馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はネイティヴハートが勝った06年の…

 馬トク報知では今年から過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】がスタート。今回はネイティヴハートが勝った06年のオーシャンSを取り上げる。重賞昇格1年目に「地方の雄」が同一レース3年ぶりの勝利。単勝14番人気、139・5倍の人気薄で、3連単216万馬券の立役者となった。

 とても8歳馬とは思えない。突然すぎる鮮やかな復活だった。最後の直線。中団を進んだネイティヴハートが馬群を縫うように伸びてくる。急坂も関係なく、力強さを増していく末脚で先頭に立ってからも勢いは鈍らない。2着のコパノフウジンを1馬身突き放す完勝だ。

 単勝14番人気で139・5倍の超人気薄。しかし、無理もない。3年前のこのレース以来、18戦も勝ち星なしの8歳馬。前年の2005年は6戦すべて8着以下で、2ケタ着順の惨敗も3度あった。「1頭ずつ抜いたら勝っちゃったという感じ。これだけ見事なレースをしてくれるとは…。馬に感謝です」。当時は大井所属で、人馬ともに中央へ乗り込む形だった内田博はパートナーをたたえた。

 3年前と名称は同じオーシャンS。しかし、この年から重賞に昇格した記念すべき年に、しっかりと名前を刻む勝利だった。「きょうがフロックでないというのを次に見せたい」と内田博。8歳にして、初めてつかんだ重賞タイトルの先には優先出走権を取った高松宮記念が映っていた。

 その言葉通り、続くG1でも存在感を示した。中団からの競馬で直線に向くと、前走と同じように猛然と追い込み、5着に食い込んだ。「2着くらいはあるんじゃないか、というような脚だった。衰えるどころか、馬が良くなっているみたいですね」と内田博は満足そうに振り返った。

 異色の馬だった。ネイティヴハートは父スターオブコジーン、母ポトマックチェリー(父ノーザンテースト)。岩手の水沢競馬所属で2歳時に地元で無傷の連勝を続けた後、中央のアイビーSを勝利。以降、2度の転厩はあったが、9歳での現役引退まで地方馬のまま、中央を中心に走り続けた。中央で40戦は地方馬としては最多の数字。中央で4勝はコスモバルクと並ぶ最多タイの記録となっている。