◆スノーボード・ビッグエア 全日本選手権 (26日、福島・星野リゾート ネコマ マウンテン) ビッグエア(BA)が行われ…

◆スノーボード・ビッグエア 全日本選手権 (26日、福島・星野リゾート ネコマ マウンテン)

 ビッグエア(BA)が行われ、男子はミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得した木村葵来(きら、21)=ムラサキスポーツ=の弟・悠斗(17)=ヨネックス=が初優勝した。女子は同五輪で金メダルの村瀬心椛(ここも、21)=TOKIOインカラミ=の妹・由徠(ゆら、19)=TOKIOインカラミ=が初優勝。金メダリストのきょうだいが、力を発揮した。葵来は準優勝、心椛は休養を優先し欠場した。

 弟が金メダリストの兄を超えて日本一に輝いた。2本目。悠斗は逆足で踏み切り、フロントサイド方向に5回転して逆足で着地する大技「キャブスイッチトゥースイッチ1800」を完璧に決めた。着地を決めると大きく両手でガッツポーズ。「今日は自分のやりたい技ができて優勝できた。お兄ちゃんにはなかなか勝ったことがなかったし、五輪のメダリストにも勝ててすごく自信になった」と胸を張った。

 日本一を決める舞台で兄弟が1位と2位を分け合った。兄の葵来も4方向のうち2方向を駆使し、弟と同じ技構成で応戦。わずか0・67点差の接戦だったが、最後は僅差で弟が上回った。今季からワールドカップに参戦する17歳のホープは「兄の五輪での活躍を見て俺もこうなりたいと思った。それが今回の結果につながった」と、してやったりだ。

 互いを高め合う関係性だ。葵来は「ライバルでもあり、日常生活では仲良し。熱くなれる存在」と弟を評すと、悠斗は「今季からW杯を回っている中で心強い存在」と応じた。4年後の五輪で悠斗は「1位で、お兄ちゃんを超えたい」と宣言。葵来も「一緒にワンツーで、僕が1位で終わるくらいがいい」と笑みの下で闘志を燃やす。

 ミラノ五輪では24個のメダルのうちスノーボードだけで4割近い計9個を獲得。スノーボードが空前の日本選手団メダルラッシュを牽引した。過去最多の金4個を含め、競技の国別ランキングでも米国を抑えて1位。日本の“新お家芸”となった。悠斗が兄を超えたこの一勝は、世代交代ではなく、日本スノーボード界の層の厚さを示す証し。兄弟が切磋琢磨するその先に、さらなるメダルラッシュの未来が広がっている。

(綾部 健真)

 ◆木村 悠斗(きむら・ゆうと)2008年12月15日、岡山市生まれ。17歳。家族に連れて行ってもらったことがきっかけで7歳からスノーボードを始める。中学1年の22年にプロ資格を取得し、25年にはアジア杯シリーズの年間王者に輝いてW杯出場権を獲得。1月のW杯スロープスタイル第2戦では準優勝した。倉敷翠松高在学中。165センチ、57キロ。

 ○…準優勝に終わった葵来は「負けたが、金メダルを取ったナンバーワンの意地は出せた」とうなずいた。五輪を制した時とは逆の2種の回転を使って応戦。「日本の大会で雪質も海外とは異なるので違った戦いをしてみたかった」と意図を明かした。長谷川帝勝(たいが、20)=TOKIOインカラミ=から敗因を聞かれると「人さし指の爪だけを切り忘れてしまった」と、うそぶいた。