NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第9節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2026年2月21日(土)14:30 神戸総合運動公園ユニバー記念競技場 (兵庫県)
コベルコ神戸スティーラーズ 40-24 埼玉パナソニックワイルドナイツ

全員でフォア・ザ・チーム。その象徴の一人が金髪の29歳


コベルコ神戸スティーラーズの今村陽良(いまむらたから)選手。「数年前まではあまりなかったような、メンバーとメンバー外の一体感が今季は強いと思いますね」

冬の快晴下、フィールドでひと際、輝いた男がいた。今季、ヘアカラーを金髪に一新した今村陽良だ。「昨季にもちょくちょくはやっていたんですけど、今季は思い切って。良くも悪くも目立っちゃうので、いいプレーで目立てるように」。屈託なく笑った今村はこの日、出色のパフォーマンスを披露した。

19対19で迎えた後半頭から出場。気迫のタックルやブレイクダウンなどで体を張った。40対24の完勝。トップリーグおよびリーグワンでチーム初の8連勝を飾る立役者の一人だった。

今季4試合目の出場だったが、いずれもリザーブ。出場機会は限られてきた。ただ、「出られないときに『なんで?』ってあまり思わなくなったんです」と今村は言う。「今までなら浮き沈みがあったんですけど、出られなくても次に向けての準備に取り組めるようになっています」とメンタル面の変化を感じている。

自身と入れ替わるようにリザーブに選ばれることの多い小瀧尚弘や本橋拓馬。その実力を素直に認める今村は、互いに切磋琢磨しながら、サポートし合う好循環が生まれているという。それは彼らに限らず、チーム全体にも当てはまる。今村は感じていることをこう語ってくれた。

「試合に出ていない選手からちゃんと認められているプレーヤーが試合に出ているのもあると思いますし、試合メンバーがしっかりと努力しているのもあります。だからなのか、選ばれていないメンバーも『メンバーのためにやろう』という気持ちが今季はすごく強いんだと思います。数年前まではあまりなかったような、メンバーとメンバー外の一体感が今季は強いと思いますね」

昨季、秩父宮ラグビー場で開催されたプレーオフトーナメント3位決定戦で埼玉パナソニックワイルドナイツから約22年ぶりに勝利したコベルコ神戸スティーラーズ。今節の勝利もまた、リーグ戦ではトップリーグ2003-2004シーズン第8節の地元開催以来のこと。3位決定戦はメンバー外だった今村にとって「入団7年目で初めて勝った」と感慨は小さくない。ただ、胸の内の多くを占有したのは、それ以前にプレーヤーがもつ根源的な感覚だった。

「僕自身は久しぶりのゲーム。しっかり勝てたのが良かったですね」

先発も、リザーブも、メンバー外も、全員でフォア・ザ・チーム。それを象徴したのがこの日の今村だ。チームの勝利に貢献できた喜びが、29歳の心を満たしていた。

(小野慶太)

コベルコ神戸スティーラーズ


コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ(左)、李承信 共同キャプテン

コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ディレクターオブラグビー/ヘッドコーチ

「埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)さんは本当に素晴らしいチームですので、まずは今日の結果に関してはハッピーです。私たちもさらにレベルアップしたパフォーマンスを見せなければならないと考えていましたし、前半はボールをしっかり保持しながら良いプレーができた時間帯も多く、ディフェンスでも良い時間がありました。一方で、キックやインターセプトからトライを許した場面もありました。

後半は冷静に落ち着いてプレーすることができました。特に後半のスタートから15分間で3トライを奪い、そこで試合を決めることができたかなと思います。ディフェンスのセットからターンオーバーアタックに変えられた時間帯も多く、プレッシャーを掛けられた場面でも、自分たちのモメンタム(勢い)を取り返す動きができていたと思います。今季を戦っていく上で、この流れを維持していくためにも、今日の勝利はチームにとって非常に重要なものだったと感じています」

──後半の3トライで試合を決められたとのことですが、ハーフタイムにはどのような指示をされたのでしょうか。

「ハーフタイムには、『自分たちはボールをしっかり持っていると、良い結果に終えることができている』という話をしました。前半は22m内に4回進入し、3トライを挙げ、もう1回もペナルティを得ることができていました。インテンシティーをしっかり上げて、正しいエリアでプレーできれば絶対に自分たちの結果につながるという話をしました。また、前半終了時点の数字を見ても、ポゼッションやテリトリー、ゲインライン、どれだけ速いテンポでボールをさばけているかはいずれも良い数字でした。自分たちが取り組んでいることを信じ、後半40分もチームメートのためにハードワークを続け、やるべきことを徹底すれば必ず機能する。それを信じて戦い続けようと伝えました」

