11月26日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた東海大×流経大で、2017年度のリーグ戦全日程が終了した関東大学リーグ戦1部。同試合終了後には、今季のベストフィフティーンも発表された(下記参照)。<2017年 関東大学リーグ戦1部 ベスト15…

 11月26日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた東海大×流経大で、2017年度のリーグ戦全日程が終了した関東大学リーグ戦1部。同試合終了後には、今季のベストフィフティーンも発表された(下記参照)。

<2017年 関東大学リーグ戦1部 ベスト15>
PR三浦昌悟(東海大4年)、HO平田快笙(大東大3年)、PR藤井大喜(大東大2年)、
LO川瀬大輝(東海大4年)、LOタウムア・ナエアタ(流経大4年)、
FL大西樹(流経大4年)、FL河野良太(大東大4年)、
NO8アマト・ファカタヴァ(大東大3年)、
SH中嶋大希(流経大4年)、SO侭田洋翔(中大1年)、
CTB池田悠希(東海大4年)、CTB鹿尾貫太(東海大4年)、
WTB中井健人(法大3年)、WTBアタアタ・モエアキオラ(東海大3年)、
FB野口竜司(東海大4年)

 東海大から最多の6人が選ばれ、SOには中大1年生の侭田洋翔(ままだ・ひろと)が入った。また、22年ぶりにリーグ戦を制した大東大からは4人が選出。3位の流経大からも3人が選ばれた。

 シーズンを通しての活躍を評価されて選出された15人。FW8人の中で唯一人、2年生で選ばれたのが大東大の右PR、藤井大喜(ふじい・たいき)だ。今季は1番の古畑翔(ふるはた・しょう/3年)、2番・平田快笙(ひらた・かい/3年)とともに、3人で全試合に先発出場。強力スクラムの最前列で奮闘し、優勝したチームに勢いを与えるパフォーマンスを発揮し続けた。
 藤井は、受賞の喜びをこう話す。
「とても嬉しいです。それと同時に、去年の自分では想像もできなかったような名誉です。リーグ戦の3番の方々は自分よりもすごい人ばかり。自分でいいのかという気持ちもあります。ただ選ばれたからにはそれに恥じないように、大学選手権では頑張りたいと思います」
 優しい性格がにじむ。3番に向いている。

 今年はジュニア・ジャパンに選ばれ、3月にフィジーでおこなわれたパシフィック・チャレンジに参加。U20日本代表にもなり、8月、9月にウルグアイで開催されたワールドラグビーU20トロフィーにも出場した。それらの経験が成長を呼んだ。
 1年時は春先こそAチームに入るチャンスを得たが、夏の練習試合、明大戦でスクラムトライを奪われる原因を作り、次第に出場機会が減った。
 そんな状態だったから、成長するきっかけを周囲からも得ようとした。そのひとつが、ジュニア・ジャパンで得た知識だ。
「同じポジションの木津さん(悠輔/天理大4年)から教わったりしました。スクラムの姿勢、セットアップの仕方。それらがすごくタメになったんです」

 以前はサイズ(184センチ、115キロ)を武器に、耐えるスクラムを組んでいた。それが変わった。肩甲骨を寄せ、胸を張る。その姿勢でシンク(低くなる)。相手を押しつぶし、さらに前へ出る。
「まだ足の運びなど、うまくいかないところもあるのですが、そういった基本を学べて、自分の形を作れたことが大きかったと思います」
 春シーズンの公式戦で結果を出し自信をつかみ、国際舞台も経験。ワールドラグビーU20トロフィーは大雨の中で戦うなど、ハードな環境下でのプレーとなったが、サクラのエンブレムを背負う責任の中で心も強くなった。
 そんなプロセスを歩んだ末に過ごした充実のシーズンだった。

 岩手県出身。北上市の上野中時代はバレーボール部に所属するも、同部引退から卒業までの間に体験した特設クラブでラグビーの魅力に触れた。
 黒沢尻工業高校進学後、ラグビー部に入った。伝統の赤ベコFWで有名な同部では、元サントリーの高橋智也監督に右PRとしての基礎を作ってもらった。「それが現在もベースになっています」と話す。
 多くの人に感謝する。
「ジュニア・ジャパンに招集してくださった遠藤(哲)ヘッドコーチ、スクラムを基礎から教えていただいた斉藤(展士)コーチにはとても感謝しています。そのおかげで1年生の頃とは比べものにならないスクラムを、春の試合から組んでいくことができました。チーム内でも1番、2番の古畑さん、平田さんや、いつも練習で組んでいる先輩の柴崎(冴亮)さん、木川コーチなどに指導していただき、1年を通してとても成長できました。振り返ると、周りの方々の支えにとても成長させられていると、つくづく感じます」
 スクラムを支える若者は、多くの人に支えられてすくすく育っている。

 セットプレーの強さとディフェンスを武器に、大学選手権でも暴れたい大東大。今季のスクラムの強さを、背番号3は、こう自己分析する。
「とにかく1番、2番が強い。自分が出られない時でも、とにかくこの2人が組み負けることがほとんどないのでとても頼もしいです。また、春には不十分だった、8人で塊になって押すということも、だんだんとできるようになりました。個でもかたまりでも押していける。そこが大東のスクラムの強みだと思います」
 高校3年時に見た大学選手権準決勝。敗れはしたが、モスグリーンのジャージーが王者・帝京大相手に、大胆なラグビーで挑んだ姿に興奮したことをおぼえている(33-68)。
 自身は昨年の大学選手権では、初戦の福岡工大戦後半に途中出場するだけに終わった。今年の大会では、お世話になった方に成長を伝えるパフォーマンスを見せたい。