<こんな人>阪神は総力結集で初のセ・リーグ連覇を目指すことになった。球団は21日、離脱している石井大智投手(28)が「左…

<こんな人>

阪神は総力結集で初のセ・リーグ連覇を目指すことになった。球団は21日、離脱している石井大智投手(28)が「左アキレス腱(けん)断裂縫合術」を受けたと発表した。当初発表されていた「損傷」は実は断裂。今季中の復帰は厳しくなった。昨年、50試合連続無失点の日本記録を樹立したセットアッパー。藤川球児監督(45)が「チームの心臓」と誇るブルペン陣が真価を試されている。

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石井の無失点記録が1試合ごとに積み上がっていた昨季の夏、食事の席でのことだった。「ちょっと待ってください」。談笑の最中に箸を置き、おもむろに身体を席の外へ。身体を伸ばし、ストレッチを始めた。「最近、つるんですよね…」。週6日、年間143試合を戦うプロ野球。どれほど心身の限界スレスレで相手と戦っているかは、その一瞬にもにじんでいた。

今春3月のWBCにも内定しており、大会も意識して調整。その中で無念の離脱となった。レベルアップを目指す選手たちにとって、オフは最も貴重な時間のひとつ。一方で10月下旬まで戦ったからこそ、昨季は当然他球団の選手に比べて期間も短かった。日本シリーズが終わったわずか3日後、練習のため甲子園に現れた石井はすでに切迫感を語っていた。

「今始めないと取り戻せないというか、間に合わない」

50試合連続無失点の日本記録を達成しながら、自身の投球内容に対して完全に納得していなかった昨季。より高みを目指し、計画的に自身を追い込んできたことは間違いないだろう。藤川監督は「ギリギリの自分の体の力を最大限発揮して普段からプレーしていますから…」と涙ながらに語っていた。

現在の心の内は、本人にしか分からない。一方で、これまでも壁を乗り越えてきたことは確かな事実だ。昨季は頭部打球直撃に見舞われるも約1カ月で復帰。事故直後は1週間めまいで動けなかったところから帰ってきた。「プロ人生でどれだけ投げるかも、もっと言えばいつ死ぬかも決まっていると思う。そこのレールに乗っていくだけ」。起こった出来事に対し、割り切って進むのが石井の信条だ。当時のリハビリ中にも、話していたことがある。

「(打球が)当たった結果だけで気持ちが落ちたり『なぜ当たったんだ』と考えるのが嫌。最初からそうなる結果だったと決めていて。これから何かそういうことがあっても、それは起こるべくして起こっていること」

今回の試練も必ず乗り越え、大きくなって帰ってきてくれると信じている。【23~25年阪神担当=波部俊之介】