広島新井貴浩監督(48)の表情が変わった。広島の春季キャンプは25日に、二次キャンプ地沖縄で打ち上げられた。「横一線」と…

広島新井貴浩監督(48)の表情が変わった。広島の春季キャンプは25日に、二次キャンプ地沖縄で打ち上げられた。「横一線」という言葉が何度も聞かれた今キャンプを象徴するように、グラウンドでは一定の緊張感があった。演出していたのは、これまでのようにグラウンドで笑顔を見せない指揮官の姿だった。

監督就任後、現役時代をともにプレーした経験者を中心に、自身の野球観を浸透させながらチームづくりを進めてきた。だが、チームは2年連続Bクラス。2年続けて順位を落としていく中で浮上の気配は見られなかった。過渡期にあったチーム事情や戦力面も当然、戦績に影響したが、チーム内に隙や弱さがあったことも事実。目を背けられない現実であり、勝負どころのもろさにつながった。

チームを変えるためには、自分が変わらなければいけない-。

就任当初から矢面に立ち、すべての矢印を自分に向けてきた新井監督らしい決断である。厳しさを前面に出すことは望んでいなかったかもしれない。それでも、自身の思い以上に、就任時から最重要視してきた信念を貫いた。

「どんなときでもカープのために。これからのカープが強くなるために」

春季キャンプでの言動はまさに、チームが変わっていく必要性を姿で示しているようでもあった。

選手とのコミュニケーションは最小限。直接指導した姿を確認できたのは1度だけだった。特に新井監督が発信していた「横一線」という言葉は今年、中堅以上の選手には響いた。昨春の記事を見返しても、「横一線」という言葉は使われている。だが、昨春は若手に対して“横一線だから、チャンスがあるぞ”というメッセージだったのに対し、今年は中堅以上に“横一線だから、結果を残さなければ若手にチャンスを与えるぞ”というメッセージのように感じられた。

1次キャンプで一時別メニューとなった栗林と中崎は、ともに第3クールで復帰。2次キャンプでは実戦登板して遅れを取り戻した。大瀬良は昨オフの右肘手術明けで一軍春季キャンプに参加。11日紅白戦での1回4失点はこれまでなら気にする必要のない調整登板だが、翌日12日にブルペンで100球投げ込み、18日ロッテ対外試合で2回無失点と巻き返した。「結果を残さないといけないと強く思っていた。ゼロで終われたので良かった」。主戦の危機感がチーム内競争を刺激している。

若手も負けじとアピールした。投手では2年目の岡本が成長を示し、野手ではドラフト1位平川ら新人選手や2年目佐々木が好パフォーマンスを見せた。

「昨年の春のキャンプよりは、ひとつ上のレベルの競争ができていると思います。そこは新しく入ったルーキーたちの影響があると思います」

キャンプ最終日、新井監督はさらにチーム内競争をあおるようにそう表現した。隙を見せられないポジション争いとともに、新井体制4年目の開幕に向かっていく。本当の意味で変わっていけるかどうか。その答えは、シーズンの戦いが示す。【広島担当 前原淳】