<練習試合:西武3-3韓国・ロッテ>◇22日◇南郷スタジアム例年にない大型補強をした西武の今季初陣は、FA組でも助っ人勢…
<練習試合:西武3-3韓国・ロッテ>◇22日◇南郷スタジアム
例年にない大型補強をした西武の今季初陣は、FA組でも助っ人勢でもドラフト上位組でもなく、背番号122の是沢(これさわ)涼輔捕手(25)に流れが巡った。
8回表に4番手捕手として登場。同じ育成契約の佐藤爽投手(23)を連続見逃し奪三振に導く好リード。打席でもしぶとく“1軍”初安打をマークした。
しかし9回1死後、3安打と死球で3失点し逆転された。9回裏に同点に追いつき2死サヨナラ機で打席に立ったが、左飛に倒れて試合が終わった。
居残り練習を終えて、泥だらけのユニホームで振り返る。
「いいこと、ですか…なかったですね」
初安打は思わずガッツポーズが出たが、捕手は守ってナンボと知っている。「点差詰まってから、と思って。死球のタイミングでマウンドに行けたら良かったですね。爽はコントロールいいので、僕の責任です」といさぎよい。
大卒育成選手として4年目を迎える。西口文也監督(53)が「ここまでしっかり練習してくれている。結果が出て良かったんじゃないか」と話すなど、球団の誰もが知る努力ぶり。1軍キャンプに呼ばれた。
それでも当然、開幕1軍=支配下登録、の保証など全くない。ドラフト1位の小島がいる。正捕手に最も近い古賀悠がいる。中学時代、その活躍ぶりに憧れた柘植がいる。是沢が支配下選手になるためには、少なくともこの3人と同じか、上回るだけの魅力を示さないといけない。
「例えば3番手の捕手として開幕1軍ベンチに入るなら、いま育成選手の僕である必要はないと思うんです。開幕1軍に入るなら、スタメンで出場するなら、支配下の方々より僕をベンチに入れるべき理由が必要だと思うんです」
だから是沢という色を見せたい。「守るのは大前提のことで、あとは勝負強いとか、声出せるとか。だから今日の最後、何としても打たなきゃいけなかったんです」。左飛で二塁近くまで走って、悔しそうな顔をして、バットを届けに来たボールボーイに「ありがとう」と声をかけた。
よく言う雑草魂どころではない。健大高崎でも法大でも控え捕手で、公式戦出場すら数えるほど。強肩と野球への姿勢を買われて、育成ドラフトでプロ野球の世界に来た。4年目でようやく1軍が少しだけ見える場所に来た。
24年、歴史的敗北となるシーズン91敗。そこからの再建を期すチームと是沢の姿は、どこか重なる。
チームの顔というべき“主役”の実力には遠い。でも汗と涙と泥にまみれて懸命にはい上がる、新生ライオンズ物語を象徴する“主人公”になれるか-。
「長くなりました、すいません。明日も練習します!」
春季キャンプは23日に終わる。実戦の日々になっても、是沢の練習はいつまでも続く。【金子真仁】