コベルコ神戸スティーラーズ
李承信 共同キャプテン

「自分たちは7連勝、埼玉WKさんも8連勝と、互いに勢いと自信をもつチーム同士の対戦でした。その中で、『さらに強いスティーラーズを証明しよう』というマインドセットで挑みました。前半は、ディフェンスを崩されてトライを許したというよりも、一瞬のアンストラクチャーやこぼれ球から失点した形でしたので、試合中に自信を失うことはありませんでした。22m内に進入した場面では、ペナルティ(の獲得)や自分たちのスコアで終えることができていました。自分たちのシステムを一人ひとりが遂行し続けたことが、後半の3トライにつながったのだと思います。今日の勝利は、チーム一人ひとりの自信を一段と高めるものになりました。来週も最高の形で締めくくれるよう、さらに良い準備をして挑みたいと思います」

──埼玉WKのヘッドコーチや選手はコンタクトエリアでコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)が上回ったと話していましたが、そのバトルについて意識したことや評価をお願いします。

「ディフェンスでは、これまで取り組んできたシステムを選手一人ひとりがしっかり遂行してくれました。ダブルタックルやブレイクダウンでのプレッシャーを徹底し、相手に対してしっかりプレッシャーを掛けられていたと思います。前半のアタックのところに関しては、相手には優れたジャッカラー(スティールする選手)が何人もいる中で、逆にプレッシャーを受けたかなと思います。ただ後半は、ラック周りのスペースや、コンテストキックからのアンストラクチャーな状況でボールを素早くつなぎ、クイックにボールを動かすラグビーにアジャストできていました。アタック、ディフェンスの両面でゲームにアジャストし、スコアにも表れているように相手にダメージを与えられたかなと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ


埼玉パナソニックワイルドナイツの金沢篤ヘッドコーチ(左)、坂手淳史キャプテン

埼玉パナソニックワイルドナイツ
金沢篤ヘッドコーチ

「神戸Sさんのパフォーマンスが非常に素晴らしかったと思います。特にコンタクトエリアやブレイクダウンのところでは、私たち埼玉WKも粘り強く戦っていましたが、神戸Sさんがいいプレッシャーを掛け続けてきたことが最も印象に残っています。神戸Sさんはいいフィニッシュをした一方で、私たちはそこで(得点)できなかったことがこういう点差につながったのではないかと感じています。シーズンはまだ途中ですので、ここからしっかりと修正し、次に向かっていきたいと思います」

──今季の神戸Sの良さはどのあたりに感じていますか。

「一番はコンタクトエリアでの勢いだと思います。共同キャプテンの(ブロディ・)レタリックをはじめ、何人か優れたボールキャリアーがそろっており、そこから大きな推進力を生み出しています。その勢いを止め切れなければ、対戦相手にとっては非常に難しい展開になります。本日は私たちがその立場でした。規律の面でも、プレッシャーを掛け続けてきますし、そこが今季の神戸Sさんらしいところだと思います」

埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン

「素晴らしい雰囲気の中でラグビーができたことをうれしく思います。私自身、関西出身で、関西でゲームができるのはなかなかリーグワンでは少ないチャンスですし、その中でプレーできたことはとてもうれしかったです。ゲームの内容についてはとても残念な気持ちです。自分たちがやってきた、練習してきたことが発揮できず、逆に神戸Sさんのプレッシャーを受け続けた結果が、この80分間の内容につながったと感じています。

ただ、金沢ヘッドコーチが話していたとおり、シーズンはまだ半ばです。自分たちの現在地を知るという意味では大切な時間だったと思います。来週も試合がありますので、ここからさらに課題を突き詰め、少しずつ良くなっていければと思います」

──立ち上がりのディフェンスは機能していた印象ですが、時間が経つにつれて自陣でのペナルティなど、埼玉WKらしくないプレーが見られました。その要因はどのように感じていますか。

「おっしゃられたとおりで、立ち上がりは良いディフェンスができていました。しかし、その中で不要なペナルティを重ねてしまいました。ほとんどが個人的なミスだったと感じています。相手の勢いを止めているにもかかわらず、自分たちのペナルティでまた下がってしまう状況になり、自分たちの首を絞めたと感じています。また、エリアのゲームの中で、多くを自陣でプレーしてしまったと感じますし、そこも含めて反省が必要かなと思います。要因に関しては、レフリーとのコミュニケーションの部分でもありますし、オーソドックスなものからコミュニケーションからたくさんありました。そこは修正していきたいですし、レビューをしながら『それはいらないよ』ということを伝えていきたいと思います」