NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン2 第6節2026…
NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン2 第6節
2026年2月22日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 39-14 日野レッドドルフィンズ
本能と知性の交差点。クレバーなフィニッシャーへの進化
NECグリーンロケッツ東葛の尾又寛汰選手。「自分がボールを持っているプレーなんて、80分のうちで1分とか2分ぐらいしかない。そうなると‥‥」
日野レッドドルフィンズのラインアウトの乱れから生まれた、ほんの一瞬のスキ。尾又寛汰は、そのわずかな綻びを見逃さなかった。ルーズボールを拾うと、瞬時の判断で密集を鋭く切り裂き、鮮やかにトライを決めてみせた。
「最初、外に放ろうかなと思ったんですけど、(スペースが)見えたので、行ってみようと思いました。相手のディフェンスはいたけど、ラインアウトが乱れてアンストラクチャーな状況になっていた。そこをうまく突けたかなという感じです」
いまの尾又は「外で待っているだけじゃなくて、どんどん中に入っていって、ボールタッチを増やしていかなければならない」という明確な意識を持つ。それは若いころとは大きく異なる、自身のマインドの変化でもある。
「昔だったら、チームが勝っても自分がトライを決めていなかったらうれしくないという気持ちもありました。でも、プロになってラグビーを深く考えるようになって、それだけじゃないな、と。以前はスーパープレー集しか見ていなかったけど、いまは試合を見て、どうやったらボールが回るのか、どういう戦略でやっているのかを見るようになりました」
大外に開き、パスを受けたあとはスピードと軽やかなステップで相手のタックルをかわし、鮮やかな突破からトライを奪う。それはウイングというポジションの醍醐味だ。だが、ラグビーはそれだけで完結する競技ではない。
「自分がボールを持っているプレーなんて、80分のうちで1分とか2分ぐらいしかない。そうなると、いかに他のプレー、ディフェンスやキックチェイスでチームのために活躍できるか。自分がトライを取らなくても、自分がこう動いたから味方を生かせるスペースが空いたんだ、とか。そうやってラグビーを見られるようになったことは、成長した部分かなと思っています」
こうしたマインドの変化について、尾又は「ラグビーIQが上がった実感はある」とも語る。雨の日、あるいは強風の日など、コンディションが厳しい試合ではウイングにボールが回りづらいこともある。それを踏まえ、「あいつはボールを持ったらすごいけどほかのプレーはダメだ、という選手では試合に出られないですからね」と笑みを浮かべた。
それでも、尾又の本質がアグレッシブなランにあることは間違いない。重要なのは、そのバランスだ。
「トライを取りたいという気持ちは、忘れることができないというより、もともとそういう性格です(笑)。そこを持ちつつ、バランスをうまく取れるようになったとは思います」
彼の言う「性格」であり本質でもある「トライを決めたい」という思いと、ラグビーの世界で生き残るために培ってきた思考。その二つが交差したのが、ルーズボールを拾った前半15分のあの瞬間だった。バランスを欠いた相手ディフェンスを見極め、一気に駆け抜けたトライのシーンは、まさに双方がかみ合った場面と言える。
相手のスキを逃さず、状況に応じて最善の選択を取る。尾又は、クレバーなフィニッシャーへと進化していることを、確かに印象付けた。
(鈴木潤)
NECグリーンロケッツ東葛
NECグリーンロケッツ東葛のグレッグ・クーパー ヘッドコーチ(右)、ローリー・アーノルド キャプテン
NECグリーンロケッツ東葛
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ
「まず、再びホストゲームを開催でき、素晴らしい観客のみなさんの前でプレーできたことを非常にうれしく思っています。間違いなく選手たちの力にもなったと思います。本日のチームのパフォーマンスをとても誇りに思っています。あまりプレーしやすいコンディションではありませんでしたが、最初の50分間は特に重要な局面だと考えていました。ディビジョン2の中でも日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)さんはドライビングモールが非常に得意なチームなので、そこにはしっかりとリスペクトを払っていました。そのぶん、こちらが規律をしっかり守らなければいけないと感じていましたが、実際にその50分間は規律正しくプレーできたと思います。
後半にペナルティが少し出てしまったので、最後の30分はやや勢いが失速したと感じました。ただ、1カ月試合がなかった中でトレーニングを続けてきて、その1カ月明けの試合としてはしっかりとしたパフォーマンスができたと思っていますし、来週土曜日のビッグゲームにつなげることができたと思っています。成長を止めないためにも、まずはしっかりリカバリーをしてトレーニングを行い、土曜日の準備に向かっていきます」
