ミラノ・コルティナ五輪では、スノーボードが空前の日本選手団メダルラッシュの起爆剤になった。24個のメダル獲得のうち、ス…
ミラノ・コルティナ五輪では、スノーボードが空前の日本選手団メダルラッシュの起爆剤になった。24個のメダル獲得のうち、スノーボードだけで4割近い計9個。ビッグエア(BA)は男子の木村葵来(きら、21)=ムラサキスポーツ=、女子の村瀬心椛(ここも、21)=TOKIOインカラミ=の金メダルで勢いづき、過去最多の金4個を含め、競技の国別ランキングでも米国を抑えて1位。スピード種目では苦しんだが、BA、スロープスタイル(SS)、ハーフパイプ(HP)のフリースタイル種目は大躍進し“新お家芸”となった。
まさに突然変異級の強さを見せつけた。一番の要因は選手の“アスリート化”だ。男子HP金の戸塚優斗(24)=ヨネックス=を指導する青木亮コーチ(38)が言う。「僕らの時代は大人になって始める人もいたし、そもそも“コーチ”というものが存在しなかった。教わるって何を? という感覚で。(技は)自分で想像し、やっている人をマネしてできるようになる。それがスノーボードや横乗りのカルチャーだった」。今は違う。戸塚は小学3年からヨネックスのジュニア育成合宿に参加し、青木氏の指導を受けてきた。他競技と同じく幼少時から細かい技術を学び、基礎力を確立した世代が飛躍した。
もう一つは特性。女子SS金の深田茉莉(19)=ヤマゼン=について、13歳から指導する佐藤康弘コーチ(51)は勝因を「とんでもない練習量」と言い切った。自主練習を含めれば、ほぼ毎日朝7時頃から夕方まで滑り込んできたという。日本人は“極める”のが得意といわれ、夏場に埼玉や山梨など全国に練習施設が充実したことで、その努力が可能になった。また、埼玉の施設には多くのトップ選手が集結し、戸塚は「(仲間に)プッシュされる」と相乗効果で新技習得のスパンが短くなっていることも大きい。
若手には、北京五輪金など男子HPで3大会連続メダルの平野歩夢(27)=TOKIOインカラミ=を見て五輪に夢を描いた選手も多い。今大会の日本勢の活躍により、次世代のメダリストが誕生する可能性もある。(宮下 京香)