<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇21日(日本時間22日)◇エキシビション◇ミラノ・アイス…

<ミラノ・コルティナオリンピック(五輪):フィギュアスケート>◇21日(日本時間22日)◇エキシビション◇ミラノ・アイススケートアリーナ

【ミラノ=木下淳】金メダルが確実視されていた今大会で「世紀の失速」といわれるフリー15位、総合8位に沈んだイリア・マリニン(21=米国)が「悪夢」後初の取材対応を行った。

「五輪に感謝しています」「ストレスも、周囲からの重圧も、騒音も、メディアも、思考も、全てが非常に大きなものでした。もはやアスリートが経験すべきことではないのですが、それでも私たちは乗り越えなければなりません」などと語った後、記者団から「重圧をかけたのは私たちメディアか、自分自身か」と問われると、こう答えた。

「少しは重圧に感じたけど、それはスポーツや芸術のトップレベルにいる者なら、誰もが通る道です。批判は常に付き物。避けようがない。それをどう管理してコントロールするか、あるいは脇に押しやるかを学ばなければならない」

アスリートへの誹謗(ひぼう)中傷がやまない現代において「同じ立場の人々に、どうアドバイスしますか? 自分やメンタルヘルスを守るために、どんな助言をしますか?」と質問もされた。

「この経験から学べたのは、周囲で誰が信頼できるかを見極めることです。そして、心を開くことを恐れず、本当の状況を伝えることを恐れないことだと思います。本当に、自分自身に誠実であることです。なぜなら『本物』の人たちは、正直であること、真実であること、あるべき自分であることに対して感謝してくれるからです」

この日は五輪のフィギュアスケート競技を締めくくるアイスショーに出演。ジーンズにパーカーという、ラフでワイルドな衣装で「FEAR by NF」を舞い、ジャンプは4回転トーループと3回転ルッツを跳んだ。フィナーレではバック宙も披露し、観客席をあおっていた。

万感のフィニッシュシーンでは、演出の一部なのか素なのか、涙をこらえているように見える表情で、歓声を一身に浴びた。取材エリアでは時折、笑みも浮かべながら、穏やかに対応した。

本人は男子フリーの後もミラノに滞在。連日、プラクティス(練習)リンクや観客席に姿を見せていた。

世界唯一のクワッドアクセル(4回転半)を含む、全6種の4回転半ジャンプを操るクワッド・ゴッド(4回転の神)。団体で米国の金メダルに貢献した後、個人のショートプログラム(SP)も首位だったが、世界記録を持つフリーで衝撃の15位に沈んでいた。

156・33点で、自己ベストの238・24点に81・91点も届かず。合計も264・49点で総合8位。同じく自己記録の333・81点から69・32点も下回った。

その後はインスタグラムで「卑劣なネット上の憎悪が精神をむしばみ、恐怖が闇へといざなう」など、苦しい胸中と誹謗(ひぼう)中傷されていることを打ち明けていた。