NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン1 第9節(交流戦…

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2026年2月21日(土)13:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 26-10 三菱重工相模原ダイナボアーズ

数的不利をはね返しての勝利。ギシギシと扉を開いた先に残った別の感情


クボタスピアーズ船橋・東京ベイの押川敦治選手。「完璧ではなかったですが、ある程度は自分の役割を果たせたと思います」

押す方向も引く方向も間違っていない。ただ、建付けの悪いドアをギシギシと開くような、そんな試合だった。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのスタンドオフ、押川敦治はこの日、今季初めて10番を背負った。ゲームの舵取りを託される司令塔。その任務については「これまでは後半をどう締めるかを考える立場でしたが、今日は先発として、ゲームの立ち上がりをどう作り、どう軌道に乗せていくかが一番の仕事」だと語る。

スコアではクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)がリードするも、“えどりく”に乗り込んだ三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)もフィジカルで真っ向から勝負を挑み、戦いを簡単には運ばせてくれない。真価を問われたのは後半16分。S東京ベイはイエローカードで根塚洸雅、ハラトア・ヴァイレアを欠き、数的不利に陥った。このチャンスを逃さず、相模原DBはマット・ヴァエガがトライを決めて、流れを引き寄せる。

ここで、試合の空気を一変させる男が現れた。今季公式戦初出場となったベテランロック、青木祐樹である。トライ後のキックオフから流れを断ち切り、ブレイクダウンでボールを奪取。スタジアムの空気が、一気にスピアーズ側に傾いた。

「あのときは夢中で、13人だということはあまり意識していませんでした。振り返ってみて、『確かに大事な局面だったな』と思いますし、そこでボールを奪えたのは良かったと思います。13人だから何かを変えようというよりも、人数が少ないぶん、誰かが仕事をしようという意識でプレーしていました」(青木)


数的不利の局面で流れを引き寄せたベテランの青木祐樹選手

直後にはオペティ・ヘルがトライゾーンにボールをねじ込み、点差は再び広がった。結果はボーナスポイントを奪っての勝利。S東京ベイにしてみれば、ギシギシしながらもなんとか扉を開け切った一戦。相模原DBからみれば、敗れはしたもののS東京ベイを気持ちよく勝たせなかった試合だった。

押川は「完璧ではなかったですが、ある程度は自分の役割を果たせたと思います。ペナルティが続いたのは想定外でしたが、そこで連続失点を防げた点は良かった」と胸をなでおろした。スピアーズのフラン・ルディケ ヘッドコーチも「相模原DBのラッシュディフェンスに対しては、賢く、我慢強く、正しいコールができる選手が必要でした。その点で、彼は期待どおりの働きをしてくれました」と彼のパフォーマンスを評価した。

だが、ギシギシと音を立てる重い扉の先では、また別の感情が残った。後半24分、26対10という状況で押川はピッチをあとにし、バーナード・フォーリーにバトンを渡した。

「個人的には、ナード(バーナード・フォーリー)がショーン(・スティーブンソン)と代わって、僕が15番に入り、ナードが10番に入るというオプションもあったと思います。そういう中での入替だったので、少し悔しさもありました。ゲームに出続けることは自分にとって一つのチャレンジでもあったので、その点では若干の悔しさは残っています」

チームの成長過程において、ルディケ ヘッドコーチは「泥臭いアームレスリングのような展開でしたが、時にはこういう戦いも必要」と語った。押川が感じたような悔しさこそが、次に扉をこじ開ける原動力になるのかもしれない。

(藤本かずまさ)

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ


クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(右)、マキシ ファウルア キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「私たちにとって非常に重要な結果となりました。今日の試合はハードワークが必要とされる、これまでにない挑戦でした。自分たちの役割をやり遂げ、結束を維持し、忍耐強く居続けるという、われわれへの挑戦でもありました。