──前半、相手の規律が乱れたところで、選手たちの良い判断と良い突破がトライにつながりました。その評価はいかがですか。
「まさにそのとおりだと思います。試合は、私たちがどれだけプレッシャーを掛けられるかにかかっていると思っています。キックでプレッシャーを掛ける、ブレイクダウンでプレッシャーを掛ける、そしてディフェンスからアタックにトランジションした際にさらにプレッシャーを掛ける。そうした点がしっかり機能したと思っています。おっしゃったことはまさに正しい見解で、選手たちは良いパフォーマンスをしてくれたと思います」
NECグリーンロケッツ東葛
ローリー・アーノルド キャプテン
「ホストゲームでファンのみなさんの前でプレーできることを非常にうれしく思っていますし、今週もしっかりサポートしていただいたことに感謝しています。試合に関しては、良い結果を出せたことにとても満足しています。特に最初の40分で相手にプレッシャーを掛けることができたと思っています。キックやラインアウトへのプレッシャーをとおして、自分たちの流れを作ることができました。そこを基盤にして、これからの数週間でさらに成長していくことを楽しみにしています」
──古巣との対戦となりましたが、特別な感情はありましたか。
「特別な感情はそれほどありませんでした。もちろん日野RDでプレーしていたので古巣との対戦にはなりましたが、プロフェッショナルとしてラグビーをしていると、以前一緒にプレーしていた選手と対戦することは珍しくなく、慣れている部分もあります。ただ、古巣に対してしっかり自分の結果を出したいというモメンタムはありましたので、それを結果につなげることができてうれしく思っています」
日野レッドドルフィンズ
日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(右)、中鹿駿キャプテン
日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ
「まだ今季の勝利はありませんが、この試合に向けて自分たちがやるべきことを明確にし、今日は力を出し切ることだけにフォーカスしていました。まだ力を出し切れる場面もあったと思いますので、次はショートウィークになりますが、自分たちのラグビーができるように、一つひとつ目の前のことにしっかり集中し、やるべきことをクリアにして、それをやり切っていきたいと思っています。本日はありがとうございました」
──後半に拮抗した戦いに持ち込んだからこそ、前半の内容が悔やまれると思います。風下の難しさはありましたか。
「そうですね。後半のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)さんも同じだと思いますが、ピンチのときにボールを取り返してチャンスに変えようとしても、キックが風の影響を受けてうまくいかない場面があったと思います。そういう中で、われわれは前半、粘れていた場面もあったのですが、うまく脱出することができず、そのままGR東葛さんにチャンスをモノにされ、そこで差が出たと思います。
ただ、後半は相手も同じ状況でしたので、ハーフタイムにはチャンスボールが来る、そしてそれを我慢強く攻めていけばチャンスは生まれるということを確認して臨みました。後半に関しては、もう1トライ、2トライと取れる場面もあったので、そこは自分たちの自信にしていきたいと思います。後半のディフェンスではGR東葛を1トライに抑え、自分たちのディフェンスを体現できた場面もありましたので、その時間を少しずつ増やしていき、自分たちが自信を取り戻し、その瞬間で全力のプレーができるよう取り組んでいきたいと思います」
日野レッドドルフィンズ
中鹿駿キャプテン
「今日、このような会場で試合ができたことを本当にうれしく思います。前半にGR東葛さんのフィジカルを受けてしまい、最初に勢いに乗り切れなかったことが敗因の一つだと思っています。ショートウィークで次の試合まで時間がないので、しっかり切り替えて、自分たちにできることは練習で課題を克服することだと思います。来週から1日も無駄にすることなく、次に向けて準備を進めていきたいと思います」
──前半のトライの取られ方が、虚を突かれた形になりました。あの場面のチームのディフェンスでは何が起こっていましたか。
「虚を突かれたというよりは、その過程で相手のキャリーにゲインを切られ、立ち遅れたことでトライを取られた形です。まず前に入って相手にゲインさせないことが今回のフォーカスポイントでもあったのですが、試合の入りのところでそれを受けてしまい、GR東葛の一つひとつのキャリーで前に出られてしまったことが、前半のトライにつながったと思います。ハーフタイムで、しっかり前に入って止めようという点を全員で確認し、後半はしっかりディフェンスができる場面もありました。最初の入りができなかったことが大きかったと思います」