WBC連覇を目指す侍ジャパンが2月23日、壮行試合のソフトバンク戦(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)に臨んだ。3番手で登…
WBC連覇を目指す侍ジャパンが2月23日、壮行試合のソフトバンク戦(ひなたサンマリンスタジアム宮崎)に臨んだ。3番手で登板した中日・高橋宏斗(23)は4回・5回の2イニングを3者凡退に封じる好投を披露。しかし5回にピッチクロック違反で1ボールが宣告される場面があった。今大会から導入される時間制限ルールへの対応は、WBC本番に向けた侍投手陣の大きなテーマとなっている。
5回に15秒超過でボール宣告
違反が起きたのは5回1死の場面。高橋宏はカウント2―2から6球目を投じる際、ボール交換の要求や捕手・若月とのサイン確認に手間取り、15秒以内に投球動作へ入れなかった。WBCのルールでは、投手は捕手の返球を受けてから無走者時15秒、走者あり18秒以内にモーションに入る必要がある。超過すれば自動的に1ボールが加算される仕組みだ。
カウントはフルカウントに。それでも高橋宏は動じることなく、井上の左中間への飛球を中堅・牧原がダイビングキャッチでアウトにした。4回・5回を通じて6人の打者を3者凡退に封じ、投球内容は上々の仕上がりを見せている。
もともと投球間隔が長い投手として知られる高橋宏。「自分の間合いで投げられるようにしたい」とかねて語っていたが、この新ルールへの適応は本番に向けた明確な課題だ。
打者にも「8秒ルール」の洗礼
時間制限の影響は投手だけにとどまらない。同試合の1回、4番・佐藤輝明(阪神)がチーム初の打者側違反を受けた。1死一、二塁の好機で打席に入った佐藤輝は、残り8秒までに打撃の構えが間に合わず、初球の前に1ストライクが宣告されている。打者は投球間の残り8秒までに構えを完了しなければならないルールで、違反すればストライクが加算される。
不利なカウントから始まった打席は、最終的に空振り三振。前日の第1戦は投打ともに違反ゼロで終えていただけに、2戦目で投手・打者双方に「洗礼」を受けた格好だ。佐藤輝は合宿中から「考えながら準備したい」と語り、打席へ走って向かうなど時間短縮の工夫も見せていた。NPBにはないルールだけに、選手一人ひとりが体に感覚を染みこませる段階にある。
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井端監督「取られてもいい」の真意
3月5日のWBC開幕まで残り10日。井端弘和監督はこの新ルールへの向き合い方について、明確な方針を示している。試合前、選手に「まずは意識せず、取られてもいいぐらいでやってほしい」と伝えた。違反を恐れるあまり投球リズムを崩すことの方が、本番ではリスクになるという判断だ。
「時間ばかりになって、思ったボールが投げられない方が困る」。指揮官のこの言葉通り、高橋宏は違反こそあったが2回を完璧に抑えた。今後は2月27日・28日の中日戦、3月2日・3日のオリックス戦・阪神戦と実戦が続く。本番さながらの環境で投手も打者も時間の感覚をつかむ、残り少ない貴重な機会となる。
前回大会で最年少20歳にして世界一に貢献した高橋宏斗。23歳、エース格として臨む2度目のWBCでは時間との戦いも加わる。連覇の鍵を握る右腕から目が離せない。