大相撲で元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(34)が、弟子の前頭伯乃富士(22)への暴力行為で、日本相撲協会から事情聴取を受け…
大相撲で元横綱照ノ富士の伊勢ケ浜親方(34)が、弟子の前頭伯乃富士(22)への暴力行為で、日本相撲協会から事情聴取を受けていることが26日、複数の関係者の話で分かった。
春場所(3月8日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付が発表された24日に、東京・両国国技館で聴取を受けていた。全45部屋で、ともに最多の力士31人、関取7人を擁する、一大勢力の師匠への処分を今後、協会が協議することになる。
今月24日、伊勢ケ浜親方は、伯乃富士とともに両国国技館に入っていった。本来は春場所に向け、宿舎を構える大阪市にいるはずの番付発表の日に、東京に戻っていた。関係者は「伊勢ケ浜親方が、伯乃富士に暴力を振るったことで聴取を受けた」と明かした。事情を知る前頭錦富士も、2人に同行して聴取を受けた。今後、コンプライアンス委員会が処分案をまとめて、協会に答申する見通し。現在、伊勢ケ浜親方は大阪市の部屋で稽古を指導しているが、伯乃富士は稽古に参加していないことも関係者の話で分かった。
当初は24日に、伊勢ケ浜親方は、弟子の熱海富士の新三役会見に同席予定だった。だが前日23日になって急きょ「師匠同席予定でしたが、本人のみとなりました」と、協会広報部から報道陣に連絡があった。昨年6月、先代伊勢ケ浜親方で現宮城野親方(元横綱旭富士)の定年に伴い部屋を継承。1月31日には断髪式を行い、新三役も誕生し“これから”という時期に、自らの過ちで師匠としての経歴を汚すことになった。
暴力に至った経緯など詳細は、今後の協会の調査で明らかにされる。すでに部屋では力士らを集めて、伯乃富士に対する暴力行為を報告。「その責任は自分にある」と反省の弁を述べたことも関係者の話で判明した。協会には自ら報告したが、今後に不安を感じている力士もいるという。
近年、協会は特に十両以上の関取による暴力行為に厳しい処分を下してきた。今回の伊勢ケ浜親方のケースは、引退を余儀なくされた日馬富士や貴ノ岩、貴ノ富士、北青鵬とは異なり、暴力行為を自ら報告。それが処分にどう影響するか、少なくとも近年には前例がなく不明だ。ただ一大勢力の大黒柱である師匠が、もともとは元横綱白鵬翔さんが師匠だった旧宮城野部屋からの一時預かりの弟子、伯乃富士に手を出した。同じ旧宮城野部屋勢に、不安が広がる可能性もある。
角界の主な暴力による不祥事
◆07年6月 時津風部屋で、17歳の力士が時津風親方(元小結双津竜、故人)と兄弟子3人に暴行されて死亡。後に親方の実刑判決と3人の有罪判決が確定。
◆10年1月 元横綱朝青龍が知人の男性に暴行し、責任を取る形で引退した。同7月に傷害容疑で書類送検され、後に起訴猶予処分となった。
◆16年3月 マネジャーの男性を金属バットで殴った、として傷害罪に問われた元熊ケ谷親方(元十両金親)に有罪判決。
◆17年10月 横綱日馬富士が巡業で平幕貴ノ岩に暴行。九州場所中に判明し、日馬富士は事件の責任を取って同11月に引退。退職した。貴ノ岩も18年12月に付け人に暴行し、引退した。
◆19年9月 十両貴ノ富士が付け人に暴力を振るったことが発覚。前年18年も春場所で付け人に暴行し、夏場所の出場停止処分を受けた中で2度目の不祥事だった。理事会では自主引退を促すことが決議され、貴ノ富士は不服として法廷闘争の構えも見せていたが、最終的には引退届を提出。
◆24年2月 幕内北青鵬による弟弟子2人に対する暴力行為が発覚し、引退した。宮城野親方(元横綱白鵬)は監督責任を問われ、2階級降格などの処分を受け、部屋は閉鎖、同4月に師弟ともに伊勢ケ浜部屋に転籍していた。(肩書、年齢は当時)