【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって…

【文・構成:伊吹雅也(競馬評論家)=コラム『究極のAI予想!』】

netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

◆どちらかと言えば堅めの決着となった年が多い

AIマスターM(以下、M) 先週はフェブラリーSが行われ、単勝オッズ3.4倍(2番人気)のコスタノヴァが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。ここ3戦の内容からスタートを不安視する向きもありましたが、今回は大きく遅れることなくゲートを出て、向正面では中団の外めを追走。先行した各馬を射程圏内に入れながらレースを進め、ゴール前の直線入り口で躊躇なく大外に持ち出しています。そのまま楽な手応えで内の各馬を一頭ずつ捕らえていき、残り200m地点を過ぎたところで先頭へ。すぐ内のウィルソンテソーロ(2着)が最後の最後まで抵抗したものの、結局1/2馬身のリードを保ったまま入線しました。初めてレースでブリンカーを装着した効果もあったのか、見ているこちらが拍子抜けしてしまうくらいのスムーズな勝利。大目標だったであろう一戦に完璧な状態で送り込んだ陣営はもちろん、その期待に応えてまったく隙の無い手綱捌きを見せたC.ルメール騎手も、お見事と言うほかありません。

M コスタノヴァは昨年のフェブラリーSに続く自身2度目のGI制覇。大きな出遅れが続いてしまっている一方、出遅れさえなければ優勝争いに絡んできそうな実力馬ということで、取捨に悩んだ方も多いのではないでしょうか。

伊吹 「コスタノヴァは何パーセントくらいの確率でスタートを決められるのか」というのが、今年のフェブラリーS予想における最大のポイントだったと思うんです。正直なところ私は五分五分くらいと見積もっていたので、WIN5ではしっかり押さえた一方、通常の式別においては対抗格扱いとしてしまいました。昨年の優勝馬、しかも鞍上がC.ルメール騎手、管理しているのが木村哲也調教師であることを考えると、単勝340円というのはわりと妙味ある決着だった気も。強気に買えなかったことを反省しつつ、今度はどういったレースで積極的に狙うべきかをイメージしながら、今回のパフォーマンスを復習しておこうと思います。

M ちなみに、2着となったウィルソンテソーロは、前回の当コラムでAiエスケープが注目馬に指名していた馬です。

伊吹 私も「Aiエスケープがこの馬を挙げてきたということは、今回は妙味ある伏兵が見当たらなかったのだろう」とコメントさせていただきましたが、結果的に3連複1番人気、3連単4番人気の組番が的中となったわけで、荒れない前提の目に順張りするのが正解でしたね。同様の結果となった例はこれまでにもたくさんありましたから、今後のレースでAiエスケープが人気サイドの馬をピックアップしてきたら、「低額配当決着となる可能性が高いのかも?」と警戒しておきましょう。

M 今週の日曜中山メインレースは、さまざまな路線のトップホースがそれぞれの目標に向けたステップ競走として臨む注目の一戦、中山記念。昨年は単勝オッズ3.1倍(2番人気)のシックスペンスが優勝を果たしました。なお、その2025年は単勝オッズ6.9倍(3番人気)のエコロヴァルツが2着に、単勝オッズ2.8倍(1番人気)のソウルラッシュが3着に食い込み、3連単の配当は5800円にとどまっています。

伊吹 2024年に3連単54万2050円の高額配当が飛び出したばかりではあるものの、過去10回のうち6回、過去7回のうち5回は3連単の配当が3万円未満。堅く収まりがちなレースと見ておいた方が良いかもしれません。

M 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、1番人気馬の3着内率は4割で、少々物足りない水準です。

伊吹 ただし、単勝9番人気以下の馬も2016年以降[0-1-0-47](3着内率2.1%)とほとんど上位に食い込めていない状況。ちなみに、単勝2番人気から単勝8番人気の馬は2016年以降[7-9-9-45](3着内率35.7%)でした。人気の中心となっている馬の信頼度はそれほど高くありませんが、超人気薄の馬が高額配当決着を演出した例も少ないので、手を広げ過ぎてしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M そんな中山記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、チェルヴィニアです。

伊吹 話の流れ的にも興味深いところを挙げてきましたね。単勝1番人気となるかどうかは微妙なところですが、おそらく上位人気グループの一角を占めることになるはず。

M チェルヴィニアは3歳時にオークスと秋華賞を制したGI2勝馬。もっとも、秋華賞の後は優勝例がなく、馬券に絡んだのも昨年のしらさぎS(2着)のみとなっています。明らかに実績上位である一方、近走成績に物足りなさを感じている方も多いはず。評価が割れる一頭かもしれません。

伊吹 さらに言えば、中山のレースを使うのも今回が初めて。コース替わりがプラスに働くかマイナスに働くか読みづらい点も大きな悩みどころと言えるでしょう。こうした状況や、それでもAiエスケープが有力と見ていることを踏まえたうえで、私はレースの傾向からチェルヴィニアの信頼度を見積もっていきたいと思います。

M 最大のポイントはどのあたりですか?

伊吹 2021年以降の中山記念は、父か母の父にキングカメハメハ系種牡馬を持つ馬と、前走好走馬が優勢。父も母の父もキングカメハメハ系種牡馬でない、かつ前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.4秒以上だった馬は、あまり上位に食い込めていません。

M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 今年も、この条件に引っ掛かっている馬は思い切って評価を下げるべきでしょう。

M チェルヴィニアは前走の着順が10着で、前走の1位入線馬とのタイム差が0.9秒。しかし、母の父がキングカメハメハですから、巻き返しを警戒しておきたいところです。

伊吹 あとは馬齢も素直に評価した方が良さそう。同じく2021年以降の3着以内馬15頭中11頭は5歳以下でした。

M 6歳以上の馬はあまり強調できませんね。

伊吹 ちなみに、馬齢が6歳以上、かつ“前年以降の、JRAの、出走頭数が17頭以上の、重賞のレース”において3着以内となった経験がない馬は2021年以降[0-0-0-32](3着内率0.0%)と3着以内なし。多頭数の重賞で好走した実績のある馬でない限り、高齢馬は疑ってかかるべきだと思います。

M チェルヴィニアは5歳馬。こちらの傾向も強調材料のひとつと見て良いでしょう。

伊吹 さらに、同じく2021年以降の3着以内馬15頭中13頭は、前走のコースが国内、かつ前走の4コーナー通過順が7番手以内でした。

M 先行力の低い馬は割り引きが必要ですね。

伊吹 おっしゃる通り。各馬の脚質をしっかりチェックしておくべきだと思います。

M チェルヴィニアは前走の4コーナー通過順が12番手。残念ながらこの条件はクリアできていません。

伊吹 もっとも、その前走はマイルCS。強力なメンバー構成だったうえ、この馬にとってはやや距離の短いレースでしたから、大きく評価を下げる必要はないでしょう。どちらかと言えば不安要素の少ない馬なので、私は比較的重いシルシを打つつもりでした。Aiエスケープも狙い目と見ているのであれば心強い限り。ある程度は素直に信頼して良さそうです。