前回大会のヒーローとなった吉田(C)Getty Images いよいよ開幕に向けた機運が高まりつつある。今年で6度目の開…

前回大会のヒーローとなった吉田(C)Getty Images
いよいよ開幕に向けた機運が高まりつつある。今年で6度目の開催となるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。
2月26日に行われたバンテリンドームで行われた日本代表の練習には、大谷翔平(ドジャース)、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)が合流。翌27日に開催される中日との強化試合に向けて調整を行った。
【動画】敵将ピアッツァも脱帽! 大谷翔平がWBCで魅せたバントヒット
ここから3月6日に東京ドームで行われる台湾との開幕戦に向けては、個々人での調整力が真価を問われてくる。それは現在アメリカで調整中の山本由伸(ドジャース)、村上宗隆(ホワイトソックス)、岡本和真(ブルージェイズ)も同様で、チームケミストリーを高める意味でも全員がどこまで状態を上げられるかはキーポイントの一つとなる。
そういう意味でも貴重な存在となり得るのが、吉田の経験値だ。
前回大会は激動のシーズンを前にした中での電撃参戦だった。2023年の吉田はレッドソックスとの5年総額9000万ドル(約110億円)の契約を締結したばかり。いわば「ルーキー」としてメジャーリーグの“戦い方”に馴染むための重要な春を迎えていた。
それでも「僕の夢」と出場を志願したWBCでの吉田は、打率.409、2本塁打、13打点、OPS1.258と打ち出の小槌のように打ちまくり、打線をけん引。まさしくMVP級の働きで日本の3大会ぶりの“世界制覇”に貢献した。
しかし、一度ピーク状態までコンディションを高めてしまった大会後は、心身ともに苦心を余儀なくされた。吉田は26日の記者会見の場で、当時を正直に振り返っている。
「何も分からずに突っ走ったなって感じがあるんですけど、正直結構キツかったなって。移動を含めて駆け抜けたなって印象がある」
もっとも、吉田が「キツかった」と振り返る1年目は140試合に出場。打撃成績も打率.289、15本塁打、72打点、OPS.783をマーク。波があったとはいえ、しっかりと稼働はしている。
ただ、吉田がメジャー1年目というリスクを背負ってWBCに臨んだ効果は、計り知れないものがある。当時の栗山英樹日本代表監督が「彼の想い、決断はこれからの野球人にすごくメッセージを送ってくれた」と語ったように、今大会で言えば、ともにメジャーでの“ルーキーイヤー”を迎えている村上と岡本が出場を決意したのも、32歳が貫いた和製大砲の意志が波及したとも言えるのではないだろうか。
大衆はやはり大谷や鈴木に目を向けるだろう。それ自体は悪ではない。むしろ、WBC、ひいては球界が盛り上がるという意味でも、分かりやすいヒーローがいるのは当然の流れだ。しかし、「流れを作ってくれたのは、吉田選手だと思っている」と井端弘和監督が敬意を口にした吉田、そして彼の後を受け継ぎ、MLB球団との契約に「WBC出場条項」を組み込み、“1年目のリスク”を背負った村上と岡本――。彼らの存在も侍ジャパンを強くする上で重要な役割を担っていることを忘れたくはない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
【関連記事】侍Jでも際立つ“存在感” 指揮官が大谷翔平に期待すること 決起集会の開催は…【侍ジャパン】
【関連記事】なぜ侍ジャパン先行発表8人に種市篤暉は選ばれたのか、WBCだからこそ欠かせない種市に託したい「重要な役割」とは
【関連記事】ダルビッシュが見た「侍3投手」の“現在地” 成長ぶりを絶賛…「3年前は何を見ていいのかわからない感じ」【侍ジャパン】