地元・沖縄で指導者として活躍…巨人育成ルーキー・知念大成の兄・大河さん 沖縄の子どもたちが秘めるポテンシャルは想像以上に…
地元・沖縄で指導者として活躍…巨人育成ルーキー・知念大成の兄・大河さん
沖縄の子どもたちが秘めるポテンシャルは想像以上に高い――。そう語るのは、沖縄県の「琉球アスリートベースボールアカデミー」で指導者として活躍する知念大河さんだ。巨人の育成ドラフト5位ルーキー・知念大成外野手の実兄で、自身も社会人野球までプレーした。全国に通用する選手育成を目指す知念さんは、「沖縄にはトッププレーヤーになれる土壌がある」と強調した。
なぜ、沖縄の子どもたちの身体能力は高いのか。知念さんは独特の生活環境と“遊び”にあると分析する。「“田舎あるある”ですが、都会にはない遊びが多い。海で泳いだり、家の外を裸足で走り回ったり。僕の地元ではロープに繋がった船を引くことも。何気ない日常のなかに体を鍛える、運動神経を高める要素が多い」。温暖な気候と、島特有の“遊び”は今でも変わらないという。
中でも興味深いのが、沖縄県民の必須アイテム「島ぞうり」や「ギョサン(漁業用サンダル)」の効果だ。「靴底が平らで、地面を足の指で噛むようにして歩かないとすぐに脱げてしまう。無意識のうちに足裏の感覚や、指先の把持力が鍛えられているのかもしれません」。
こうした環境で育まれた土台が、子どもたちのポテンシャルを高める源泉の一つ。足の裏で地面を掴む感覚が鍛えられることで、着地する瞬間に生まれる“地面反力”を生かすことが可能になり、様々なプレーにおいて力を発揮できるという。
何度もドラフト指名漏れ…弟・大成は「プロになるために変化を恐れなかった」
しかし、身体能力だけでプロ入りできるほど甘い世界ではない。知念さんは弟の姿を通じて、その厳しさを痛感している。沖縄尚学時代からプロ注目選手だったが、社会人の「沖縄電力」、2024年に入団した「オイシックス」でドラフト指名漏れを経験した。
同年にイースタン・リーグに参入したオイシックスの中心打者として首位打者を獲得したが、指名されなかった。「そこで、長打を増やす打撃スタイルに挑戦した。プロになるために変化を恐れなかった」。同年の本塁打数は4本だったが、2025年シーズンは9本に激増。誰も真似できない努力をして長打力を磨いた結果、プロへの扉が開かれた。
昨年末に帰省した弟と野球の話をした際、変化に驚愕したという。「2軍とはいえプロの世界で揉まれ、技術論や考え方の次元が全く違っていた。自分が知っている弟じゃなかった」。トップレベルの理論に触れ、知念さんの指導者としての知見もアップデートされた。プロの高度な技術をそのまま教えるのではなく、子どもたちに分かる言葉に“かみ砕いて”伝える。それが自分の役目だと感じている。
「10、20年前に比べ沖縄にも野球指導者が増えてきました。子どもたちも簡単に情報を知ることができますし、学べる選択肢が増えたことは非常にいいことだと思います。今後、全国で活躍できる選手がもっと出てきてほしい」
野球を始めたばかりの子にまずは「楽しさ」を。そして、上のカテゴリーを目指す選手には「技術」と「思考」を伝えていく。知念さんは故郷への恩返しとして、次世代のスター育成に情熱を注いでいる。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)