◆報知新聞社後援 第14回大阪マラソン(22日、大阪府庁前スタート、大阪城公園内ゴール=42・195キロ) 大阪マラソン…

◆報知新聞社後援 第14回大阪マラソン(22日、大阪府庁前スタート、大阪城公園内ゴール=42・195キロ)

 大阪マラソンはジブチのイブラヒム・ハッサン(29)が2時間5分20秒の大会新記録で優勝。平林清澄(23)=ロジスティード=が2時間6分14秒で日本人トップの5位だった。初マラソンで日本記録(大迫傑、2時間4分55秒)を目指すと宣言していた吉田響(23)=サンベルクス=は超積極的なレースを展開した。7・8キロでペースメーカーの前に出て先頭に立ち独走。35キロ以降に失速し2時間9分35秒で34位に終わったが、成績以上のインパクトを残した。

 日本マラソン史に残る激走だった。吉田響はゴールと同時に倒れ、車いすで医務室に運ばれた。約1時間後、ホテルに戻ると食事を取れるまでに回復。スポーツ報知の独占インタビューに応じ、激闘を笑顔で振り返った。

 初マラソンは劇的な展開だった。2時間4分55秒の日本記録、さらにはMGC(28年ロス五輪マラソン日本代表選考会、27年10月3日、名古屋)を待たずに日本代表に内定する2時間3分59秒以内(最速選手1名)のファストパスも見据えたハイペースでレースを進めた。しかし、35キロ以降に失速した。

 「マラソン、やばいです! 前半は余裕がありましたけど、25キロくらいから体が硬くなった感じがしました。30キロ過ぎて体がきつくなりました。35キロ過ぎた後は半分以上、記憶にありません。でも楽しかったです」

 5キロを14分50秒で通過した後、7・8キロでペースメーカーを置き去りにして、独走。10キロを29分33秒で、20キロを58分42秒で、中間点は1時間1分54秒で通過した。単純計算では2時間3分48秒となるハイペースだった。1時間28分7秒で通過した30キロの日本記録は、松宮隆行が2005年2月の熊日30キロでマークした1時間28分0秒。マラソンの通過ながら同等のタイムをたたきだした。しかし、35キロからは40キロは17分9秒。37キロでライバルの平林に抜かれた。

 「平林君には全く対応できませんでした。平林君は集中していましたね。僕は本当にきつくて、残り3キロで、やめようかと思いました。でも沿道の方々や、僕を抜いていく選手に応援してもらい、ゴールすることができました。感謝しています。ありがとうございました」

 レース序盤、スペシャルドリンクを取らなかった。3度目のスペシャルドリンクがある15キロ地点ではサングラスを上げ、ペースを落として慎重に取りに行った。一般参加でナンバーカードが339番と数字が大きく「下一桁9番」のスペシャルドリンクテーブルで自身のボトルを探したが、スルーした。

 「序盤のスペシャルドリンクのテーブルには、僕のボトルはないように見えました。僕の見落としの可能性もありますし、結果に対して言い訳するつもりはありません。30キロ以降は僕のボトルを取れました。大会スタッフの皆さんは一生懸命にサポートしてくれているので、感謝しています」

 ゼネラルドリンクの給水用のコップはゴミ箱に捨て、顔を含めて全身に貼った磁気テープなど存在感を発揮した。

 「レース中、紙コップで給水することが慣れていきました。中盤までは余裕があったので、ちゃんとゴミ箱に投げ入れることができました。磁気テープを顔にまで貼ったのは、顔のこわばりを軽減するためです。効果はあったと思います。25キロまではリラックスして走れましたので」

 休養し体を完全に回復させた後、再び走り出す。モチベーションは高まっている。2時間9分35秒で完走したことは糧になる。

 「今回は25キロまでしか体力が持ちませんでした。次はゴールまで持たせたい。もう、今は『次こそやってやるぞ!』という気持ちになっています」

 第一声は「皆さんの期待に応えられず、すみませんでした」だった。しかし、謝る必要など全くない。世界のトップを目指す心意気と可能性を示した吉田響の激走は、その名の通り多くの人の心に響いた。(取材・構成=竹内 達朗)

 ◆吉田 響(よしだ・ひびき)2002年8月20日、静岡・御殿場市生まれ。23歳。御殿場市立原里中3年時に全国都道府県男子駅伝6区で2位。東海大静岡翔洋高2年時の同駅伝5区で22位。21年、東海大入学。1年時に箱根駅伝5区2位。23年、創価大3年に編入学。3年時は出雲駅伝5区区間賞相当、全日本大学駅伝5区区間賞、箱根駅伝5区9位。4年時は出雲駅伝2区区間賞、全日本大学駅伝2区2位、箱根駅伝2区2位(日本人最高記録)。25年春に卒業後、プロランナーに転向し、サンベルクスとプロ契約。自己ベスト記録は5000メートル13分39秒94、1万メートル28分12秒01、ハーフマラソン1時間1分45秒、マラソン2時間9分35秒。161センチ、46キロ。