くは考えていないけど、朝、目を覚ましたときに、そういう気分ではないなと思ったらテニスをやめて他のことをするかもしれない。けれど、今はいつもやっていることをやり続けよう、という熱意とともに目を覚ましています」(テニスデイリー編集部)

※写真はスペインのスポーツ紙「as」の50周年記念パーティーに出席したラファエル・ナダル

(Photo by Fotonoticias/Getty Images)