銅メダル3個には「健闘」「惨敗」の両方の感情がある。日本連盟が設定した「複数の金を含むメダル5個」に届かず、男子は0。個…
銅メダル3個には「健闘」「惨敗」の両方の感情がある。日本連盟が設定した「複数の金を含むメダル5個」に届かず、男子は0。個人的に気持ちが入る500メートルは特に悔しかった。ただ森重航は10位でもよくやった。エースとして背負うものが大きく負担だったと思う。レース後は「短距離の強さを示せずすみません」と言われた。4年後に金を取る糧にしてほしい。
高木美帆も不完全燃焼感はあった。それでもメダルはすべて高木に絡むもの。彼女がいなければ14年ソチと同じメダル0だった。高木に頼りっぱなしだったと露呈した。今回の五輪はターニングポイントになる。今のままでは12年前と同じ時代を繰り返してしまう。
世代交代は不可欠だ。今回は高木らベテラン勢がトップで、女子500メートルの吉田雪乃ら若手が台頭。一方で中間層が少ない。高木くらい苦労しても取れない金メダルがあると若手は間近で見られた。来年以降は気持ちも入れ替わり、結果も変わるのではないか。
強化体制も変革が必要になる。選手が戦う環境を整える余地はあると思う。今回のメダル候補だった高木、吉田、森重は日本連盟主導のナショナルチーム(NT)に所属していない。高木は専属コーチが五輪期間中も同行したが、他選手は普段指導を受けているコーチは同行できず、臨時コーチがついた。選手の心理的に戦う体制が整っていたか疑問だ。自分も94年リレハンメル大会はコーチ不在で戦い、結果を出せなかった。戦う前から心が敗れている感覚だった。ソチ後にNTが結成されて、18年平昌はメダル6個、22年北京は5個と結果が出た。今回はNTと個別チームが分かれて“ワンチーム”とは言えなかった。連盟も選手のために資金面を手厚くしているが、選手が抜けている現状がある。互いの気持ちがバラバラで垣根を感じた。
今後は選手主導で体制を話し合う必要があるのではないか。常に一緒に活動しなくても、男女混合で定期的な練習をすることも必要。オランダは金5個を含む13個のメダルを獲得したが、女子500メートル金のコクは男子とスピード練習を定期的に行っていて準備の差は明らか。男女、チームの垣根を越え、全員で集まる体制をもう一度見直すべき。
4年後に期待したいのは佐々木翔夢。マススタートでもいい滑りを見せて、500メートルでも戦える素質を感じさせた。若手の活躍で、再びいい時代に入る可能性も十分ある。(長野五輪男子500メートル金メダリスト)