身体ごと雪上に投げ出され、複雑な骨折を負ったボン(C)Getty Images まさに人生を変えるような壮絶なアクシデン…

身体ごと雪上に投げ出され、複雑な骨折を負ったボン(C)Getty Images

 まさに人生を変えるような壮絶なアクシデントだった。去る2月22日(現地時間)に無事に閉幕したミラノ・コルティナ五輪のアルペンスキー女子滑降で転倒し、左足脛骨を複雑骨折したリンゼイ・ボン(米国)だ。

【動画】大量のボルトが足に…ボンが公開した生々しい傷跡

 そもそも厳しい状態でのチャレンジではあった。41歳の女王は、五輪の約1週間前のW杯戦で左膝前十字靱帯断裂。誰もが「出場は無理(無謀)ではないか」と予測する中で、強行出場。自身のキャリアを締めくくる舞台として果敢に挑んだ。

 しかし、早々にアクシデントに見舞われた。公式練習で快調な滑りを見せ、大きな関心を集めた予選。そのわずか13秒でボンは踏ん張りがきかずに転倒し、旗門に右腕を引っかけて投げ出されてしまったのだ。

 身体を雪面に激しく打ち付けたボンは、悲鳴をあげるほどの痛みを抱え、自力で立ち上がれもせず……。結局、ヘリコプターで救急搬送された。

 そこから一刻を争う治療を余儀なくされ、イタリア国内で4度、帰国後も2度の外科手術を執行。左足切断の可能性も囁かれたレジェンドだったが、今は危機的状況を回避し、回復に向かっているという。

 一体どれだけ過酷な状況だったのか。それは本人がインスタグラム上で赤裸々に記した投稿内容から窺い知れる。脛骨の複雑骨折に加え、右足首の骨折など複数個所を同時に痛めていたボンは、左足のコンパートメント症候群(筋肉や神経の血液循環が悪化し、壊死や麻痺を引き起こす症状)も発症。担当医であるトーマス・ハケット医師が筋膜切開術を施さなければ、「足を切断していた」という。

「まるでレンガを1トンぐらいぶつけられたような衝撃を受け、本当に全部がバラバラになっていました」

 そう転倒時の痛みの大きさと足の状態について回想したボンは、「コンパートメント症候群は、ある部分が強い外傷を受け、血液が過剰に流れて詰まってしまうことなんです。基本的に、すぐに治療しなければ、筋肉、神経、腱などすべてが圧迫され、壊死してしまうんです」とも説明。自身の足が危機的状況に陥っていたことも強調している。

 ただ、事情を知る担当医による治療がすぐに行えたのは、実は奇跡的でもあった。というのも、ハケット医師はボンが大会前に前十字靭帯を断裂していたために、緊急で帯同していたためだった。

 重傷から救われたボンは、「トム・ハケット医師がいたのは私が前十字靭帯を切っていたらからでした」と告白。そして「ドクターが私の足を切断から救ってくれた。筋膜切開術と呼ばれる手術を行い、私の足の両側を切開して呼吸できるようにしてくれたんです」と“恩人”とも呼ぶべき名医への感謝を記している。

 無論ここからは、過酷なリハビリ生活が待っている。それでも「(五輪出場に)後悔は全くありません。もちろん、どれだけ辛かったか、言葉では言い表せません。本当に辛くて、違う形で終わってほしかった思いもあります。ただ、全く挑戦しないよりは全力で挑む方がマシでした」と語るボンは、「自分に何ができるかを見て、いつものように一歩ずつ進んでいきます」と断言。再起に向け、ただ前を見据えている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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