スピードスケート女子の500メートル、1000メートル、団体追い抜きで三つの銅メダルを手にした高木美帆(TOKIOイン…
スピードスケート女子の500メートル、1000メートル、団体追い抜きで三つの銅メダルを手にした高木美帆(TOKIOインカラミ)が、ヨハン・デビットコーチへの思いを改めて明かした。「最後に笑顔を届け、彼を笑顔で終わらせたかった」。自身がスポーツアンバサダーを務める時計ブランド「オメガ」のパビリオンでの取材で語った。
出会ったのは2015年。世界的な実績がなかった自分を、五輪の金メダリストへと成長させてくれた。
特に22年北京五輪後は関係性がより深まった。高木と日本スケート連盟のナショナルチームを離れ、選手個人がチームを立ち上げる異例の歩みについてきてくれた。「この(4年間の)時間が、私にとって、ヨハンを特別な存在にしてくれた」
最大の目標とした1500メートルでは金メダルも、表彰台も逃した。思いはかなわなかった。
レース後、2人は抱き合った。高木は涙を流し、デビットコーチは高木の背中をさすった。
「あの時はもう、言葉にならない感情なのか、言葉はいらない感情なのか。どちらだったのか、今となっては分からないですけど。私自身は深く思いをかみ締めていた」
40秒あまり、互いに無言だった。
「彼はいつも私を知ろうとしてくれていた。何を考え、どう感じているか。私がつたない英語しか使えない時でも、ずっとそういう努力をし続けてくれた」。だから、思う。あの無言の抱擁は「彼の、私に対する姿勢そのものだった」。
夢に描いた歓喜の瞬間ではなかったけれど、高木にとって何物にも代えがたい、大切な時間だった。(松本龍三郎)