3月…
3月に行われる「FIBA女子ワールドカップ予選」に向けて合宿中の女子日本代表。昨年からコーリー・ゲインズヘッドコーチが指揮を執り、昨夏のFIBA女子アジアカップでは準優勝という結果を残したが、そのアジアカップに続いて今回も代表活動に参加しているのが渡嘉敷来夢(アイシンウィングス)だ。
渡嘉敷にとってもゲインズ体制2年目。指揮官の求めるプレーや自身の役割については昨年以上に理解しているのではないだろうか。そう問われた渡嘉敷は、エピソードを交えてこのように語った。
「(合宿の冒頭に)みんなが自分のロール(役割)を言うときがあったのですが、自分は『日本にない高さでチームに貢献します』と言ったら、『ほかは?』と聞かれたので、咄嗟に『エナジー!』って大きい声で言ったんです。それからみんながエナジーでいじってくるんですけど(笑)。でも、『積極的にリングにアタックすることは続けてほしい。そこだよ、言ってほしいのは』と(ヘッドコーチから)言われたので、プレーでもエナジーを与えられるようにというのは、より求められていることだと思うので頑張りたいです」
今年34歳の渡嘉敷は、192センチのパワーフォワード。言わずと知れた日本が誇る大型選手で、高校時代から数々の輝かしい実績を残してきた。だが、オリンピックでいえば、2016年のリオデジャネイロ大会に出場して以降は、東京大会では膝のケガの影響もあって代表活動を途中で離脱。パリ大会では、代表候補選手に名を連ねることもできなかった。そのため、渡嘉敷自身も日本代表への思いは強く、「久しぶりの日本代表で(昨年は)アジアカップ。そして今年はワールドカップがあるというのは本当にめちゃくちゃ楽しみですし、絶対に日本代表から外れたくないって常に思って今は過ごしています」という。
だが、そんな渡嘉敷が今回の代表活動に際しては、「辞退しようか」と悩んだという。というのも、ワールドカップ予選のメンバーに入って同大会を戦うと、開催地であるトルコから帰国後すぐに所属のアイシンが出場するWリーグの入替戦を戦わないといけないからだ。
「どんな理由があっても必要とされているところで頑張りたいので、(日本代表に関して)自分からは辞退はしたくないと思っています。でも正直、今回は本当に悩みました」と、渡嘉敷。だが、ゲインズHCから「(チームに)いてほしいし、タク(渡嘉敷)はどっちもできると言ってくれて、自分の可能性を信じてくれた」と、背中を押されたことが大きく、「選手としては必要とされている場所で全力でやるべきだし、必要とされているうちが花だと思うので、この選択をしました」と、代表参加を決意した。
今年は直近に迫ったワールドカップ予選、そして予選を突破すれば9月にはドイツで開催されるワールドカップ本番と世界大会が控える。
「ワールドカップにもちろん行きたいですし、ワールドカップ予選でも世界の選手と対戦できることは、若い頃の(ワクワクした)気持ちがまた蘇ってきている感じがあります。この年になって、何年も日本代表にいるとそういう気持ちって少なからず薄れるときがあると思うんですけど、自分は選ばれなかったときがあった分、なんか(楽しみが)強いですね。あとは井上(眞一)先生から『絶対にロサンゼルス(オリンピック)に行け』って最後に伝えられているので、それがあるから踏ん張れます」と、渡嘉敷は日本代表への思いと一昨年末に亡くなった桜花学園高校時代の恩師である井上氏とのエピソードも語った。
日本代表としての責任と同時に、アイシンのエースとしての責任も背負う。だが、「やっぱり降格させられないじゃないですか。帰国して24時間あるかないかで(入替戦の)試合なんです。すごいハードで、酷だなと思うけど、入替戦になった自分たちも悪い。それに、これでどっちもできたら『自分かっこよくない?』みたいな。まだまだ現役やん、て。そういうのが今一番のモチベーションになっています」と、渡嘉敷節は健在だ。
今シーズンはWリーグが外国籍のルール改定により、世界各国から大型選手が日本に渡ってきた。
「外国籍の選手同士がマッチアップすることが多いと思うのですが、アイシンはチーム内に外国籍選手がいても、基本は相手の外国籍選手に対しては自分がマッチアップすることが多かったので、そういった面では今シーズンは一番体を張っていたなと感じていますし、自信にもなっています」と、渡嘉敷にとってもプラスは大きかった。また、そうした経験を日本代表に生かしたいとも意気込んだ。
ワールドカップの出場権とWリーグプレミア残留。「どっちも手に入れます!」
力強く宣言した渡嘉敷は、『エナジー』全開で目の前の戦いに挑んでいく。
文=田島早苗