終幕が近づいても、感傷には浸らない。調教師転身のため、28日で騎手を引退する藤岡佑介騎手=栗東・フリー=。「案外『もう…
終幕が近づいても、感傷には浸らない。調教師転身のため、28日で騎手を引退する藤岡佑介騎手=栗東・フリー=。「案外『もうあと何日や』みたいなのはない」。特別な心境の変化がないのは、常に感謝の思いがあったからだ。13年のフランス遠征をきっかけに、注目度や賞金などの面から、JRAの恵まれた環境に気付いた。「改めてJRAのジョッキーでいられることのありがたみを感じて、ここ10年以上はやってきた」と明かす。
JRA通算1109勝(23日現在)を挙げたが「よくこんなに勝てたなって思います。正直、自分でうまいと思ったこともないですし」と、冷静に自己分析する。騎手が他のアスリートと違うのは、人間の技術に加え、馬の能力も関わるところ。「陸上競技だったら、武豊さんは(ウサイン)ボルトみたいなもん。100回走ったら、100%100回負けるけど、馬が走ってくれるから当然、豊さんに勝つこともある。それがやっぱりいいところ」。そう語る笑みには、“騎手が好き”という本心があふれる。
調教師としては、馬はもちろん「人を育てたい」という後進育成への夢も持つ。「『まじでジョッキーのとき良かったな』って言いながら(調教師を)辞めていくおっさんになりたくない(笑)。『調教師も良かったな』って言って辞めたい」。15日の京都記念を制し、先週は小倉大賞典で2着に入るなど、存在感は健在。最後まで騎手を全うして、ホースマンとしての新しいステージに進む。(水納 愛美)