PGAツアー「ザ・ジェネシス招待」の練習日、ザンダー・シャウフェレがツアーレップに声をかけた。「僕のクラブはパスしたの…
PGAツアー「ザ・ジェネシス招待」の練習日、ザンダー・シャウフェレがツアーレップに声をかけた。「僕のクラブはパスしたの?」。レップは「ああパスしたよ」と返した。このやり取りの意味がわからなかったので、レップに「何がパスしたの?」と尋ねると「ドライバー検査があって、その検査に通ったということですよ」と教えてくれた。
試合でプロが使うクラブやボールは、ルールに適合しているかどうかUSGAの検査を受けて、承認されたモデルのみがプロの手に渡る。その上でさらにクラブテストがあるらしく、一体なんのテストなのかを調べてみた。PGAツアーのルール委員を務めるケン・タケット氏は「今週は1番ホール横にある小屋の中で行っています。ドライバーの反発係数と長さの検査です」と言って、その場所に連れて行ってくれた。
看板も何もない“テストセンター”に入ると、どこかで見かけたことがある振り子型の反発係数計測器があった。一人のUSGA職員が検査を担当していたので、写真撮影の許可を得ようとすると「計測器は撮影できません。長さを測る物差しは大丈夫です」と言い、ドライバーの長さの限界値(46インチ)を測る46.2インチの木枠だけ撮影できた。長すぎるドライバーを持つ選手は少ないが、たまにグリップの装着状況などで木枠に入りきらないものも見つかるとか。
問題は反発係数検査だ。選手が持つドライバーの中からルール委員がランダムに選択したものを試合会場内で調べる。検査対象の人数は、同職員によると「1試合でフィールドの約半数の選手のドライバーを検査します。今週なら出場約70人なので35人ぐらい、フィールドが150人なら75人が目標」とのこと。「個人名は明かせませんが、5%前後の選手に違反が見つかります。テストはメジャーやフルフィールドの試合を含めて年間8~10試合、違反が見つかった選手が対応できるように月曜か火曜に実施します」という。
ここで注意したいのは、違反になる約5%という数字。100人いたら5人ほどぐらいの選手に相当するが、意図的に反発係数の大きいクラブを使用しているわけではない。数年前、小平智プロが教えてくれたことを思い出した。
「僕でも年に1回ぐらいドライバーが割れる。パワーヒッターなら数カ月で割れるでしょう。最近のフェースは薄く作られているから、同じポイントでインパクトしていると金属疲労で破れてしまう。そして破れる直前になると反発係数が高まって飛距離が出るという現象が起こるんです。その時点では違反の数値になっているかもしれませんね」
ツアー関係者によれば、検査の目的も違反者を見つけることではなく、あくまで公平な試合環境を担保することにある。そのおかげと言うべきか、選手も破損直前のクラブを取り替えることができるというわけだ。ドライバーが破損するアマチュアゴルファーは少ないが、ほぼ同じインパクトエリアで毎週何百球も、かなりのヘッドスピードでヒットするプロの世界は別次元の基準で動いているようだ。(JJ田辺カメラマン)