NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第10節(交流…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2026年3月1日(日)12:10 クラサスドーム大分(旧レゾナックドーム) (大分県)
横浜キヤノンイーグルス vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)


前節は10番で、そして今節は15番で先発。クボタスピアーズ船橋・東京ベイの押川敦治選手

便利屋的な立ち位置で終わるつもりはない。そのためには、自分の実力を証明する必要があった。

第6節の東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦。押川敦治は22番としてメンバーに入りながらも、80分すべてをベンチで過ごした。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイにとって、今季唯一の敗戦となったこの試合。勝利の行方が不透明な消耗戦を見つめる中、押川の胸中では“自分に何ができるのか”という不安と、“チームを勝利に導きたい”という高揚感がせめぎ合っていた。

だが、ノーサイドの瞬間、そのざわつきは、ピッチを踏めなかったことへの歯がゆさに変わった。チームは翌日、BL東京とのトレーニングマッチを控えていた。消化しきれない思いに突き動かされるように、押川は出場を志願した。

「スタンドオフとフルバックをカバーできるからメンバーに入っている、という存在にはなりたくなかったんです。プレータイムが限られる中でも、自分の実力を示さないと意味がないと思っていました。あのタイミングで結果を出して、『やっぱりこいつは22番に置きたい』と思ってもらう必要がある。そう感じました」

本職はスタンドオフだが、昨季、途中帰国したショーン・スティーブンソンのあとを受け、押川はそれまでほとんど経験のなかった15番を担った。未経験に近いポジションを任され、それを全うしたことで、押川の自己基準は更新されたのだろう。“このレベルでプレーできるはず”の自分が、そこにいる。その高さに現実の自分が追いついていない──そんな感覚が、プレシーズン中に迷いを生んでいた。

だから、今季開幕戦で22番に名を連ねたときも、「つかみ取った」という達成感は薄かった。それ以上に強かったのは、いつ誰にポジションを奪われてもおかしくないという焦燥感だった。

そして、その予感は現実となる。第3節、第4節では立川理道が22番のジャージーに袖を通し、第6節でも押川に出場機会は訪れなかった。

迷いを晴らせるのは、結局のところ自分しかいない。BL東京とのトレーニングマッチ。後半開始からスタンドオフでピッチに立った押川は、大量得点での勝利に貢献した。証明は、ピッチの上で果たされた。続く第7節の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)戦。22番に、再び押川の名があった。

「自分の実力をどうすれば100%出せるのかを考え続けてきました。練習試合では『自分はできる』と自信をもってプレーできた。メンタルもスキルの一つだと、あらためて感じました」

チームが好調な中で、自分はどれだけ貢献できているのか。その問いに向き合うこと自体が、彼にとっての試練だった。浦安DR戦以降は、「萎縮せずに、自信をもってチャレンジできるようになってきた」という。前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では10番で今季初の先発出場を果たした。そして、第10節の横浜キヤノンイーグルス戦。ここで押川は15番を背負う。

「途中出場で15番を経験していたので驚きはありませんでしたが、任せてもらえたことは率直にうれしかったです。良い流れは感じているので、あとはそれを継続するだけ。難しく考えず、自分の役割を全うしたいです」

プレシーズンに生じた迷いは、消えつつある。目の前にあった靄は晴れ、進むべき道が、より明瞭になってきた。

(藤本かずまさ)