三菱重工相模原ダイナボアーズを称えたいと思います。今日、彼らはわれわれに強力なプレッシャーを与えてきました。ですので、この勝利を非常にうれしく思っています。ポジティブな点としては、多くのチャンスを作れたことです。そして、ピッチ上に13人しかいないという非常に重要な局面で、適切なエリアで決定的な瞬間をしっかり得点に結び付けることができました。これはわれわれにとって大きな収穫です。学びとなったのはペナルティです。それによって、私たちは窮地に追い込まれました。そしてあらためて、リーダー陣やキャプテンがチームを一つにまとめ、最終的にうまくいくようにレフリーとコミュニケーションを取ったことを評価します。映像を見返して、しっかり反省し、より正確なプレーができるようにしたいです。

そして最後になりますが、ラピース(ピーター・ラピース・ラブスカフニ)選手が100試合出場を達成したことについてです。彼はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)にとって真の戦士であり、ここ数年は日本ラグビー界全体にも尽力してくれました。私たちにとっても素晴らしい瞬間でした。彼自身、彼のご家族、そしてクラブにとっても誇らしい大きな出来事です」

──イエローカードで根塚洸雅選手、ハラトア・ヴァイレア選手が一時退出となり数的不利になった局面で、具体的にチームとしてどういう意志統一を図ったのでしょうか。

「驚きではありませんでした。試合前から、レフリーがブレイクダウン、特にローリングアウェイ(倒れたあとの退避)に対して高い基準をもっていることは分かっていましたし、われわれもそこに重点を置いていました。しかし、いくつかの場面で彼の基準を満たすことができませんでした。ですが、それがラグビーです。映像を見て学びます。誰のせいにもせず、自分たちの責任として受け止めます。いつも思うのは、これは簡単に修正できることだということです。大きな問題ではありませんが、今日はそれによってプレッシャーを受けてしまいました」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
マキシ ファウルア キャプテン

「本日はスピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)に帰ってきました。『えどりく』で、たくさんのオレンジアーミーの皆さまの前でプレーできることは、毎回本当にうれしく感じています。今日の結果について、非常にタフな試合でしたが、そうした試合で勝つことができた点は、とてもポジティブに捉えています。反省すべき点はたくさんありますし、ヘッドコーチも言ったとおり、しっかりと映像を見てレビューを行い、次の試合に生かしたいと思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ


三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(右)、マット・ヴァエガ選手

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「今日の試合は本当にタフな内容でした。S東京ベイさんのフィジカルは本当に強かったです。ですが、われわれのフィジカルも今日は非常に良かったと思っています。敵陣の22mライン内に入った際に、少しミスが多かった点は否めません。仕方のない部分もありますが、すぐに修正していきたいです。今日も自分たちのスタイル、われわれのDNAをしっかりと見せることができた、本当に良い試合だったと思います」

──ディフェンスは良かった一方、ボール奪取後のミスからの失点については、どうお考えですか。

「彼らのオフロードパスは非常に優れています。オフロードを駆使した戦い方において、S東京ベイは今季のリーグで最高のチームだと思います。それは大きな脅威ですし、彼らは非常にフィジカルも強いので、まずタックルを決め、二人目の選手がオフロードの選択肢をつぶしにいかなければなりません。ですが、それは時に非常に困難です。われわれはそれを遂行するために懸命に努力し、多くの場合で成功していましたが、体格の良い選手が勢いよくボールを持ってきた際、止めるのが非常に難しい場面が何度かありました」

──前節から大幅にメンバーを入れ替え、今日はフレッシュな選手を多く起用されました。前々節・東京サントリーサンゴリアス戦の延期により8連戦という過酷な日程となりますが、選手のコンディション管理や起用について、どのようにお考えでしょうか。

「まさに今後の多くの連戦を見据えてメンバーを変更しました。代表選手たちに関しては、一人あたりの出場試合数をおそらく6試合までに制限するといった管理が必要になりますので、その点も考慮しなければなりません。現在の厚い選手層には非常に満足していますし、多くの選手にチャンスを与えられている現状は、チームにとって非常にポジティブなことだと捉えています。おっしゃるとおり、これからの数週間はグループ全体をうまくマネジメントしながら戦い抜いていく必要があると考えています」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
マット・ヴァエガ選手

「ヘッドコーチが言ったように、22m内へは何度も入れましたが、そこでもっと得点につなげ、チャンスを最大限に生かす必要がありました。ですが、選手たちが見せたDNAは素晴らしかったです。今日の姿勢については一点の疑いもありません」