◆ミラノ・コルティナ五輪▽フィギュアスケート 21日にエキシビションが行われ、日本勢はペア史上初の金メダルを獲得した「り…

◆ミラノ・コルティナ五輪▽フィギュアスケート

 21日にエキシビションが行われ、日本勢はペア史上初の金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来(24)、木原龍一(33)組=木下グループ=、男子シングル銀の鍵山優真(22)=オリエンタルバイオ・中京大=、同銅の佐藤駿(22)=エームサービス・明大=、女子シングル銀の坂本花織(25)=シスメックス=、同銅の中井亜美(17)=TOKIOインカラミ=が豪華競演に参加した。演技後、りくりゅうと今季限りで現役引退を表明している坂本は3人でリンク中央の五輪マークに触れ、感謝と別れを告げた。

 日本史上最多1大会メダル6個を獲得したフィギュアの快進撃は、大会初日の6日に行われた団体から始まった。先陣を切ったアイスダンスの「うたまさ」こと吉田唄菜、森田真沙也(木下アカデミー)組がリズムダンス(RD)で10チーム中8位と踏ん張った。続いて登場したペアの三浦、木原組はショートプログラム(SP)で自己ベスト、世界歴代3位の82・84点をたたき出して1位となった。木原は「すごくいいバトンを渡すことができた」と誇った。3番手の女子SP坂本花織はトップの今季世界最高78・88点をマークし、チームを2位に押し上げた。

 7日は予選の最終種目となる男子SPでは、鍵山が自己ベストにあと0・1点と迫る108・67点でトップに立った。緊張感もありながら「ミラノのお客さんとチーム・ジャパンの応援で全て吹き飛んだ」と演技中に観客をあおる余裕もみせ“4回転の神”イリア・マリニン(米国)に10点以上差をつけた。5チームによる決勝1種目目となったアイスダンスのフリーダンスは「うたまさ」が力を出し切り、チーム順位で首位・米国と5点差の2位で最終日につないだ。

 団体最終日はペアのフリーで「りくりゅう」が世界歴代3位の155・55点を出し、キス・アンド・クライで三浦は驚きのあまり椅子から転げ落ちた。木原の「何度もシングルの方に助けられてきたので、今度は僕たちがチームジャパンを助けられるように」との思いが結実。続く女子フリーの坂本はミスもあったが1位となり、米国と同点で最終種目の男子SPへ。最終滑走で自己ベストの194・86点をマークし2位。重圧に耐えて銀メダルを確定させると大粒の涙を流した。

 個人戦に舞台を移し、男子は幼い頃から「関東三羽がらす」としてしのぎを削った鍵山、佐藤、三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)が出場。鍵山は2大会連続の銀、同学年の佐藤はSP9位から巻き返しての銅メダルを獲得した。2018年北京五輪から3大会連続で2人がメダルを獲得する快挙に、鍵山は「すごい嬉しかった」、佐藤も「優真と一緒に表彰台、うれしい」と喜んだ。三浦は大会直前に靴が破損するトラブルもあり13位に終わったが、佐藤を指導する日下匡力(ただお)コーチが靴を補強する絆の深さが支えとなった。一方、SP首位のマリニンはフリーでミスが続発しまさかの8位に沈み、シャイドロフがカザフスタン勢のフィギュア初となる金メダルを手にした。

 ペアのりくりゅうは現行制度史上最大の6・90点差を逆転し金メダルを獲得した。SPのリフトで珍しくミスがあり、自己ベストより10点近く低い73・11点で5位。木原は氷上でうなだれ10秒動けなかった。翌日のウォーミングアップ中まで涙し続ける木原を9歳年下の三浦ら周囲が慰め、励まし迎えたフリー。「お互いのために滑ろう」と誓い合って息ぴったりの演技をみせ158・13点の世界最高得点をマーク。1972年札幌五輪でペアが初出場してから半世紀、悲願の挑戦に立った。結成3季目の「ゆなすみ」こと長岡柚奈、森口澄士(すみただ、木下アカデミー)はフリーに進めなかったが、ペア継続を表明し、すでに今後の躍進への歩み始めた。

 女子は今季限りでの引退を表明して臨んだ坂本が銀、SP首位の17歳・中井亜美が銅、千葉百音(木下グループ)が4位に食い込んだ。チームジャパンを盛り上げ、引っ張り続けた坂本は、SP2位で迎えたフリー後半で、フリップ―トウループの連続3回転ジャンプが単発になり、アリサ・リュウ(米国)に1・89点差で敗れた。「『ここ一番』っていうところで今まで決めてきた分、なんでここで出せなかったかなっていうのが正直めちゃくちゃある」と悔し涙を流した。

 ただSP後には後輩たちの大躍進に「世代交代も安泰ですね、日本は」と話していた。中井は「花織ちゃんのように、あと2回オリンピックに出たい」、千葉は「こういう忘れられないスケーターになりたい」と覚悟を口にした。個人競技でありながら、互いに仲間へ熱心に声援を送る姿はチームで戦っていることの証し。引き継がれてきたチームジャパン絆のバトンは、ミラノから次回30年大会、そして未来へとつながっていく。