プロ野球は各地でオープン戦がスタートしました。その模様を追っていくと、大ブレイクの兆しが見える選手がいます。 今年は、日…
プロ野球は各地でオープン戦がスタートしました。その模様を追っていくと、大ブレイクの兆しが見える選手がいます。
今年は、日本ハムの矢澤 宏太投手(藤嶺藤沢)ではないでしょうか。投手登録ですが、昨年登板はなく、野手として86試合で11盗塁と自己最多の出場となりました。
春季キャンプのプレーを見ると、パワーアップが感じられ、より打撃成績を伸ばす予感があります。
高校時代は140キロ中盤を出しても11四死球出すなど制球力が課題だった
矢澤投手は藤嶺藤沢時代、高校2年秋に145キロ左腕として注目を集めました。敗れはしましたが、県大会準々決勝でセンバツに出場した慶応相手に9奪三振の快投でした。
筆者はその試合を見ることができず、春の地区予選から彼を追いかけました。藤嶺藤沢グラウンドで行われた地区予選で初めて矢澤投手を見ることができましたが、野手としての出場でした。豪快なフルスイングには迫力があり、ヘッドスピードが非常に速い選手でした。
県大会・日大藤沢戦でようやく矢澤投手の投球を見ることができました。手元のスピードガンでは140キロ中盤が出ていました。切れ味鋭いスライダーとのコンビネーションで12奪三振を記録した一方で11四死球と制球に課題を残す結果となりました。
夏は準々決勝敗退となりましたが、投球の印象はそれほど変わりありませんでした。プロ志望届を提出しましたが、指名漏れとなり、日本体育大で実力を磨くことになります。
日体大進学は矢澤投手を大きく成長させるきっかけとなりました。元中日投手の辻孟彦コーチのもと投球の指導を受け、順調にレベルアップしたのです。
高校時代は四死球で試合の流れを崩すことは多かったのですが、大学3年春には40回を投げ、防御率0.90、51奪三振と大きく評価を高めるシーズンになりました。このレベルアップは辻コーチのアドバイスが大きかったといいます。
「試合のときにフォアボールを出してしまうと、小さくまとめようとしてしまうのですが、そこで辻コーチから『軽く投げてストライクを取りにいっても自分のためにならない。いくら四球を出してもいいから、しっかり腕を振って投げろ』とアドバイスをもらいました。そのおかげである程度の制球力は付きました。試合でも四球を出しますけど、1、2つにとどまって1試合投げきれるようになりました」
制球に自信がついた矢澤投手は相手打者の研究を捕手と行い、試合でも安定して投球ができるようになりました。
さらに打撃でも1年秋に2本塁打、2年秋にはリーグ戦の打率.368と高打率を記録。順調に投打で力を伸ばしました。
最終学年になると、首都大学野球リーグには連日、スポーツ新聞の記者が駆けつけており、特集記事も多く掲載され、22年の大学野球は矢澤投手が主役となりました。
投打で凄みを見せるも、驚異的な俊足ぶりも光っていた

4年春は投手として、4勝2敗、防御率1.83、打撃では打率.350、1本塁打、8打点。指名打者部門でベストナインを受賞。投打ともに活躍した年でした。
大学日本代表にも選出されましたが、どちらで躍動していたのかといえば、野手です。まず打撃は安定した構え、フルスイングしながらも軸がブレず、的確に捉えられるミート力の高さ、全身を上手く使って大きく打球が伸びる打撃技術はドラフト候補に挙がる野手と比べても秀でていました。さらにスカウトから評価されていたのは俊足でした。
等々力球場で行われた帝京大戦で矢澤選手は適時二塁打を打ちましたが、その時のタイムは7秒63。プロの俊足左打者でも7秒70ぐらいですので、いかに矢澤選手の脚力がず抜けているのかが分かります。
一方、投手では好調時ならば常時150キロを計測するストレートに加え、切れ味抜群のスライダーは大きな武器でした。ただ最終学年ではややボールが荒れることが多いのが気になりました。野手のほうが実戦的なように感じました。
投打ともに注目された矢澤選手は22年のドラフトで、二刀流の大谷翔平投手を育てた日本ハムから1位指名を受けます。
2年目までは一軍で二刀流として出場していました。2年目は自己最多の17試合登板。140キロ台後半の速球、切れ味鋭いスライダーで三振を奪う投球は可能性を感じました。
それでも首脳陣は一軍で大活躍できるのは野手と判断して、3年目は野手に専念。自己最多の86試合に出場して、166打数41安打、5二塁打、3三塁打、1本塁打18打点、11盗塁と走れる強肩外野手として2番に定着しました。
CSのオリックス戦では一塁走者だった矢澤投手はレイエス選手のライト方向の長打で一塁から一気に本塁に生還するハイレベルな走塁を見せ、勝利に貢献し、存在感を大きく高める年になりました。
そして今年は打撃面で凄みが増しています。15日の楽天戦では9回表、満塁のチャンスから走者一掃の二塁打を放ち、17日の中日戦では豪快な本塁打を放ちました。
キレの良いフルスイングはさらに迫力が増しており、ファンから「今、一番振れている」と絶賛されています。抜群の脚力、強肩を秘めており、5ツールプレイヤーとしての活躍が期待されます。
投手・矢澤がしばらく見られないのは寂しいですが、4年目で規定打席到達を狙える大ブレイクを果たせば、一気に球界を代表するスピードスターへ躍り出る可能性があります。
キャンプで見せる豪快な打撃をシーズン通して発揮することを願っています。