2日連続で秩父宮ラグビー場の芝を踏んだ。
 帝京大のHO金廉(きむ・りょむ)だ。11月25日は関東大学ジュニア選手権(カテゴリー1)のファイナル、明大戦に出場した。26日は関東大学対抗戦の筑波大戦に、後半39分からだったが登場。2つの勝利を手にした。

 金は今季、ジュニア選手権のすべての試合に出場し、キャプテンを務めた。25日の決勝戦にはLOで出場。チームは0-14とリードを奪われるも、CTB本郷泰司の連続トライで14?14として前半を終え、最終的には27-14のスコアでジュニア選手権6連覇を成し遂げた。
 先頭に立ち、仲間を牽引した男は、「ひとつになれた」と勝利を喜んだ。自分たちが強くなれば、チームの幹をもっと太くできると知っている。1年生の時から、そんな光景を見てきた。

 ジュニアチームには、いろんな選手がいる。
 Aチームで、なかなか先発の座をつかめない者。Aチーム入りを目指す選手もいれば、Cチーム、Dチームから這い上がってきた努力家、若手も。一人ひとりが自身の可能性に挑んでいる。
 その中で、金自身もチャレンジを続けている。Aチームでは、いつもリザーブだ。同じポジションには堀越康介主将がいる。しかし、2番を背負うことを諦めたことはない。ジュニアで先発しようが、Aチームでの途中出場だろうが、いつも同じ気持ちでプレーする。全力。100%の力を出し切る。
「自分たちのやりたいこと、やってきたこと、やるべきことをやる。そこに集中しています。キャプテンと同じポジションです。周りから見たらネガティブな状況に見えるかもしれませんが、キャプテンの姿を見ていたら自分に足りないものも見えてきます。それを知って、理想的な選手に少しでも近づければ」
 いつだって前を向いている。

 東大阪朝鮮中級学校でラグビーを始めた。いとこの権裕人(大阪朝高→帝京大→現・パナソニック)に「やってみないか」と誘われたのがきっかけだった。
 大阪朝高で花園に出場し、LOとして活躍する。帝京大に入学しても3年時まではFW第2列。183㎝、108㎏の体躯を最前列で活かすようになったのは今季からだ。
 卒業後はNTTドコモでプレーを続ける予定になっている。

 ジュニア選手権の全日程を終え、これまでと少し違う日々が始まった。最後の最後までAチームの2番を追い続ける時間も、あと1か月半あまり。「自分の可能性に挑戦し続けます」と、さらりと言った。
 今季、開幕戦の成蹊大戦では2番を背負い、ゲームキャプテンを務めた。それ以降は、5試合で16番、17番を背負う。その中には出場機会が巡ってこなかった試合もあったが、いつもベストの状態で出番を待った。
「チームのゴールは大学選手権での優勝です。そこまでのプロセスを濃くしていきたい」
 それが自身の進化にもつながると信じている。