◇米国女子◇ホンダLPGAタイランド 最終日(22日)◇サイアムCC オールドコース(タイ)◇6649yd(パー72)…
◇米国女子◇ホンダLPGAタイランド 最終日(22日)◇サイアムCC オールドコース(タイ)◇6649yd(パー72)
単独トップに躍り出る千載一遇のチャンスを決めきれなかった。首位に3打差の3位から出た岩井千怜はこの日、ジーノ・ティティクル(タイ)と3度並んだ。初めて勝ち越す機会が訪れた後半15番、2m強のバーディパットがカップをかすめる。「たぶん、ラインの読みが浅かった」。苦しくても絶やさなかった笑顔が一瞬、消えた。
次に思い切り悔しがったのはラストシーン。1打ビハインドで入った最終18番(パー5)、スライスラインにのった6mのバーディパットがカップの手前で止まる。「ショートしてしまって…。練習だな、練習しよう!と思いました」。ホールアウト直後、姉の岩井明愛の前で流した涙は、しばらくして乾いた。
昨年、岩井明が1打差の2位で終えた大会でことしは妹が燃えた。出だし1番(パー5)から2連続バーディを奪い、追撃の一番手に躍り出る。7番(パー5)、花道からウェッジでチップインイーグル。世界ランク1位を捕らえたことは、背中越しのリーダーボードで確認済みだった。
「自分の世界に入り込むこと」をテーマにした今週。優勝争いの最中は「ずっと歌いながらやっていた。ゴルフ以外のことを考える時間も交えながら」とホールを追うごとに集中力は研ぎ澄まされた。シビアなパーパットを沈め続け、再び2打ビハインドだった後半10番(パー5)では2つ目のイーグルを奪取。フェアウェイからピンまで残り214yd、つま先下がりのライから3Wで向かい風を切り裂く。ピン奥2m強につけるショットの後も、パットを決めた後もクールに声援を受け止めた。
日本ツアー時代から何度も経験してきた優勝争いでも、地元のヒロインを相手にした完全アウェーの戦いはそうあるものではない。「重圧みたいなものがすごかった」と明かす。
「この大会のキーポイント」と振り返った15番のバーディパットの前、組が滞留する距離の短いパー4で、後続組に第1打を先に打たせて10分ほど待たされたが、「むしろ良い時間だったとは自分では思っている」と言い訳はない。11番以降はパーを並べて通算23アンダー。最終的にティティクルに1打届かなかったとはいえ、ノーボギーで記録した2イーグル2バーディ「66」のスコアカードには確固たる強さが漂う。
米女子ツアー今季2戦目で単独2位フィニッシュ。「きょうは悪くないプレーだったと思う。それ以上にジーノが良いプレーした。素晴らしいなと思います」と勝者をたたえた。年間ポイントレース(レース・トゥ・CMEグローブ)で、2人の優勝者(ティティクル、ネリー・コルダ)に次ぐ3位に躍り出た。「成長したと実感できた週でした。次に絶対につながると思えた。悔いはないです」。2年目のシーズンの滑り出しは上々だ。(タイ・チョンブリ/桂川洋一)