ミラノ・コルティナ五輪が閉幕した。カーリング女子は、スウェーデンが金メダルに輝き、スイスが銀メダル、カナダが銅メダルを…
ミラノ・コルティナ五輪が閉幕した。カーリング女子は、スウェーデンが金メダルに輝き、スイスが銀メダル、カナダが銅メダルを獲得した。
女子日本代表のフォルティウスはラウンドロビン(総当たりの予選リーグ)でスイスに勝つなど世界で戦えるポテンシャルは見せたが、2勝7敗の8位に終わった。チームはイタリアから帰国し、しばらく休養をとってから6月に横浜で開催される日本選手権に向けて再始動する予定だ。
その日本選手権で前回王者のフォルティウスに挑むライバルたちは今回のオリンピック、世界トップのカーリングをどう見ていたのか、話を聞いた――。
昨年9月、五輪代表の座をフォルティウスと最後まで争ったSC軽井沢クラブのスキップ上野美優は、日本対カナダ戦でテレビ解説デビュー。「緊張しました」と言いながらも、笑顔を絶やさずカーリングの魅力を視聴者に伝えた。
上野がオリンピックの放送や配信に携わるのは、もちろん今回が初めてだ。「多くの人が関わっている、スポーツの祭典だなと感じました」と、一大イベントの一端に触れた思いを素直に語った。
氷上で特に印象に残ったのは、イギリスとスイスが演じたハイレベルな男子の準決勝だったという。
「カーリングがとても簡単に見えるプレーを連発していて、『私もこんなプレーがしてみたい』『こんなにうまくなったら、どれだけカーリングが楽しいんだろう』と刺激を受けました」
そして、日本代表のフォルティウスをはじめ、各国代表のカーラーがプレーする姿を見つめ、「やはりオリンピックは特別なんだ」と強く感じたそうだ。
「すごく難しく、楽しく、その場にいる選手やスタッフにしか味わえない"何か"があるんだろうなと思って見ていました。あの舞台に立ちたい――。どんな場所なのか、自分たちが準備してきたものを出しきって、世界のトップ選手たちと戦うことはどんなに楽しいんだろう、といろいろな思いを巡らせました。オリンピック(の舞台)に立つにふさわしい選手やチームになるために何が必要なのか、考える時間になりました」

外から見たオリンピックについて語ってくれたロコ・ソラーレの藤澤五月(右)。左は本橋麻里
photo by Soichiro Takeda
SC軽井沢クラブと同じく、昨年9月にフォルティウスと代表の座を争ったロコ・ソラーレ。スキップの藤澤五月は、オリンピック開幕前には都内に滞在して関連番組やイベントにいくつか出演。開幕後は後輩チームのロコ・ステラに合流し、日本選手権の地方予選にあたる北海道選手権にコーチとして帯同した。
「9月(の五輪代表決定戦)で負けて2月は時間があったので、(ロコ・ステラのコーチを)『やってみる?』と麻里ちゃん(本橋/ロコ・ソラーレ代表理事)が言ってくれたのかな。私もその経緯は詳しく覚えてないんですけれど、カーリングを違う視点から見るのも今後の自分の競技人生でプラスになるかもしれない、という思いで挑戦しました」
ロコ・ステラ(出場チーム名はLOCOSOLARE.S)が戦った全10試合のコーチボックスに座った藤澤は、メインのコーチを務める本橋とともに試合前練習やナイトプラクティス(その日の試合が終わったあとにストーンのクセやアイスの状態などを確認する時間)に参加した。五輪の試合はその合間に見て、「国内にいながら時差ボケ状態だった」と笑顔を見せた。
外から見るオリンピックは、まだ20代前半だった2014年のソチ五輪以来となる。藤澤はまず、「オリンピックは技術を持った選手が出ているのが前提としてあるので、外から見て、あらためてメンタル(が重要)だな、と感じました」と、率直な思いを聞かせてくれた。そして、こう続ける。
「自分が(五輪に)出ていると、他のチームを見る余裕がないのもありますが、テレビだと(他国の選手の)表情も見えたりして、『あ、表情がこわばっているな』『カナダの選手でもこういうふうに焦ったりするんだな』と、また別の見方ができました。
オリンピックって、スケジュールにわりと余裕があるんですよね。試合をしていない時にどう過ごすかが大事なんですが、何度も出ていて、勝ったり負けたりの経験が多いデンマークの(マデライネ・)デュポン選手や、スウェーデンのアンナ(・ハッセルボリ)選手が、オリンピックで強い理由が少しわかった気がします」
戦術的には、金メダルを獲得したスウェーデンが「相手の分析と対策をしっかりしてきた印象がある」と藤澤。
「準決勝のカナダ戦では、2エンドから2センター(センターガードを縦にふたつ並べる作戦)を置いてきたりと、『いつも(のスウェーデン)と違うな』という部分がいくつかあった。見どころは多かったです」
藤澤がコーチを務めたロコ・ステラは、北海道選手権決勝で札幌国際大学に惜しくも敗れ、2年ぶりの日本選手権出場はならなかった。試合後、松澤弥子や佐々木穂香ら若い選手を抱きしめて健闘を労う藤澤の姿があった。
「大会中にチームが成長しているのが、コーチの席から見ても感じました。(ロコ・ソラーレと比較するとチームとして)経験年数も、コミュニケーションの方法も違うんですけれど、みんなが『強くなりたい』と願っているのは同じ。私たちもまだまだ成長できるようにステラを見習っていきたい」
(つづく)