1月15日からオーストラリア・メルボルンで全豪オープンが幕を開ける。南半球の1月は真夏。強い日ざしと摂氏30度超の暑さのもと、男女のトッププレーヤーが四大大会の栄冠を懸けた戦いに挑む。 故障明けのロジャー・フェデラー(スイス)が昨年の大会…

 1月15日からオーストラリア・メルボルンで全豪オープンが幕を開ける。南半球の1月は真夏。強い日ざしと摂氏30度超の暑さのもと、男女のトッププレーヤーが四大大会の栄冠を懸けた戦いに挑む。

 故障明けのロジャー・フェデラー(スイス)が昨年の大会を制し、その後も好調を維持したように、いいシーズンを過ごすためにも1年の最初のグランドスラムで好感触を得ておきたい。シーズン開幕直後ということもあって、オフ期間のトレーニングや調整の巧拙が一つの焦点となる。気象条件が基準を超えると試合の進行を一時停止する独自ルール「ヒートポリシー」があるほどだから、暑さ対策、体調管理も勝敗を分ける要素になる。

 楽しみなのは、17年に故障でツアーを離れたノバク・ジョコビッチ(セルビア)、アンディ・マレー(イギリス)、スタン・ワウリンカ(スイス)、錦織圭、西岡良仁といった選手たちの復帰だ。リハビリの進捗やコンディションの上がり方はそれぞれ異なるが、どの選手も全豪に復帰の照準を合わせている。

 右ひじの故障でウィンブルドン以降、ツアーを離脱したジョコビッチは、17年に現役生活を終えたばかりのラデク・ステパネクをコーチに招き、アンドレ・アガシとコーチ2人体勢で新シーズンに臨む。

 ワウリンカは17年に右ひざを故障、2度の手術を行った。12月上旬に行った会見では「まだ100%ではないが、毎日、回復に向けて努力している」と話している。臀部のけがのマレーは昨年、ウィンブルドンを最後に離脱。前哨戦のブリスベンでの復帰を目指し、アメリカなどでトレーニングを積んでいる。

 錦織も右手首の回復次第だが、ブリスベンで復帰予定。11月に帰国した際には「戻ったら、グランドスラム、マスターズのタイトルを取れるようにしたい」と話している。

 17年に復調し、大活躍したフェデラーとラファエル・ナダル(スペイン)も黙っていないだろう。17年はフェデラーが全豪とウィンブルドンを制し、ナダルが全仏と全米の王者になった。マリン・チリッチ(クロアチア)、フアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)の四大大会優勝経験者も危険な存在だ。優勝争いは熾烈なものになるに違いない。

 女子の優勝争いも予想が難しい。世界ランキング1位を奪取したシモナ・ハレプ(ルーマニア)。四大大会初優勝の機は熟したと見ることもできる。同2位のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)も昨年のウィンブルドンに続く3度目の四大大会のタイトルを狙う。同3位のカロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)は以前よりプレーが積極的になった。女子テニス屈指のサーブ力を持つ同4位のカロリーナ・プリスコバ(チェコ)も念願の四大大会タイトルに目の色を変えているはずだ。

 一方でマリア・シャラポワ(ロシア)、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)といった元女王も虎視眈々と頂点をうかがう。17年は出産でツアーを離れたセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)も調整が間に合えば当然、優勝候補となる。

 全豪に限らず、18年は若い世代の台頭が期待される。男子では、17年のATPワールドツアー・ファイナルズで決勝を戦ったグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)、ダビド・ゴファン(ベルギー)、さらにドミニク・ティーム(オーストリア)といった選手たちが四大大会初栄冠を狙う。

 また、「Next Gen」はどこまで勢力を伸ばすか。17年に自己最高3位をマークした20歳アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)を筆頭に、ロシアの強打者アンドレイ・ルブレフ、18歳のレフティー、デニス・シャポバロフ(カナダ)、Next Gen ATPファイナルズを制した韓国の21歳、チョン・ヒョンもいる。

 この世代の特徴は、第一に、怖いもの知らずの強打だろう。常識的には守備的にプレーすべき位置からでも積極的に打ってくる。しかも、その攻撃的なショットを厳しいコースに配球する。これは上位陣には間違いなく大きな脅威となる。

 女子も若い世代の台頭がある。17年は全仏で四大大会初優勝のエレナ・オスタペンコ(ラトビア)、エリナ・スビトリーナ(ウクライナ)、カロリーヌ・ガルシア(フランス)といった選手がランキング上位に食い込んできた。大坂なおみの躍進も期待できそうだ。元女王のクリス・エバートさんは18年にブレークが予想される選手に彼女の名前を挙げた。「パワーがあり、トップ10選手と何度も接戦を演じている。もう少し成長して、ショット選択もうまくなれば......」と日本の新星への期待は大きい。

(秋山英宏)※左からジョコビッチ(Photo by Adam Pretty/Getty Images)、マレー(Photo by Michael Steele/Getty Images) 、ワウリンカ(Photo by Gareth Copley/Getty Images)、錦織圭(Photo by Shaun Botterill/Getty Images)